blog 福祉農園通信・龍神伝心

アジアモンスーンに吹かれて
共生の農業
見沼田んぼ福祉農園 

2000年6月 農園便り 竜神伝心

2008-03-13 | 龍神伝心
市川瑞雄先生からの便り
大宮在住の写真家の市川瑞雄先生から見沼や武蔵野の自然を写し取った写真集が届いた。
「猪瀬様 先日は南部領辻の竹林の写真撮らせて頂きました。
ボランティアの皆様方のお陰ですっかり生き生きとしておりました。
これからも時々撮影したいと思います。写真集送ります。」という便りが同封されていました。
3月下旬の日曜日。

浜田さんとトラスト用地から切り出した孟宗竹を車に積み込んでいる所で、
久しぶりに市川先生に再会した。
先生は、トラスト用地の竹林を間伐したことで竹林が明るくなり、
斜面林の美しさが増したことを大変喜んでいらした。
見沼田んぼ保全運動の草創期。先生の撮った見沼の写真が多くの人に感動を呼び、
見沼保全の必要性を訴える大きな力になった。
(写真はトラスト用地の竹林を手入れする農園ボランティアの浜田さんと大井さん。)


ヒヨドリが去った後」  
ヒヨドリが去った後、カラスが農園の回りに居着いて悪さを始めています。
新鮮でおいしいものが沢山あることを嗅ぎつけたようです。
農園で弁当やおやつに持ってきた食べ物は、油断していると持って行かれま。
残飯は新たなカラスの群を農園に引き寄せます。
行楽で農園を訪れた人にも残飯やゴミは残さず持って帰ってもらっています。
ヒヨドリは渡り鳥なので時が来れば飛び去ります、カラスは定住します。
何か対策を考えなければと浜田さん達と話し合っています。
芋などの地下になるものは良いのですが、トマトやナス、キュウリ、トウモロコシ、
豆類などの地上に実のなるものは寒冷紗やフェンスなどで覆いをする必要があるかも知れません。

農作業も本番をむかえます
開園記念日が終わると、農作業も本番をむかえます。
夏に向けて草取りが主な仕事になります。
因みに日本の農業を「草取り農業」などと言う人もいます。
雑草は雑草を生みます。また害虫のすみかにもなりるので、
除草をまめに徹底して行かなければと思います。
雑草をマルチに利用する人もいますが、冬の乾燥した時期はいいのですが、
気温が上がるこれからの時期、
抜き取った雑草を放置しておくと害虫の繁殖のもとになるので、
芽欠きした芽や茎。抜き取った雑草は堆肥場に集めて堆肥にします。
雑草の発酵促進に完熟堆肥や糠を混ぜると、
堆肥の中の微生物が活発に活動をはじめ、堆肥化を助けます。
堆肥は発酵過程で70℃位まで発酵温度が上がる。
このため、完熟堆肥は虫の卵も分解してしまいます。
紫外線は殺菌作用がある。
このため紫外線によって堆肥を発酵させる菌も死んでしまいますから
堆肥場はブルシートなどで覆いをして外線から守ります。
昨年、夜盗虫等が農園全体に被害を出しました。
今年は昨年のことを教訓に、雑草の徹底除草と、
つみ取った雑草の堆肥化で虫の発生を少なくすることを目標に作業を進めていきたいと思います。
(写真は第二農園の水辺の回廊。)

見沼福祉農園推進協議会 代表 猪瀬 良一

2000年5月 農園便り 福祉農園にエコ発電器がやってきた日

2008-03-13 | 龍神伝心
見沼田んぼ福祉農園にエコ発電器がやってきた日。

「わくわく」が厚生省の補助金で風力と太陽光によるエコ発電機を購入。
その発電器を福祉農園のプレハブ小屋の上に設置することになった。
エコ発電機の設置作業が四月二九日に行われた。
 四月二九日は「みどりの日」でもある。
この日、見沼田んぼでは県のトラスト協会が主催して
国昌寺裏の「トラスト一号地」の手入れと、炭焼きの講習会が行われた。
このイベントに、福祉農園からは農園ボランティアの浜田さんと大井さん、
浜田さんの友人の桑原さんと猪瀬、
そして「わわく」からはスタッフの霜田さんと霜田さんの奥さんが参加した。
 
気持ちよく晴れた日で、
総持院の牡丹見物の行楽客も加わってトラスト用地の周辺は出店もでるような賑わいだった。

行楽客と混ざりながら、
トラスト用地内の東屋周辺の下草刈りをトラスト協会のメンバーとすませて、
竹林の奥の炭焼き小屋に移動して炭焼きの講習会に参加。
何となく炭焼きのコツが分かったような気がした頃お昼になった。
 
午後から霜田さんと農園ボランティアの浜田さん、
そして桑原さんが加わってエコ発電機の設置作業になった。

エコ発電機はキットになっていて設置の手引き書も付いているのだが
未知なる領域の作業に不安がつのたが、
浜田さんも桑原さんも機械整備のプロ。
二人の協力で作業は予想以上の早さで進んだ。
猪瀬が電線を買いに行っている間に、
残った人たちで第2農園の池の導水路に
コンクリートの土管を埋め込む作業を終わらせていた。
午後3時過ぎには発電機を設置する作業は無事終了し、
風と日の光を受けて発電器は早速充電を開始する。

普通ならここで全ての作業を終了してお開きとなるのだが、
農園ボランティアの人たちはそれでは終わらない。
午前中勉強した炭焼きを実践してみようと、
第二農園に置いてあるドラム缶製の炭焼き釜で炭焼きの準備にとりかかる。
トラスト用地で間伐した孟宗竹を三月下旬にもらってあった。
その孟宗竹を切りそろえ、炭焼き釜に並べ薪の準備も始める。
準備が終わり点火は翌日になるのではと思ったら、
浜田さんが薪に点火、午後五時半頃、炭焼きが始まった。

朝、トラスト用地の下草刈り、その後、炭焼きの講習会に参加。
午後はエコ発電機の設置工事。土管の埋め込み、
そして炭焼き作業と最後の「みどりの日」は目まぐるしい一日になった。

季節の花でバースデーケーキを作って、
新都心の誕生を祝おうという企画に農園ボランティアの浜田さんやぺんぎん村、
いちご会等が賛同して花を苗から育て、
5月3日に約五百鉢、新都心に搬入した。
浜田さんはけやき広場の花の管理を県から頼まれ、
5月7日までボランティアとして新都心のけやき広場に日参することにった。
農園を起点に世界がどんどん広がっていく。

2000年5月農園便り 後半 

2008-03-13 | 龍神伝心
見沼田んぼ近隣の農家の暮らしは農的諸条件を活かし、
自然との共存の中で営まれていました。
田んぼと周辺の里山(=斜面林)。
代用水や沼、ため池、小川などからなる見沼田んぼの景観は、
見沼田んぼに生きる人々が歴史を重ねて生み出してきたものです。
それは、「田んぼ」と言う言葉に表されるように、
稲作農業の「自然と協調しながら利益を獲得する」というあり方が
自然との共存を可能にしたのです。
見沼田んぼの田んぼやその周りの里山に生息する生物との共存関係が失われ始めたのは、
農業の近代化で、DDT等の農薬の使用が始まりです。
農薬等の散布が見沼の生態系を変容させ、人間にも影響を及ぼしました。
そして、戦後のいわゆる近代化の波は、見沼にも例外なく訪れ、
農村社会の伝統的構造に変化をもたらしました。

また、見沼代用水や小川のコンクリート化などにより、
見沼田んぼの水辺と里山の自然を衰退に導きました。

何故、福祉農園にビオトープが必要なのか。
子どもの頃の身近な自然とふれあいは原風景として、人に心に大きな影響を与えます。
人は自然のなかで知恵を身につけ、身体を鍛えてきた。
それがあたりまえの姿だった。
今、人は自然のなかで知恵を身につけ、身体を鍛える「遊び」の空間を奪われつつあります。
「人は豊かな自然環境のなかで、たくさんの不思議や生き物と出会うことによって活き活きと目を輝かせます。
自然との関わりから獲得されるものが、
彼らの健康と成長・発達に欠くことのできないものであることに、すでに多くの人が気づいているのです。
これまで利便性や快適性のために自然の支配を追求してきた私たちの文明は、
20紀を終えようとする今日、自然の重要性を認識し、自然と共生したライフスタイルの形態を模索し始めています。
それがビヨトープづくりという運動となって各国に広がりつつある。」農文協「ビオトープ教育入門」より。

ビオトープ(=里山と水辺)」の復元に向けて
「ビオトープは野生生物の生存する空間を示す学術用語です。
トンボ、ホタル、メダカなどの具体的な保護対象をイメージしたとき、
それらの生物を育んでいるひとまとまりの環境を示す言葉として使われます。
そして、それは身近な自然を再生・復元するときの旗印として今日掲げられている。」農文協「ビオトープ教育入門」より。

福祉農園のテーマは「園芸療法=社会園芸」を活用した農作業だけはなく、
人と自然が共生する場づくりも大きなテーマです。
自然の重要性を認識し、自然と共生したライフスタイルを模索する場として農園づくりがすすめられています。

見沼福祉農園では里山と水辺を復元するため、
第2農園に池や沼を掘り、第3農園に湧く小川の水を引き込み、
水性生物や水生植物の種子が回遊するための
水辺の回廊(コリドー)作りが始まっています。

堆肥を使った農業。炭焼き。
風車が回り、自然エネルギーを活用した発電。
そして、ビオトープ(=里山と水辺)づくりが始まりました。
見沼田んぼ福祉農園は、農業の多面的機能を活かして深化を続けています。