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見沼基本計画(素案)に対する意見メモ

2010-08-31 | 龍神伝心
見沼基本計画(素案)に対する意見メ
八木 信一 九州大学大学院経済学研究院准教授
◎計画推進のガバナンスについて
計画はそれだけでなく、
これを推進する組織と財源がセットになって機能するようになる。
組織と財源は計画推進のガバナンスにかかわるが、
このうち組織については調整組織の設置が提示されている一方で、
財源については中長期的な財政計画が全く示されていない。
セントラルパークの整備や斜面林の保全などは、
当然のことながら財政支出を伴う。
財政制約が厳しいなかで、
これらをはじめとした計画内容の実現可能性を評価するために、
財政計画の作成と公開は不可欠であると考える。


◎見沼田圃の将来地域構造について
見沼田圃の将来地域構造の前提として、
生態系ネットワークや生物多様性の維持が真っ先に位置づけられていることは、
不可解である。
これらはあくまでも田圃保全の結果の1つであり、
それを目的として計画は進めることには違和感を感じる。
見沼田圃を「エコロジーパーク化」したいのであろうか。
見沼田圃の生態系の維持は、
それに必要な水循環と大気循環の安定性が不可欠であるが、
計画ではこれらの関係性が断片的にしか捉えられていない。
さらに、水循環と大気循環をめぐっては、
土地利用の現状やその変遷との関係を把握することが重要であり、
土地ごとのきめ細かい調査を行う必要がある。
そこにおいて、
農業者だけでなく市民も巻き込んだボトムアップ的な調査をおこなうことは、
見沼田圃の多面的機能の評価を共有することにおいても有効であると考える。
しかし、このような志向性を。
見沼田圃の将来地域構造図から垣間見ることはできない。

◎見沼田圃における農業について
計画は、「これから」を主張することに偏っており、
その根拠となる「これまで」の政策にかかる評価が十分にはなされていない。
このことは、とくに見沼田圃における農業をめぐって、顕著に見られる。
高付加価値化やブランド化、および直売所など、
地名を換えればどの地域でも該当するような政策が羅列されている。
見沼田圃の特性やそこで展開されている農をめぐって、
具体的に論じられてこそのローカルビジョンなのではないだろうか。

◎農地としての復元が困難な荒れ地等への対応について
計画では、農地としての復元が困難な荒れ地や耕作放棄地については、
湿地や草地などとして管理することについて検討を進めるとしている。
だが、湿地や草地という人の手があまり加わらない状態にしておくことが、
はたして「活用しながら保全すること」と言えるのだろうか。
公有地化推進事業の評価も踏まえつつ、
復元が困難になる前の対策を拡充させることを、
考える必要あるのではないか。
<以上>

「さいたま市(仮称)見沼基本計画(素案)」の公表および意見募集

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