クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

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11-01 No.3-1

2011年01月06日 19時15分48秒 | Weblog
<NAXOS> 各1枚 \1000
8.572294
メンデルスゾーン:交響曲第2番「讃歌」
ルート・ツィーザク(ソプラノ)/モイチャ・エルトマン(ソプラノ)
クリスティアン・エルスナー(テノール)
ライプツィヒ MDR交響楽団&合唱団
準・メルクル(指揮)
メンデルスゾーン(1809-1847)の交響曲第2番は印刷技術発明400年を祝う式典
のために書かれ、1840年に完成。実際には彼の交響曲の中で4番目に完成され
たものですが、出版の関係で第2番の番号が付されています。独唱、合唱、オ
ルガンを用いた壮大な作品ですが、なぜかあまり人気のでないところが不思議
でもあります。たしかに金管楽器で奏される冒頭のテーマは口ずさむのに少々
勇気が要りますが・・・。この曲は当初は交響曲ではなく「交響カンタータ」
というジャンルで想定されました(確かに前半のシンフォニアの部分だけでも、
充分に1曲の交響曲として成り立つだけの分量があります)。メンデルスゾーン
は初演後、この曲に改定を加え、現在演奏されるのはほとんどがこちらの改定
版で、この準・メルクル盤も改定稿を使用しています。全てが念入りに整理さ
れ、すっきりとした音色と、厚みのあるハーモニーが愉悦感をもたらすこと
間違いありません。

8.572192
オネゲル:ヴァイオリン・ソナタ全集
1-3.ヴァイオリン・ソナタニ短調 H.3(1912)
4-6.ヴァイオリン・ソナタ第1番 H.17(1916-1918)
7-9.ヴァイオリン・ソナタ第2番 H.24(1919)
10-13.無伴奏ヴァイオリン・ソナタニ短調 H.143(1940)
ローレンス・カヤレイ(ヴァイオリン)
ポール・スチュワート(ピアノ)…1-9
フランスで生まれ、6人組の中心人物であったオネゲル(1892-1955)は、専ら大
規模なオラトリオや管弦楽作品などでその作品が知られますが。ここで聴く
ヴァイオリン・ソナタではかなり内省的な一面を見せてくれます。彼は生涯に
ヴァイオリン・ソナタを4曲(番号付きはそのうち2曲)作曲し、その時期はおよ
そ30年にまたがっています。最初に書かれた番号なしの二短調のソナタは、ま
だ調性を保っており、先人の影響下にあることが良くわかります。しかし、そ
の4-6年後に書かれた第1番のソナタは調性も付されることなく、独自の道を歩
み出したオネゲルの姿が見えてくるかのような仕上がりです。とは言え、やは
り随所に見られるノスタルジックな味付けは、彼の心情を表しているかのよう
です。1919年に書かれた第2番も、流動的な旋律に織り込まれた感傷的な気分
が耳に残ります。1940年の無伴奏ヴァイオリン・ソナタでも、身の引き締まる
ような厳しい音の中に、やはりどことなく懐かしげな感情が織り込まれていま
す。1742年製のグァルネリを存分に歌わせるカヤレイの妙技にしばし心奪われ
てください。

8.572529
ストレンジ・ユーモア
1.マッキー(1973-):ストレンジ・ユーモア
2.ドアティ(1954-):レイズ・ザ・ルーフ(ティンパニと吹奏楽編)
3-6.ドアティ:ブルックリン橋
7-12.サイラー(1961-):天国の猟犬(私は夜になって、彼を逃がす/金色の星の
入り口/小さな子どもの目に映る/自然-私と分かち合う/私の膝に自分自身を打
ちすえる/私は彼、汝求める人)
トッド・クインラン(ティンパニ)…2
モーリーン・ハード(クラリネット)…3-6
ラトガーズ・ウインド・アンサンブル
ウィリアム・バーツ(指揮)
3人のアメリカ現代作曲家による「イカした作品集」です。マッキーの「スト
レンジ・ユーモア」は元来、弦楽四重奏とジャンベのための作品で、アフリカ
の太鼓のリズムと、中近東の民謡を用いた「音楽の文化の融合」を目指してい
るといいます。この編曲において、曲は更に熱くなっています。ドアティの2
つの作品はどちらも協奏曲風の体裁を取っていて、「レイズ・ザ・ルーフ」で
はティンパニ、「ブルックリン・ブリッジ」ではクラリネットが活躍します。
「レイズ・ザ・ルーフ」はエンパイヤ・ステート・ビルディングの高さに敬意
を払い、「ブルックリン・ブリッジ」ではニューヨークシティを四方から見渡
すパノラマの風景を描いています。サイラーの「天の猟犬」はイギリスの詩人、
フランシス・トンプソンの同名の詩からインスピレーションを得た作品で、神
の救いを求めて精神世界を旅する魂を描いたものです。伝統あるラトガーズ・
ウィンド・アンサンブルによる渾身の演奏です。

8.570783
リャプノフ:
1.ピアノ協奏曲第1番変ホ短調 Op.4/2.ピアノ協奏曲第2番ホ長調 Op.38
3.ウクライナの主題による狂詩曲 Op.28
ショレーナ・ツィンツァバーゼ(ピアノ)
ロシア・フィルハーモニー管弦楽団
ドミートリー・ヤブロンスキー(指揮)
タネーエフに作曲を、フランツ・リストの門弟カール・クリントヴォルトにピ
アノを学んだ若き青年作曲家リャプノフ(1859-1924)は、モスクワ音楽院を卒
業後、バラキレフに出会います。その影響を強く受けたリャプノフは、1885年
にバラキレフの家へ身を寄せることになります。2人の芸術家はお互いに影響
しあい、バラキレフの絶筆となったピアノ協奏曲第2番(未完)はリャプノフが
補筆したことでも知られます。そんなリャプノフ自身のピアノ協奏曲第1番は、
もちろんバラキレフに捧げられていて、重く垂れこめるようなメロディと、
華々しい技巧がいかにもロシア風です。1909年に書かれたピアノ協奏曲第2番
は、ピアノと管弦楽が優美に絡みあい、どことなくリストの作品の雰囲気を湛
えていますが、いつしか彼が敬愛したバラキレフの協奏曲のメロディが現れま
す。1907年に作曲された「ウクライナの主題による狂詩曲」はブゾーニに献
呈された技巧的で華やかな作品です。

8.572624
フレイタス・ブランコ:管弦楽作品集第4集
1-4.交響曲第4番(1944-1952)
5-13.交響的詩曲「ヴァテック」(1913)(序奏/主題/プロローグ /第1変奏「永
遠の饗宴」/第2変奏「旋律の寺院」 /第3変奏「眼の喜び」 /第4変奏「香り
の宮殿」 /第5変奏「喜びの減少」/エピローグ)
アイルランド国立交響楽団/アルヴァロ・カッスート(指揮)
ポルトガルの作曲家、および音楽学者ルイス・デ=フレイタス=ブランコ
(1890-1955)の第4集の管弦楽曲集です。第4番の交響曲は彼の最後の交響曲で、
8年の年月をかけて入念に仕上げられた作品です。4つの楽章からなる伝統に基
づいた形式で書かれた後期ロマン派風のアプローチが顕著な作品で、冒頭の
ユニゾンで奏されるメロディはグレゴリオ聖歌のキリエを引用したものです。
あまり対位法的な書法は見られず、全体的に厚みのあるハーモニーと躍動的な
メロディが支配し、不協和音の中から突如経ち現われる金管のファンファーレ
や、弦のユニゾンには、思わず耳を欹ててしまう効果があるようです。交響詩
「ヴァテック」はイギリスの作家ベックフォードがフランス語で書いた東方奇
譚にインスピレーションを得て書かれた作品です。この世のありとあらゆる快
楽を極め、地獄の宝物を奪還するために、悪の限りを尽くすヴァテックの物語
で、1913年に書かれた作品ですが、曲の初演は1950年まで待たなくてはいけま
せんでした。その上、その際は第3変奏が演奏されることなく、結局全曲が演
奏されたのは 1961年になってから。確かにこの第3変奏曲は1913年当時の聴衆
に受け入れられるとは到底思えないほど奇妙なもの。弦による59声のフーガは
まるで嘲笑のようであり、突然中断されるまでの2分間は生きた心地がしない
のですから。

8.570882
マリピエロ:交響曲集第5集
黄道十二宮の交響曲(1951)(1-3.パルティータ I「春」/4-6.パルティータII
「夏」 /7-9.パルティータIII「秋」 /10-12.パルティータIV「冬」 )/
13-15.交響曲第9番「悲嘆について」/ 16-19.交響曲第10番「アトロポス」
MALCO POLO 8.223697より移行盤
モスクワ交響楽団
アントニオ・デ・アルメイダ(指揮)
MARCO POLOの人気シリーズであった、マリピエロ(1883-1973)の交響曲シリー
ズの掉尾を飾るアルバムとしてリリースされた1枚です。1993年の録音ですが、
演奏、録音ともに申し分ありません。イタリアの新古典派の作曲家マリピエロ
は、生涯に番号の付いた交響曲を11曲書きましたが、その他に初期に3曲と、
中期に3曲の「番号なし」の交響曲も書いています。この「黄道十二宮の交響
曲」は1951年に書かれたもので、12の部分からなる曲は、四季の移り替わる
気分を描き出すことに成功しています。この当時の彼は「交響曲」という言葉
自体に嫌悪感を抱いていたようで、その気持ちは1964年に第8番が書かれるま
で払拭されなかったようです。その次に書かれた第9番溌剌とした気分がトラ
ンペットに中断される部分はまるでオネゲル。そして第10番はヘルマン・シェ
ルヘンに絶賛された作品で、ギリシア神話に登場する女神にちなんで命名され
たものです。

8.572020
ブライアン:
1-3.交響詩「イン・メモリアム」(1910)/4-5.祝典舞曲
6-8.交響曲第17番(1960-1961)/9-12.交響曲第32番(1968)
MARCO POLO 8.223481より移行盤
アイルランド国立交響楽団
エイドリアン・リーパー(指揮)
1950年代までは、「謎の作曲家」とされていたハヴァーガル・ブライアン
(1876-1972)。彼はその生涯に32曲の交響曲を始め、管弦楽作品、オペラなど
多くの作品を書いています。彼は才能に恵まれながらも、あまり勤勉でなかっ
たためか、作品が上演されることがあまりなく、そのために一部の熱狂的な
ファンを除いては、その存在すらも忘れ去られかけていました。しかし、彼の
最大の作品「交響曲第1番」が1961年にアマチュアを中心としたオーケストラ
で上演されるやいなや、そのあまりにも破天荒な曲が評判を呼び、再び脚光
を浴びた人として知られています。このアルバムには2つの管弦楽作品と2つの
交響曲が収録されています。さすがに第1番ほどの大掛かりな仕掛けはないに
しても、交響詩「イン・メモリアム」の冒頭のファンファーレを聴くだけで
も、確かに心躍る音楽です。この機会に再度見直してみたい作曲家です。

8.570964
サン=サーンス:管楽器のための音楽集
1.デンマークとロシアの歌による奇想曲 Op.79
2-5.クラリネット・ソナタ変ホ長調 Op.167
6-8.オーボエ・ソナタニ長調 Op.166
9-11.ファゴット・ソナタト長調 Op.168
12.ロマンス変ホ長調 Op.67(ホルンとピアノ編 )
13.フルート、クラリネットとピアノのための「タランテッラ」Op.6
カナダ・ナショナル・アーツ・センター管楽五重奏団
(メンバー)ヨハンナ・グフレエール(フルート)/チャールズ・ハマン(オーボエ)
/キムボール・サイクス(クラリネット)/ローレンス・ヴァイン(ホルン)/
クリストファー・ミラー(ファゴット )/ステファヌ・ルムラン(ピアノ)
生涯に驚くほど多くの作品を書いたのに、穏健な作風が災いしてか、どう考え
てもその一部しか知られていないサン =サーンス(1835-1921)。しかし、この
アルバムに収録された味わい深い室内楽曲を聴いてみると、「もっと聴いてみ
たい」という気持ちになる人が多いのではないでしょうか。3つのソナタはど
れも彼の最期の年に書かれた曲で、澄み切った美しさと深い諦観に満ちていま
す。とは言え、クラリネット・ソナタの終楽章での目まぐるしい楽想の変化な
どには、天才の閃きを感じずにはいられません。カナダの名五重奏団と、カサ
ドシュ国際コンクールの受賞ピアニストによる魅力的な演奏で、この滋味溢れ
る佳曲の花束をお聴きください。

8.572157
マルケヴィチ:管弦楽作品全集第7集
1-3.ピアノ協奏曲(1929)/4-7.カンタータ
8-14.イカロス(1932/1943)(前奏曲/飛行技術への開眼/イカロスと鳥たち/
イカロスの翼//イカロスの飛行 /ここでイカロスの翼が発見された/イカロ
スの死)
8.225076 MARCO POLOより移行盤
マルテイン・ファン・デン・フーク(ピアノ)・・・1-3
ニーンケ・オーステンレイク(ソプラノ)・・・4-7
オランダ・コンサート男声合唱団・・・4-7
アルンヘム・フィルハーモニー管弦楽団
クリストファー・リンドン=ジー(指揮)
マルケヴィチ(1912-1983)の作品は聴けば聴く程にその凄さに震撼せざるを得
ません。この第7集でも驚異的な才能に驚かされるばかりです。1曲目は彼が16
歳の時に書いた協奏曲。ちょっと人を食ったような表情を見せるピアノの動き
はプロコフィエフでもなくバルトークでもない暴力的で、かつ魅力的なもので
す。メロディの美しさを求める人には向かない音楽ですが、この恐ろしいまで
の機動力を有した作品が16歳の少年の手から生まれたというのは、確かに恐ろ
しいことです。カンタータはバレエ・ルセの委嘱に拠って書かれた作品。コク
トーのテキストに基づいています。「イカロス」は第3集(8.572153)に収録さ
れた「イカロスの飛行」を再構築したものです。やはりバレエ・ルセのプロ
ジェクトのために1932年に作曲、翌1933年に初演された作品でしたが、出来上
がりが気に入らなかったのか破棄してしまったものを、その約10年後に改作し
たものです。

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