80年代にドクターズおよびリチャード・ストレンジに出会い心酔していたが、いずれも過去の作品を中古で購入するだけで、リアルタイムのリチャード・ストレンジを追っていた訳ではなかった。インターネットはおろかパソコンすら普及しておらず、海外の音楽に関する情報はメディアに頼るしか無かった時代に「あの人は今」的存在のアーティストの情報など報道される筈もなかった。だからリチャード・ストレンジが何をしているか知る由もなかった。唯一の方法は輸入レコード店の「R」コーナーを何のあても無く掘ることだけ。そんな宝探しに似たレコ屋巡りを続けた甲斐があって、初めてリチャード・ストレンジのレコードを新品で購入する機会に恵まれた。
●リチャード・ストレンジ&ジ・エンジン・ルーム『逝こうとしている』
Richard Strange & The Engine Room – Going-Gone (Interphon – IPLP 2006 / 1986)
(1987.12.27/¥2580/下北沢Flash Disc Ranch)
86年に就職した後も続けていたバンドで下北沢のライヴハウス屋根裏に定期的に出演してした。サウンドチェックの合間にレコード屋を覗くのを楽しみにしていた。日付から察するにクリスマスか年末ライヴの日だろう。現在も良心的なアナログ専門ショップとして営業している下北沢のフラッシュディスクランチでこのアルバムに遭遇した。500円や1000円均一コーナーが売りの店としては2580円は異例に高い値段だが、一期一会の機会だと思い迷わず購入した。ミュージシャン・クレジットにキング・クリムゾンにいた即興パーカッション奏者ジェイミー・ミューアの名前があって驚いた。音はますますエレポップ/シンセポップ化していたが、エキゾチックな中近東風メロディは悪くない。
しかし、ジャケットのキリスト教の祭壇の上部に、日本語で「行ってしまった リチャード 誰も知らない そして エンジンルーム」と書かれたメモを見つけてドキリとした。リチャード・ストレンジは死んでしまったのか?アルバム・タイトルの『Going-Gone』は「死んで行く」という意味にも取れるし、エスニックなメロディを歌うリチャードの濃厚なヴォーカルは、キリスト教だけじゃなくユダヤ教やイスラム教まで含む宗教色が濃い。もしかしたら彼の遺作なのかも、と想像して畏怖の気持ちに打たれたが、一方では心のどこかに彼が死ぬ筈は無い、これはリチャード特有の虚言癖のひとつに過ぎない、という気持ちもあった。いずれでせよ事実を確かめる術はなかった。
Damascus - Richard Strange
インターネットが普及した90年代半ばにネットで調べてリチャード・ストレンジが生きていることを知ったのだと思う。未入手だがエンジン・ルームとして89年に2ndアルバム『残りは沈黙(The Rest Is Silence)』をリリースしたことも知った。2003年にドクターズ・オブ・マッドネスの奇跡の初来日が実現し、健在ぶりを確認。ライヴ音源のカセットやドキュメンタリーDVDなどを入手した。そのときにリチャードがゲスト参加したドイツのバンドのアルバムが存在することを知った。
●インターナショナル・ノイズ・オーケストラ『地球の鼓動を聴け』
International Noise Orchestra – Listen To The Earthbeat (Ausfahrt – EFA 06119 / 1987)
(2016.8.28/¥669/下北沢Genral Records)
●インターナショナル・ノイズ・オーケストラ『地球の明暗』
International Noise Orchestra – The Dark And Bright Side Of The Globe (World Music – EFA 06126 / 1989)
(2016.8.17/¥720/Disk Union新宿中古センター)
その名もインターナショナル・ノイズ・オーケストラ/国際騒音管弦楽団(International Noise Orchestra)。ノイズファンとしては大いに興味が惹かれるバンド名である。熱心に探しはしなかったが心の隅に蟠っていたこのバンドのレコードと、今回の来日直前に突然連続で出会う幸運に恵まれた。サウンドは所謂「ノイズ」とは無関係で、世界中の様々な音楽をダンサブルなビートに乗せたエスニックポップ。リチャード本人に言わせれば「ワールドミュージックバンド」とのことだが、『Going-Gone』のエスノ色を進化させた音世界には、ジャンルとしての「ワールドミュージック」の胡散臭さは全くない。憑き物が取れたように快活なヴォーカルの開放感と遊び心が心地よい。スペンサー・デイヴィス・グループやビートルズのカヴァーもご愛嬌。俳優業が軌道に乗って、気楽な音楽活動をしたい気持ちだったのかもしれない。
リチャードは
誰も知らない
ストレンジ
【ドクターズ・オブ・マッドネス 絶賛来日ツアー中!】
“ゴッドファーザー オブ パンク” from London!!
Doctors of Madness Japan Tour 2016
日程
9/5(月)渋谷ラストワルツ
9/7(水)京都西院ウーララ
9/8(木)京都西院ウーララ
9/11(日)新宿JAM
チケット予約、お問い合わせ
sisterpaul@jcom.home.ne.jp
https://www.facebook.com/sisterpaul
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★9/5(月) 渋谷ラストワルツ
18:30オープン/19:00スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Cuddly ToyZ
キンキーサロン
DJ: Tsuneglam Sam & Keiji Ronson
★9/7(水) 京都西院ウーララ
18:15オープン/18:45スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
カチコチ虫
HONEY MAKER
リキッドスクリーン
DJ: マーチン(夜想)
★9/8(木) 京都西院ウーララ
18:30オープン/19:00スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Hamah Moh
Baby Dolls
DJ: メリケン
★9/11(日) 新宿JAM
18:00オープン/18:30スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Flashlights
Anisakis
BabyBlue
DJ