マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

頬かぶりの中に

2008-03-03 14:16:29 | 

元々、道頓堀のお茶屋にして、その後、楽器店に。
ウインドーにピカピカ輝くアコーディオンやサックスが飾られ、
モダンな譜面が配置され、さぞや丁稚さん達の目を奪ったことだろう。
食べ物屋になったのは戦後のこと。うどんで有名な『今井』だが、
本来は蕎麦屋。大層スマートだった、先代主人の矜持であろう。


     

今井の玄関は情緒満点。一本柳は中座の火事にも焼けなんだ。
その足下には「頬かぶりの中に日本一の顔」、ご存知初代雁治郎の
顕彰碑がある。この門前に南地、道頓堀の自負が感じられる。
右の立て板に「豆ご飯はじめました・・・にしめと豆ご飯」とある。シブ!
さて、先の池田の「吾妻」に続いては、こちらの・・・きつねうどん!

     

昔ながらの、四角い揚げが2枚、刻みねぎ。
たて縞になっているのはタイガース関係なし、天井の蛍光灯の所為。


だしは甘くなく、単なる薄味でもない。昆布・鰹をしっかり使いながらも
吸物のような上品に仕上げるのでなく、鰹節だけではない他の節も
掛け合わせ雑味を出し、それがある種の力強さを生む。
淡白な麺も旨く食べさせるだけの、複雑な旨味が交差する。
ああ、この感じか・・・これぞ大阪人が好んできたスーパー・スタンダー
ドな味か、の思い。


ぽってりとした揚げをギュッギュッと箸で抑えると、甘味がだしに
ジュワッと溶け出し、一層だしはまったりと変化する。
これ以上、何かを足そうとしても、思いつかないぐらい
完成された味である。


欲を言えば、丼をもっと熱の伝わらないものにしてもらいたい。
今どきの犬食いではなく、しっかりと丼を左手に持って食べたいので、
それにしたら熱すぎる。

何処の国にいるのかわからない、道頓堀の喧騒から逃げ出すには
ここが一番よろし。あの玄関から扉までの数歩、あそこが結界。
日本一の芝居処、道頓堀の情緒にじわっと浸って欲しいなぁ。
(道頓堀をこんなことにしてしまった行政のボケに実は腹が立ち…)

     
     御蕎麦処 今井    中央区道頓堀一丁目

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする