気持ちよい五月の空の下、東吾妻町の薬師温泉郷の手前に開園した甘酒原に遊ぶ。新聞でその開園を知った
ので行ってみた。まだまだ整備途上にある花園だが、地元の有志の皆さんが手弁当でやっているので、素朴
そのものの花園が拡がっていた。標高750mの高原は人気の八ッ場ダムや薬師温泉にも近く、数年後に今
は幼木の花の樹が育つとなかなか見応えのある場所に変わる予感がする。
赤城山に中腹にある赤城自然園は西武グループの潤沢な資金で素晴らしい花園が拡がる。ここには到底及ば
ないが、素朴さを前面に押し出していけば10年先立派な花園に変わるのではないか。
現在は見られる花はミツバツツジとこの町を代表するスイセンくらいだが、数百本のシラネアオイが育ち花
をつけ始めるとグッと人気が出るのではないか。それまで準備資金が続けばいいがと願いながら、募金箱に
ささやかな金額を納めてここを後にした。
中之条町は1万人程度の人口を持つ山間部のごく平凡な街だが、文化的レベルはかなり高い。その昔蘭学者
高野長英が脱獄して日本中を逃避行していた際に立ち寄り、地元の知識人に暫くの間匿われていたこともあ
る街。当時人材は政治の中心江戸よりも地方の藩が優れた人材を輩出したとは司馬遼太郎氏が著書「街道を
ゆく」でしばしば指摘されている。この街もその一つであり今もその伝統が息づいている。
町の郊外に嵩山という名山がある。この岩峰からはるか200m下まで人の親指ほどの太さのワイヤーロー
プ張られている。この季節ここに沢山のこいのぼりが吊るされる。壮観な光景が展開する。不要になったこ
いのぼりを集めてロープに吊るす、近年どこの地方でもやっている。昭和に時代までは杉の丸太を手に入れ
庭に立てそれに吊るしたものだが、昨今の住宅事情ではなかな出来ない。金をかけずに多くの人を喜ばせる
ことが出来る仕掛けだ。
嵩山のこいのぼりはこの形の原型かもしれない。清流の王者鯉に相応しい新緑を背景にした豪快な風景だ。