マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

平成20年!戦うおせち

2008-01-03 12:10:56 | 

手が掛かるわりには、すき好んで食べる人間も減っているし、二日からデパートもやってるってんで、すでに本邦の2割の人間が「おせちを食べない」という。好きな時間にノソノソ起き出して、家族それぞれが勝手なものを食べるのだというが、そういうのは真っ平御免。
アンシャン・レジームと言われようが、季節感がなくなっている今、せめて正月の寿ぎの食卓ぐらいは残っていて欲しいとせつに思う。

だが、それは一般論としてであり、リアルに我が実家に話が及べば、
キキ、キィ---ッ!と急ブレーキを踏まねばならん。
実家には昭和の御世と共に齢を重ねる父がまだ健在で、自炊を行っている。だが衛生観念は戦後のドサクサのままである。この人物に食品偽装は存在しない。消費期限などハナからない。冷蔵庫を開ければ臭気と共に出てくるわ、出てくるわ…よそう、気分が悪くなってきた。

正月を実家でおくるには、まず前もって帰郷し、人間ホイホイと化した台所の床や放置された使用済み食器、こぼし放題の油などから大掃除に取り掛からねばならぬのだ。
毎年のように「来年はおせちはやめときましょう」「ああ、やめとこう」という話になるのだが、父は例年この台所でなにがしか作っていて、始末の悪いことにそいつを我々に勧めるのである。断れば怒る。
あの台所にして、一週間も前に作って北向きの部屋に置いてあったお重をである。寒いったって冷蔵庫に勝るはずはない。カビも生える。プンと匂いもする…よそう、熱が出てきた。

そんな訳で知人の助言もあり、今年は掃除の段階でお重を奪って帰ることにした。「今年は全部こちらでやりますから」と。だが先に実家に着いた兄一家からメールが入った。【も、もう…おせちが出来ている…】
なぬ~ッ!?し、しまった、実家にゃもう一つお重があったのを忘れてたぁ~

てなわけで、「一刻も早く、そちらのおせちの到着を待つ…S・O・S…」プププの緊急信号を受けて、地球防衛軍の制服の代わりにエプロンをサッと巻き、ヨメは我が家の台所にスクランブル発進した。
いやまぁ、ゴロ寝してたのが起きただけだが。

今年は食あたり防衛省に強い助っ人が来た。それがこいつだ!


山田洋行あいや、某、AK金属から貸与された圧力鍋である。これが威力を発揮するのである!
♪~ラララ、シチューも1分間、大豆も1分間…と歌われる鍋だ。
奥さん、今だに圧力鍋が怖いなんて言ってませんか?とんでもない。
ワシャ、ジャパネットたか○か!

これがなかなかスグレ物で簡単で早いっちゅうの。
仕事上、貸与してもらったんだけど、このまんま安く譲って下さいと
土下座でもしてみるつもり。安いなぁ~オレの土下座。

実家から奪ってきた古い四段重。ど~んとまるで京間の畳のように
でかい。一見薄汚いが、中は塗り直してあったりする。

そもそもおせち料理とは戦国時代に始まり、埦飯(おうばん)とよばれた公家などの饗応の膳であった。これが江戸時代に「大盤振舞い」に転じ、泰平の世の中に於いて、下々でも年始第一の祝儀として定着し、相互の親睦に役立ったと飲食事典にある。


一の重はレギュラー陣  黒豆は岸澤屋製


二の重  煮〆関係 人参は鍋の威力で柔らかくなり過ぎた。
野菜の多くは錦の八百屋で買った。

三の重  北京五輪を夏に控え、日中友好を盛り上げていこうと
中華関係。


四の重  え~っ、こんなのが?って言われたりするが、
ヒレカツは実家の定番


他に酢蓮、なます、到来物のかもロース。
なくてもいいけど、あれば食卓が華やかになるおせち。
そこにあるとなんだか落ち着く気がするのが、何百年も続く
伝統というものなのだろう。
何重も揃えなくとも、せめて三品ぐらいは前菜に出して欲しいものだ。

お雑煮は父が頑として譲らぬ、東京風。
いろいろ入れるは邪道とする。でもあたしゃ白味噌も食べてみたい。
酒を飲むので、うちは最後に出る。

カマンベール、ミモレットでシードル(林檎の発泡酒)、白、赤ワイン。
純米酒、麦焼酎。
エビスのグリーンラベルがキレがあって美味かった。

四段の重は二回の食卓できれいさっぱり完食。こうでなきゃ。
ただ親爺からは、美味いも不味いもへったくれも何にも反応なし。
やり甲斐のないこと夥しい。
親爺作の三段重は元旦の席で覇権を争うこともなく、
静かにご自分の酒のアテとなっていることだろう。
幸いにして彼が自作であたったと、きいたことはない。