マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

やっぱり小肌から

2008-11-03 14:29:50 | 

この晩は小肌から始めた。新子を三匹づけで。
江戸っ子はこの新子を殊のほか珍重した。
まさか、地元近くの富田でこんな寿司に会おうとは思わなかった。
塩加減も酢の〆具合もぴたり。



佇まいは立派な玄関を持つ、地方にありがちな店構え。
ともすればこういう店は造りや鍋で酒を飲む客が主体で、折角いい腕があるのに寿司を食べる客が少なかったりする。ここはどうか。



平目のえんがわ昆布〆 塩(海老塩といったっけ)

塩は伊豆諸島の最南端、ひんぎゃの天然塩を使う。



なんだか忘れた・・・ヒラマサだか、ソイだか。



車エビ 玉子のおぼろをのせて

中にかましたり、玉子を海老にまぶして握る店はあるが、
上に乗せるのは初めてだった。文句なく旨い。



頭は塩焼きでバリバリッ・・・



ここで温かいお椀。クエの濃厚な吸い物

旨いが骨をとらなきゃいけないのは、寿司屋にはどうかな。



玉子焼きは山芋をつなぎに使う。
きれいな色は出ないが、とろりとした食感は面白い。



近大マグロ
全身トロとかいうやつである。
う~ん、個人的には本マグロかインドの中トロまでで勘弁。
祇園さ々木もびっくりの伊豆産山葵がのる。
脂が勝つので少しも辛くない。

話題性はあるが、通人は羽織の裏に凝りたいのと同様、見えない仕事の方が粋ではないのかな。
東京の寿司好きが見たら、えげつないと感じるんだろうな。たぶん。



茶碗蒸し  大阪の鮨屋にはなぜか茶碗蒸しなんだなぁ。
東京では一切見たことがない。これはこれで旨いんだがな。
つまり、寿司に対する考えが違うんですな。関西はやっぱり御馳走。
東京だって今や寿司は御馳走には違いないんだけど。
蕗の薹の柚子みそが効いている。



煮穴子  断然こっち向きで握った方が食欲が湧くんだけど。
どうも皮目を上に握る店が、しかも高級店に多くて困る。
もちろん、個人的理由!



キンメダイ
ネタごとに皿を替えてくるのも実に景色が変わって面白い。



山葵の茎巻き
思ったほどは効かない
でも、飯に醤油を漬けたくないな・・・



酒が少し残ったので、烏賊の塩辛を所望。
ワタを使わない白い塩辛。

主人喜多さん、高槻の「一楽」で修業後、ここをひらいた。
       
焼酎の取り揃えに力が入ってるので、聞けば富田の酒屋「白菊屋」の柳川さんに育てられたという。「あやむ屋」や方々で白菊屋の名前は前々から聞いていた。本格焼酎の仕掛け人の一人である。
味にも精通していらして、主人は散々怒られて来たという。
身近にいい師匠がいて結構なことだ。



水菓子は柿のコンポート。

北摂でなかなかコレ!という寿司屋さんに巡り合わないので、是非とも頑張ってもらいたい。そして客はしっかり寿司を食ってもらいたい。
客が寿司屋を育て、寿司屋が客を育てる。
そんなふうな気がする。




       寿司・割烹 「磯若」    高槻市富田町1



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ABC・・・XYZ これは俺らの口ぐせさ

2008-11-03 02:38:40 | Weblog

 
           

フランク永井が死んだ。
戦後の歌謡史に残るムード歌謡の代名詞だった。低音の伸びのある甘い歌声だった。
戦後、米軍キャンプのクラブで歌い始め、のど自慢荒らしから歌い手になったというストーリーも、いかにも昭和の歌手だ。


叔母がラジオでフランクを聴いて、どんなダンディな歌手なのだろうかと実演を観に行ってがっかりしたと言ってたが、まぁ決して男前ではなかった。タクシーの運転手が背広に着替えて出てきたような雰囲気を持っていた。

「有楽町で逢いましょう」は有楽町そごう開店時のCMソング。
二村貞一が戦前歌った「君恋し」をドドンパのリズムで歌った。
「東京ナイトクラブ」は松尾和子とのデュエット。
戦後の高度成長で小金を持った男たちのために、ナイトクラブは
燦然と夜空にきらめいた。
その時代が、まさにフランクの全盛時代といえる。


表題の「西銀座駅前」など東京っぽいイメージを歌った一方、一連の大阪物といえる石浜恒夫作詞の楽曲がある。「こいさんのラブコール」「大阪ぐらし」「大阪ろまん」・・・なんだかベタついて好かんかったが、今となってはちょっといい。


晩年の石浜恒夫氏に病院でお会いしたことがある。作家藤沢桓夫の身内ということで、大阪の作家、ことに織田作之助と親交があった。凡百の歌とちがい、独特の詩情があふれているので、どこかで見かけたら味わってみてほしい。


フランク後期の「公園の手品師」は、ABC(朝日放送)ホームソングというシリーズの中で生まれた佳曲。今年出した長谷川きよしのアルバムにカバーされていた。ジャンル分けはしにくいが、とてもいい歌だ。
今となってはなかなか難しい仕事だが、このホームソングを誰かまとめてもらえないかな。


         


85年、53歳の時、愛人問題のもつれで自殺未遂。
酸欠による脳障害が残り、歌手としての生命はその時点で断たれた。
76歳の今までよくぞ生きながらえていた、という感じだ。


「フランク永井は低音の魅力、神戸一郎も低音の魅力、水原弘も低音の魅力、漫談の牧伸二、低能の魅力・・・」我々の年代、ガキの時分に一度は口ずさんだことがあるにちがいない。

歌手はフランクのカバーをしてみるといい。ムード歌謡・・・この辺りにまだ鉱脈が眠っている気がするのだ。
そしてもう一度、フランクの歌が見直され、ナツメロなんかぢゃなく巷に流れることを切望する。

おつかれさまでした。

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