とにかく喋らない。肝心なことはしゃべらない。そう決めていたみたいで、雰囲気がどうの、人柄がどうの、また、会う約束をしただの、とにかく当たり障りのないことを、記者会見で述べていた。
こんな会見は、まったく意味を成さないのだが、それでも、そこから、いろいろと問題点を探そうとするのが、世間というものである。
まずは、たいへんなことになったという印象を弱める効果があったように思うけれども、実際に大統領になったとき、何から始めるのか、選挙の時と同じなのか違うのか、まるで見当はつかない。どちらへころんでも、オッケーという会見であった。
とにもかくにも、始めて会った国家の首脳ということで、注目は高かったのだろう。ニューヨークの記者会見には、通訳もいた。日本語の質問は、英訳してから、英語の場合は、日本語に通訳してから、安部氏が答える、答も英訳されるという具合で、いつもの具合とは違う。
国際的にも注目されたのだろうが、それにしてもこんな記者会見なら、事前に用意できることであって、会談したナマの成果を示せなかったのは、失望である。それでも、さあ大変だ、これからやることは山ほどある、という雰囲気ではなかったから、そのへんが情報といえば情報だろうか。