マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

まだ、しぞ~か

2012-06-19 13:08:26 | Weblog


静岡へ来たなら、気になっていた 「おでん横丁」へ行ってみないと。

いつか見たグラビアのキッチュな姿が記憶に残っている。





それにしてもどうよ、このにぎにぎしさ。 満艦飾のめでたさよ。

まるで時代劇の終幕近く、きれいどころが手に手に桜の枝を持って出てくる

花柳糸之社中の群舞のような華々しさ。

さすがにまだ明るい中、この中に入って行く気にはなれなんだ。






というわけで、日も落ちてから。

一見、ひと目を気にして入る悪所に見えるが、

ややこしい客引きなど一人もいない、「青葉おでん横丁」。







この桜の造花は、秋になればもみじになるんだよ。

ひと通りちら見して、あてずっぽうで入ったのが「なごや」。

静岡で名古屋とは、これいかに。






年配の女将さんが一人。 どことなく落ちつける。

店内は、よくある地方のスナックのようでもあり。

でも、決定的にちがうのは・・・

これだ!





ズズ~ン!!・・・・・・おでんの鍋がすえてあること。

まぁ、おでん横丁なのだから、当然っちゃあ当然。






塩辛なんぞをたのみ、焼酎なんぞ所望。

気のいいおばちゃんと世話話。

静岡市内にはいっぱい屋台があり、そいつが昭和39年、

東京五輪の開催に合わせ、廃止に追いやられた。

そこで屋台置き場だったこの場所で、軒並み固定の店にしたという。

当初から続く店は、なごやを含めてもう2軒ほどしかない。




しぞーか割り。 抹茶を立てて焼酎で割る。

こいつがなかなかごきげん。





珍しいところで「すじ」を。初めて東京で食った時にはカルチャーギャップだった。

大阪ではすじといえば牛スジ、こっちのはサメの軟骨がコチコチッと歯に当たる。

美味いかどうかというと、まぁ、趣きがある。

全国のおでんを網羅した労作、新井由己氏の「とことんおでん紀行」(凱風社 1999年)によると、

 “ゆでかまぼこの一種で、西日本で好まれる「牛すじ」のような動物の筋肉部のことではない。
 はんぺんの製造過程で除去された(サメの)皮・中落ち・軟骨・筋の多い肉を練りつぶし、混ぜ合せた後に
 成形して茹でたもの。水戸辺りから出始め、西は浜松辺りまで出回っている。主に関東で消費される”


とある。東京の老舗おでん屋では、小判型で一見コロッケのようなスジだった。


そして、忘れずだし粉をしっかりふりかける。
たしかお母さん、だし粉は焼津から始まったと言ってたような。
言い方を変えるとですな、それほどだしの方にお金をかけかくとも、だし粉でうま味をカバーできるという
ことでもあるんぢゃなかろうか。馴れないとちょっと魚臭かったりする。






豚モツも行っとこう。





今回は行けなかったが、駄菓子系というのもある。

つまりは駄菓子屋で子供相手に商うようなものだった。するとおでんだし自体にお金をかけず、
だし粉や、甘辛い味噌をかけたりして食べさせるのも納得できる。

ふと思い出した。 赤塚不二夫作「おそ松くん」のチビ太とは静岡県人だったのではあるまいか。

常に串に刺さったのを持っている。三角(コンニャク)・丸(がんも)・四角(なると)の3種類。

なるとをおでん種にするなんて、関西では見たことがなかった。

 …ナルトってのは、ご本人に聞いたので間違いない。






ところが、静岡にはちゃんとナルトのおでんがある!

しっかりと色がついて、赤いうず潮がよく見えないが。

これぐらいクタクタに煮て味が沁みると、ちょっと美味い。







「なごや」の屋号は、亡くなったご主人が、名古屋で洋食の修業をした方だから。

ふだんは静かに飲みたい方だが、狭い店だしね、隣り合ったひとに

喋りかけられては黙っているわけにもいかんし。






佐賀嬉野の観光大使のようなことをしてる御仁と、某薬品メーカーの営業マン。

まぁ何かの縁という奴である。

ほぉ・・・壁には石塚英彦、「まいう~」のいっしゃんも来た様子。

いたって色気はないけれど、また寄れる店ができて、ほっこり。







  さぁて、とぼとぼと帰りましょうか。