8月8日は”ハチハチの日”、ということで妖怪プログレ・サイケ・メタル・バンド八十八ヶ所巡礼の昨年の「SYG88」に続く3rdアルバムがリリースされた。ライヴは昨年の10月以来観ていないが今年に入ってから彼らは人気が加熱し、チケットがあっという間にソールドアウトしてしまう状況らしい。ライヴのあとは楽屋に引っ込んだままでファンとの交流はないし、オフィシャルHPは業務連絡的なそっけない内容で、メディアへの露出も多くない。少し古いが彼らの拠点とも言える下北沢CLUB Queのサイトと大阪のライヴハウスFireloopのサイトにインタビューが掲載されているので読んでみて欲しい。
「○△□」とタイトルされた本作は発売日早々タワー・レコード全店売上チャートの8位(←ハチである)にランクインする好スタート。amazonでは発売日にも関わらず"一時的に在庫切れ; 入荷時期は未定です"となっている。初回限定特殊パッケージ仕様だが、外から見ると何の変哲もない通常のプラケース。開けてみて初めて納得という仕組みだ。子供の頃憧れたアニメのセル画を思わせ愛おしいジャケである。前作までの豆人間のキャラクターが今作では小太りのおっさんになっている。おっさんが宇宙に佇むジャケットはシュールかつ不気味であり同時にユーモアと幼児性を持った彼らの音世界を象徴するかのよう。
▼タワーレコード札幌ピヴォ店の看板
曲名がまた奮っている。「某WN 夜」「霊界ヌ~ボ~」「((((未練))))」「A&N&D」「→異界逝コウ←」「惑う惑星」「極樂いづこ」「⇔粛正の夜明け⇔」の全8曲←これもハチ。サウンドは今まで以上に超ハイテンション。ヘヴィメタ風早弾きやギミック奏法を惜しげもなく繰り出すKatzuya Shimizu氏のバカテク・ギターに、ハードコア顔負けの極道坊主=賢三氏のパワー・ドラム、そしてハチハチの顔であるマーガレット廣井氏のドスの効いた変態ベースとパラノイアックなハイトーン・ヴォイスが絡み合い、例えが古くて恐縮だが「太陽と戦慄」「レッド」期のキング・クリムゾンや「こわれもの」「危機」期のイエスのような尋常じゃない高密度の緊張感が恐ろしいパワーで迫り来る。ただしこれら先達の作品にあった抒情性が皆無なのが如何にも21世紀的である。♪床一面の六芒星♪♪未練は下界に置いてけ♪♪異界マデ逝カナイ?♪♪霊界のヒットチャアト♪といった霊媒師のような歌詞に浸って44分を聴き通すと、いわゆる"音楽"を超越した宗教的な恍惚状態に突入し、熱に浮かれたエントロピーの渦に巻き込まれる。残されるのは矢吹ジョーのような真っ白な灰だけである。
臨界状態の原子炉が今まさにメルトダウンを迎えようとしている。
ハチハチに
心奪われ
被曝寸前
もちろん「No Nukes」なので誤解なさらぬよう。
9/18 下北沢 CLUB Queでロリータ18号/Droogsと対バン・イベントあり。