マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

燗酒の向こうに港町堺が見える

2012-05-12 03:19:09 | Weblog

そもそも堺はメタリックな臨海工業地帯ができる前は、
すぐ近くに浜があり、小魚があがった。
堺の名産は穴子だった。
よって、今だに穴子の寿司で聞こえた「深清鮓」なんて店がある。


堺でちょっと雁首揃えて飲む会があったので、ギリギリなんだけど、
マキで、となりの駅まで寄り道。
長いことご無沙汰の、ここに来たかった。





いわゆる酒屋の中のカウンターで飲ましてもらう、角打ち。
ビールで喉を湿らせたあとは、すぐさま酒。
燗酒は灘の生一本、桜正宗。 申し分ございません。





カウンターの目の前には、本日できるもの。
おっ、ワタリガニがある。 さすがは泉州。





泉州は海底が砂地なので、底ものはアカシタ(舌ビラメ)、アナゴ、カレイ、
ガッチョ(メゴチ)などがあがる。

魚場として知られる淡路や明石とも地続きともいえるのだから、
地形にもそれほど大差は無いのだろう。
型は小さいが、いい魚があがるのだ。





黒板に「あなごキモ」。 

実はこれがお目当て。





深清を中心に、ここいらは何軒もの穴子屋があった。
寿司ネタに作る加工場があり、そこでは当然のことながら肝も残る。
この肝をネギと一緒に小鍋立てにするというのだから、たまらない。
どこを探しても、こんな酒肴出てきやしない。





シャコの塩茹で  これも泉州名物だ。
泉南の小僧はとろ箱で買ってきて、おやつ代わりにしたという。
おおまかに剥いてくれているが、まともにやろうものなら、指先の皮が何枚あっても足りるまい。

子持ちだったりして、うへへへへ…
にんまりして、酒をグイ。指先をペロ。
一人目尻を下げて、アホのおっさんである。





アツアツの穴子鍋ができあがる。 豆腐を入れて、溶き卵が入る。
これをつつきながら、なんぼでも飲める。





だしを吸ってはグイ。
穴子の肝がまたいいアクセントになる。
葱がまたいいんだわ。

泉州堺。 堺は港町だったんだ、の思いを深く持つ。
横では一日汗かいて仕事したであろう、アンちゃんたちが一杯やってる。
たいして汗などかいていない自分としては肩身が狭いが、そんなこと言ってられない。
利休でも晶子でもない、政令指定都市関係ない、堺のもう一つの素顔に触れられる。

これだぁな、堺で飲む醍醐味とは。

口の中ヤケドしながらたいらげ、勘定。
たまらなく安い。

この後行った、活魚料理店のことは高かったことしか記憶に残っていない。
こういう地元にポツンとあって、地物でサクッと飲ませてくれる店こそ、そっとしておきたい町の宝ぢゃわい。