財界の指導者だった者が、当事者として、労働者を使い捨てにする政策を実行してきたわけだが、それが間違いであったと言い始めているという。
経営者は株主に奉仕することが、資本主義社会の原則だと考えて、そのことが最も効率よく社会に富をもたらすと考え、業績をあげることを最優先としてきたのだが、貧富の格差が社会に亀裂をうみ、これを調和させるために社会が払うコストが高い、というのである。次の時代は、より分配に力を入れた社会をめざすべきだ、というのだ。
彼らは、労働法制の改悪を実行させた張本人でありながら、非正規雇用があまりに増えていくことに困惑したといい、いまや、非正規の正規化を提言したいというのである。
ところが、安倍政権は、財界当事者が間違っていたという道を、自覚なしに暴走を続けている。
大多数の人びとが暮らしやすくするにはどうすればいいのか、そういう視点で、政治が行われなければ、世の中うまくいかないことを、人びとは気づきつつある。だが、自然にそうはならない。人々の意思が、そうなってこなくてはならない。