マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

豚と前割り

2008-01-20 12:57:48 | 

焼酎に前割りといふものありき。
鹿児島・宮崎では盛んに行われている飲み方である。
前もって焼酎を水で割り、瓶の中で一日から一週間ほど寝かせると、酒と水の分子がうまく交じり合い、これを黒千代香(くろぢょか)でゆっくり燗をつけると、なんとも口当たりのいい、まろやかな酒になる。
そんな前割りを飲ませてくれる、天下茶屋の焼きとんの店。
ここは鹿児島佐多岬で育つ薩摩茶美豚を使う。


まずはミミガーぽん酢で、「しま千両」の前割り。
ボクとほぼ同い年の週刊誌はメニュー。

とんとろ


ガツ  腸に近い、筋肉が発達した胃。牛でいうとアカセン辺り?
 

薩摩の「紅椿」、「いも麹芋」、大分の「兼竹」、「あくがれ」…
ぢょかは直火にかける場合もあるが、ここは湯煎にしてある。
口当たりのいいこと、ごっつ香りよろしい~

軽くしゃぶしゃぶ状態にしたなんか。
セレクトは主人川端友二さんにおまかせした。


煮込み  澄んだダシに入っているのは珍しい。
この汁吸いながら、また飲める。


ん~、テッポウでしたかいな。直腸。


天王寺かぶら  なにわの伝統野菜


のどぶえ コリコリッとした食感。 歌上手くなるかな。
打ち止めは薩摩の「八幡」。ストレートな芋の味わい。
風邪っぴきだったのだが、調子よう飲んでしまいましたぁ~。
先輩が新歌舞伎座裏で、焼きとんやってるとか。
こっちも行かねばならんなぁ。


   焼とんya   たゆたゆ    西成区天下茶屋  駅東へスグ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トリロー門下の歌姫

2008-01-14 21:33:43 | 音楽


            

楠トシエのCMソング大全が発売になるという。これは買わねば。
http://www.mikitoriro.jp/html/kusunokitoshie/kusunoki.html
楠トシエといえば、元祖CMソングの女王。1000を下らぬレコーディングをこなしている。
テレビっ子の私としては、彼女のCMソングで育てられた。

♪ あ~かちゃんの時からカ~ネボウ毛糸 
♪ 牛乳石鹸、よい石鹸
♪ ワワワ~ワが三つ、ワワワ~ワが三つ
♪ ジュースもソースもカゴメ 

白黒テレビのチャンネルをひねれば彼女の声があった。競合スポンサーもお構いなしの時代だ。
トシエは新宿ムーランルージュの舞台で認められ、三木トリロー門下で頭角を現した。どこまでも明るいモダンな声が彼女の身上だ。
トリローの描くジャズをベースとした明るいメロディラインと、リズミカルに編んだ歌詞に彼女の澱みのない声はぴったりだった。
天地総子もCM女王の一人だが、トシエの方がよりジャズっぽいスイング感を表現でき、商品名のもうひと押しも効いたと思う。

オールドファンにはNHKの公開コメディ、江戸家猫八、一龍斎貞鳳、三遊亭小金馬らと共演した『お笑い三人組』でお馴染みだろう。
後年見返した最終回「きょうは引越しの巻」(66.3.15放送)では、桜京美、音羽美子とのトリオで、アンドリュースシスターズばりのハーモニーを生放送で聴かせた。3人をリードしていたのは明らかにトシエだった。
公開コメディなどで喜劇を演じながら、その合間で完璧なハモりを聞かせられる、その技術にたまげたものだ。

「おはよう子供ショー」にビンちゃんとして出演していた頃には、こっちがもう子供番組ではアカンかった。「ひょっこりひょうたん島」のサンデー先生の声も彼女。実は紅白歌合戦にも何度も出演しているそうな。

あの変幻自在のとにかく底抜けに明るい、バタくさい歌声は、記憶の中で白黒テレビと結びつき、「名犬ラッシー」や「ララミー牧場」「パパは何でも知っている」「奥様は魔女」「じゃじゃ馬億万長者」「早撃ちマック」「どら猫大将」「名探偵フィリック」「ポパイ」「ターザン」などと同じ種類の、輸入ドラマの氾濫していたあの時代、でも日本的な貧乏くささのあるお茶の間とは、かなりの距離感があった昭和30年代の匂いがする気がしてならない。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

市場朝めし

2008-01-11 01:13:57 | 

来年には新しくなる木津市場。
その歴史は江戸末期にまでさかのぼれるとか。
大阪随一の民間の大きな卸売市場。
焼け跡に建て増し、建て増しで作られた戦後の匂いの残る
佇まいが見られるのも、そう長いことは無い。


ってなことで、市場めしは築地ばかりぢゃねぇよ~。
木津市場に「当志郎」あり。

おばちゃんの「毎度、今日は何しよ~」の声に、「貝汁!」「粕汁!」
「ご飯中!」とか注文して、冷蔵庫を見に行く。


ブリ、まぐろ赤身。


白子豆腐(裏メニュー)


サバ煮付け
中は白いあっさりとしたままで、これを濃い煮汁につけて
食べ、白めしをかっこむ。

オムレツ 中には牛ミンチとシイタケを炒め、ワインを使った
具が潜んでいる。


竹の子の肉巻き
甘辛い味付け、これもご飯が進む


豚汁 貝汁 かす汁・・・ここで朝、熱い汁をすすると、
酒に疲れた胃袋にジ~ンと染み入り、目が覚めてくる。


市場のめし屋には、独特の高揚感がある。


  当志郎  浪速区敷津東2 木津市場内

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イトー家の食卓

2008-01-07 05:03:29 | 

全国のイトーさんは飽きるほど言われてるだろうが、イトー家の食卓にお邪魔した。毎年、ここに仲間内で集まっているといふ。しかし、うちの実家のすぐ近所にこんな閑静な住宅があろうとは知らなんだ。

集まったメンバーは同級生ばかり10人ほど。イトー家の主人も同級生で幼稚園も一緒だが、一度も同じクラスになったことがなく、話したことはほぼ皆無。半世紀を経てこうしてお近づきになっているのだから人生わからない。
一緒にうかがったKトー君は部屋に室内に入るや、「ヨメ連れて来なくてよかったぁ~、絶対甲斐性なしと罵られたわ」と吹き抜けの天井を仰いで嘆いた。まさに!光あふれるリビング、馬鹿でかいテレビ、庭には市民バーベキュー大会ができそうなテラコッタを埋めた一角がある。
これ見せたら家人に何を言われるか。
まったく近所に居ながら、悪夢の台所を持つ実家とはえらい相違である。同じ建築関係者の風上にもおけぬから、風下においてくれぃ。


あるじが作ったクラブハウスサンド。サクサクいけます。
家長であるイトー君、けっこうキッチンに立つという。


ベーコン・ポテサラのオープンサンド


サーモン、蓮根、柚子のサラダ


サラダ


手羽先の唐揚げ  
二度揚げしてたっぷりのゴマをまぶしてある


キムチらっきょう、美味い。チャンジャ。名前忘れた豆。
Kメさん持参の小粒の甘塩梅干、好評。

頂いた河内鴨を持参。同行したKめさんに用意してもらった白ネギと
一緒にさっと炒める。鴨の脂がネギを美味くする、旨味成分も増える出会いもの。


トッポキと平てん、ネギの煮物
韓国の二大屋台フード、トッポキとオデンが合体したような。
韓国食材も、こうしてすっかり日本のおかずに馴染んでいる!

づけまぐろの手こね寿司 (&茶碗蒸し)
海苔もどっさり


談論風発 この席で7時間ぐらいいたことになる。
ふすまの向うでホウキが逆さに立っていることもなく、
うるさいオッサンども相手に、温かいもてなしに感謝。
有難うございました。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平成20年!戦うおせち

2008-01-03 12:10:56 | 

手が掛かるわりには、すき好んで食べる人間も減っているし、二日からデパートもやってるってんで、すでに本邦の2割の人間が「おせちを食べない」という。好きな時間にノソノソ起き出して、家族それぞれが勝手なものを食べるのだというが、そういうのは真っ平御免。
アンシャン・レジームと言われようが、季節感がなくなっている今、せめて正月の寿ぎの食卓ぐらいは残っていて欲しいとせつに思う。

だが、それは一般論としてであり、リアルに我が実家に話が及べば、
キキ、キィ---ッ!と急ブレーキを踏まねばならん。
実家には昭和の御世と共に齢を重ねる父がまだ健在で、自炊を行っている。だが衛生観念は戦後のドサクサのままである。この人物に食品偽装は存在しない。消費期限などハナからない。冷蔵庫を開ければ臭気と共に出てくるわ、出てくるわ…よそう、気分が悪くなってきた。

正月を実家でおくるには、まず前もって帰郷し、人間ホイホイと化した台所の床や放置された使用済み食器、こぼし放題の油などから大掃除に取り掛からねばならぬのだ。
毎年のように「来年はおせちはやめときましょう」「ああ、やめとこう」という話になるのだが、父は例年この台所でなにがしか作っていて、始末の悪いことにそいつを我々に勧めるのである。断れば怒る。
あの台所にして、一週間も前に作って北向きの部屋に置いてあったお重をである。寒いったって冷蔵庫に勝るはずはない。カビも生える。プンと匂いもする…よそう、熱が出てきた。

そんな訳で知人の助言もあり、今年は掃除の段階でお重を奪って帰ることにした。「今年は全部こちらでやりますから」と。だが先に実家に着いた兄一家からメールが入った。【も、もう…おせちが出来ている…】
なぬ~ッ!?し、しまった、実家にゃもう一つお重があったのを忘れてたぁ~

てなわけで、「一刻も早く、そちらのおせちの到着を待つ…S・O・S…」プププの緊急信号を受けて、地球防衛軍の制服の代わりにエプロンをサッと巻き、ヨメは我が家の台所にスクランブル発進した。
いやまぁ、ゴロ寝してたのが起きただけだが。

今年は食あたり防衛省に強い助っ人が来た。それがこいつだ!


山田洋行あいや、某、AK金属から貸与された圧力鍋である。これが威力を発揮するのである!
♪~ラララ、シチューも1分間、大豆も1分間…と歌われる鍋だ。
奥さん、今だに圧力鍋が怖いなんて言ってませんか?とんでもない。
ワシャ、ジャパネットたか○か!

これがなかなかスグレ物で簡単で早いっちゅうの。
仕事上、貸与してもらったんだけど、このまんま安く譲って下さいと
土下座でもしてみるつもり。安いなぁ~オレの土下座。

実家から奪ってきた古い四段重。ど~んとまるで京間の畳のように
でかい。一見薄汚いが、中は塗り直してあったりする。

そもそもおせち料理とは戦国時代に始まり、埦飯(おうばん)とよばれた公家などの饗応の膳であった。これが江戸時代に「大盤振舞い」に転じ、泰平の世の中に於いて、下々でも年始第一の祝儀として定着し、相互の親睦に役立ったと飲食事典にある。


一の重はレギュラー陣  黒豆は岸澤屋製


二の重  煮〆関係 人参は鍋の威力で柔らかくなり過ぎた。
野菜の多くは錦の八百屋で買った。

三の重  北京五輪を夏に控え、日中友好を盛り上げていこうと
中華関係。


四の重  え~っ、こんなのが?って言われたりするが、
ヒレカツは実家の定番


他に酢蓮、なます、到来物のかもロース。
なくてもいいけど、あれば食卓が華やかになるおせち。
そこにあるとなんだか落ち着く気がするのが、何百年も続く
伝統というものなのだろう。
何重も揃えなくとも、せめて三品ぐらいは前菜に出して欲しいものだ。

お雑煮は父が頑として譲らぬ、東京風。
いろいろ入れるは邪道とする。でもあたしゃ白味噌も食べてみたい。
酒を飲むので、うちは最後に出る。

カマンベール、ミモレットでシードル(林檎の発泡酒)、白、赤ワイン。
純米酒、麦焼酎。
エビスのグリーンラベルがキレがあって美味かった。

四段の重は二回の食卓できれいさっぱり完食。こうでなきゃ。
ただ親爺からは、美味いも不味いもへったくれも何にも反応なし。
やり甲斐のないこと夥しい。
親爺作の三段重は元旦の席で覇権を争うこともなく、
静かにご自分の酒のアテとなっていることだろう。
幸いにして彼が自作であたったと、きいたことはない。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする