魏さんと読む時、関西人は「ぎぃさん」となる。
つげ義春の「李さん一家」ならば、「りぃさん一家」となる。
横浜中華街生まれの魏さんは西へ来て、さぞや、ぎぃさん…に馴れなかっただろうな。
魏さんは京都らしい町家使いに手慣れた方である。
一見、合いそうもない、本田味噌の古い家屋を新しい中華の点心屋に変えた。
昨年秋開店した、『魏飯夷堂(ぎいはんえびすどう)』。
西木屋町の中国料理、「一之船入」の支店。
中は吹き抜けになっていて、天井は高い。
魏さんが引っぱってきた、本場の点心師、王さんが包む小籠包の店。
中国風に書くと、小吃店となるのかな。
白菜ときゅうりの黒酢和え シャキシャキしてこざっぱり
出てきましたよ 上海小籠包 5個 900円
熱いスープをたわわに含ませてある。
口の中で爆発してあぢぢぢぢ…となる場合もあるのだけど、
僕はそれでもいい。ちょっと齧ってスープだけ飲んで、それからパクリなんてのは好かん。
味はなかなかよろしゅござんすよ。麺の旨さをもうちょいアピールしたいかな。
皮が薄いので、もう少しもっちり来てもいいのと、スープの量はもう少し加減してもいいかも。
CMで北川恵子が上海へ旅行して、小籠包を箸で割ってスープをじゅ~っと流すのがあったが、
「ああああ、ナニさらしてんねん!」と心穏やかではなかった。
それに比べると、サントリー烏龍茶の中国美女が一口で食べて、熱さに身もだえする方がよほど実態を伝えていてステキだった。
こちらはカニ味噌小籠包 5個 1200円
これはこれでアリだけど、台湾のティンダイフォンで食べた時もそう。
変化球としては認めるも、イメージするほどは、カニ味噌の旨さを増幅している気がしない。
無理して食べることはないだろう。ベーシックな小籠包のおかわりをお勧めしたい。
ハチノスの白葱和え こういう小さなおかずがやたら美味。
こういうの頂いて、老酒でもグビグビが楽しいかもしれない。
焼小籠包 食感変わってオツな味に。
トロリとした小籠包に比べ、こちらはシッカと噛む味わい。
サンマー麺 サンマが入っているに非ず。トロみをつけた湯麺とでもいうべきか。
これはなかなか関西では見かけない。さすが魏さん、横浜中華街出身ですなぁ。
大方、長崎ちゃんぽんの原型はこういうものだったのかもしれない。
今、見てきたら、他に無いわけで、サンマーメン(生馬麺)は横浜生まれなんだそうな。
魏さん、第二の故郷の味を都で出す、ということですかぁ。なるほど。
店内、紅い提灯が灯り、なかなかいい雰囲気である。
堀川から西に延びる三条会商店街というのが、浮ついたところのない
暮らしに密着した商店街でいい感じ。
京都は東山ばかりぢゃないよ。西の方に栄えあらんことを。
魏飯夷堂 京都市中京区三条岩上西入る 三条会商店街