「山の神仏」を鑑賞した後は、
またまた無料の招待券をいただいていた
神戸市立博物館の特別展
「HOKUSAI」
を見に行きました。
ボストン美術館が所有する北斎の絵画を
140点集めた特別展で
6月22日まで開催されています。
北斎は90歳まで対象を凝視し続け、
晩年にようやく
「禽獣虫魚の骨格、草木の出生を悟し得たり」と言っています。
絵を描くためにはその対象を
理解し尽くすことが大切であるという
彼のポリシーに基づく言葉です。
生き物はその骨格、
草木はその生まれ出づる仕組みまでも理解して
絵にした北斎の作品が展示されている
神戸市立博物館は、
あのルミナリエの通りの海側にあります。
緑に覆われていた大阪市立美術館の建物とは違って、
ビルが立ち並ぶ区画の一角にある
普通のひとつの建物といった感じでした。
平日に湾岸線とハーバーハイウェイを
車で飛ばして1時間強。
ようやく着いた時には、
もう館内は人であふれかえっていました。
絵をじっくり見るには、
人の列についていかねばならないのですが、
館関係者は
「肩越しでよければ中へどうぞ~」
としきりに案内をしていました。
少しでも人の流れを動かそうと
しているんですね。
肩越しにといっても、
ある人が一枚の絵の前にとどまると、
そこでもう人の列は分断されてしまいますので、
2部屋目くらいからは
自由に移動することもできました。
doiron一行はお目当てはじっくり、
そうでないところは肩越しに
と進んでいきました。
それでも人の多いことに変わりはありません。
中には礼儀知らずな人もいたり、
勝手に解説を始める変なおっさんもいたりしましたが、
それでも順調に流れている方だったと思います。
ただ、平日でこれなのだから、
休日はちょっと想像したくない状況だと思います。
博物館の中の様子はこれくらいにして、
さて展示されていた作品について触れていきましょう。
もっとも目をひいたのが、
生き物と花を一枚の中に描いた
花鳥図16枚。
これはまさに、禽獣虫魚の骨格、
草木の出生を悟し得た
北斎の真骨頂。
額縁に納まった絵の中から生き物が飛び出し、
花が香ってくるようでした。
いろんな場所から見える富士を描いた
「富嶽三十六景」
は、いつ見てもその構図の大胆さに驚かされます。
それに空に落とした
藍と茜の色が本当にきれいでした。
5年前に、北斎が描いた
富士周辺の森羅万象のひとしずくに触れる旅をしました。
あの時のことを思い出しました。
(2009年9月6日、7日のブログ参照)
また、風景画のひとつとして、
「諸国瀧廻り」シリーズの8枚が展示されていました。
瀧廻りとは、まるでジダンやdoironと同じことを、
北斎もしていたのですね。
先日の大阪の熊野曼荼羅を思い出しながら、
もし北斎がこのシリーズで那智の滝を描いたら、
そして彼が曼荼羅図を描いていたら
どんな絵になっただろうと想像を膨らませてしまいました。
他にも、「百物語」や「諸国名橋奇譚」など
色も鮮やかな作品を眺めつつ、
心ときめく時間を過ごしました。
展示が終わると、だいたい、こんな特別展のときには
グッズの販売が併設されています。
doironはもちろん花鳥図関連のグッズ(絵葉書)
を購入いたしました。
貧乏ですがはりこみました。
これに言葉をつけるトレーニングを
してみるのも面白そうです。
ペンネームは「葛飾白菜」なんてのはどうですかね。
大阪市立美術館に
さらに輪をかけて混雑していた
「HOKUSAI展」。
ええもん見させてもらいました。
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