マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

侮れぬ大衆てっちり

2006-11-12 18:49:38 | 

全国にものすごい勢いで出店する「玄品ふぐ」。銘酒小鼓で知られる西山酒造のタイポグラフィで知られる綿貫宏介のデザインによる意匠。オレは最初てっきり西山酒造の出店かと思った。
誕生日にどうぞというハガキが来たので、行くことにした。

熱々の燗酒を注ぐので、実際には酒の旨みも飛びそうだが、何で美味いのだろうヒレ酒。実に香ばしい。他のチャンスに飲もうとは思わない。
やはりてっちりの前段として出てきてほしい。突出しには皮の湯引き。
てっさか、ぶつ切りが付くのでてっさにした。この量もたっぷり。

唐揚げ。一人分でこの量。この判りやすい味はガキでも解るだろう。
手づかみで骨にむしゃぶりつく。これは見合いには向かない料理だ。
かつて、この業界に入って、てっちりも知らないでは恥ずべきことなので、数人で黒門市場の『太政』で鍋を囲んだ。結果解ったことは、よく味が判らないということであった。1万なんぼ出すなら、その分で目一杯トンカツが食いたいと、正直そう思った。
(写真は二人前)
それからというもの、てっちり好きに会うと「ホントのとこ何処が美味いんですか?」と尋ねてまわった。すると、答えに窮する者がいたり、苦し紛れに「しいていうとポン酢の味かな」などと言う者がいて、ならばポン酢を飲んでればいいではないか、となかば憤慨していた。
あれから幾星霜、何度かてっちりを食する機会も経て、その晴れやかさも判るようになったが、実際その味を説明せよと言われたら、これ難しい。しいて言うと、ポン酢の味なのだ…。

いえることは、てっちりとは経験値のいる食べ物で、味もあるかないかのギリギリの淡白さ、上品さ。その淡味、ここに尽きる気がする。あのウロコもない膨れっ面の猛毒を持つ魚が、一転して実に上品で鯛を上回る真っ白な身を持つ…この辺りのアンビバレンツも好事家たちにもてはやされた部分なのだろう。
「これサービスです」といって店員が松茸を入れてくれた。時期的に遅いし冷凍だろうが、ハレの演出に相応しい。最初に皿盛りに乗ってるより意外性があって嬉しい。女性客ならきゃあきゃあ言うところだ。

雑炊も店員におまかせ。うるさく言う鍋奉行でもないので、作ってもらえると、それなりに作法があって、面白いと思う程度。ただ、ダシの出た鍋汁を随分掬って減らされたのは残念。もうちょいしゃぶしゃぶでも構わない。ご飯は二人で茶碗に一杯半ずつぐらいあった。

誕生日のオレには小さなスパークリングワイン(スペイン産カヴァかな)をプレゼント。帰りには雑炊で使う玉子6個パックをもらった。
なんか得した感じ。食事中は何度もおしぼりを替えに来るし、なかなか細やかな動きは心地よかった。このコースが@5300とあらば、なかなかお値打ちと言えよう。

調べたら本店は大阪松原。全国に81店舗毎月出店が伸びるメガチェーンストアだと知った。無駄が出ないように玄品では他の料理は一切手を出さず、ふぐのみ。潔よし!イチキュッパの泳ぎふぐも収束に向かった今、この手の大型大衆チェーン店に期待してみる。

これ以上のダンピング競争は望まぬから、このレベルで正直なものを出し続けてほしいと望むばかり。
結構、いい誕生日メシになったのである。

コメント
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