北の風に吹かれて~独り漫遊記~

町歩きを中心に、日々の出来事を綴ります。 
(C)ナナマガラー All Rights Reserved.

二つの「釧路川」

2018-07-10 20:08:36 | 釧路&釧根地方






釧路市内を流れる雄大な川。
北海道を代表する川である石狩川や豊平川、帯広周辺の十勝川や札内川などと同じく、自然が生み出した景色に心を奪われてしまいそうになります。





「新釧路川」という、延長11.2kmの川なのですが、この川は、土木学会選奨の「土木遺産」に認定されています。
これだけ言うと、川だけに、護岸ブロックなどの附属施設が「土木遺産」に認定されているかのように思われるかもしれないけど、そうではなく、実はこの川それ自体が、「土木遺産」に認定されているのです。
どういうことかと言うと・・・。





そうなんです。
一見、大変雄大な自然の河川かと思ってしまいますが、実はこの「新釧路川」は、人工的な水路なのです。

その昔、釧路周辺は大雨により度々川が氾濫していましたが、1920年(大正9年)8月10日に発生し、浸水面積171㎢、家屋被害2,000戸以上という甚大な被害をもたらした洪水を契機に、市街地を流れる川を上流域から切り離す新水路の掘削工事が始まりました。
当時としては最先端の土木技術により1931年(昭和6年)に完成したこの新水路は「新釧路川」と呼ばれ、これ以降、釧路は洪水被害に見舞われることもなく、現在に至っています。





これが、その一大事業を記念する「釧路川治水記念碑」。
「治水記念公園」として整備されている広場に設置されています。














「治水記念公園」にはこうして遊歩道も整備されており、晴れた日には、綺麗な川の水の側でゆったりと気持ちよく散歩を楽しむことができます。
(「治水記念公園」はこちら





先程、1920年の洪水を契機に、既存の川を上流から切り離すべく現在の「新釧路川」の工事が始まったと書きましたが、その川というのが、この「釧路川」という川。
阿寒摩周国立公園内の「屈斜路湖」を水源とする、延長は154km、流域面積は2,510㎢の一級河川で、人工的なダムや堰が存在しないという日本では数少ない河川です。





幣舞橋から、一つ上流側の「久寿里橋」へ向けて。





そして、「フィッシャーマンズワーフMOO」の側から海へ向けて。

今回紹介した二つの川、現在は上記のとおり、幣舞橋が架かる方が「釧路川」で、最初に紹介した方が「新釧路川」と呼ばれていますが、1967年(昭和42年)、河川法の改訂を機に、人工河川の方を「釧路川」とし、現在の「釧路川」の方は「旧釧路川」と呼ばれるようになっていました。
しかし、「旧」という表記が地域には受け入れられず、地元が展開してきた改称運動が実を結んで、2001年に現在の名称となっています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする