仕事からの帰り道、携帯が鳴った。
「ラジオで、近所で火事やって言ってたで」
と友達からの連絡。
あわてて家に電話してみた。
家にはばあちゃんがいる筈だ。
でも・・・
近所で大きな火事だったらずぇ~ったい
見に行ってていないだろうし
(救急車が来ても必ず確認に行く
今日どこどこの誰々は転んで怪我したらしいでと
聞いてもないのに教えてくれる
ばあちゃんは村の情報通なのだ)
それより、家が火事だったら
電話はなんて反応するんだろう
「この電話番号のおうちは、燃えました」
なんて言われたらびっくりするなあ
などと思いつつかけてみたら
呼び出しが10回くらい鳴ったところで、出た!ほっ
「近所で火事やって?」
「そやで、○○ちゃんとこの奥の作業場が燃えてなあ。
煙がすごくて息できんかったわ」
「で、原因は?」
「さっきから聞き込み中や」
さすがに情報通だけあって、動きが俊敏だ
「で、今は?」
「おさまってる」
「じゃあ、ちょっと走って帰るわ」
「好きにしー」ガチャ!
また帰ってから聞こうと思いながら
ルネで、愛人、いや恋人ローラーと一緒に走って
プールに行って
風呂に入って
帰ろうとしたら今度は妻からメールが入ってた。
「帰ったら火事の現場検証行こうね」
う~ん、遺伝子は確実に引き継がれている
って、あんたらホントの親子じゃないやん
ばあちゃんはワシの親じゃん。
で、帰ってから行ってみた。
(結局行くんかい)
あたりには焚き火の後に水をかけたようなにおいが
立ち込めている。
しかし暗いこともあってかどこがどう燃えたのかわからない
実はそこの作業場では数匹の犬を飼ってて
以前、自治会の人から苦情があったので
自治会の役員としてはほっておけず
つないでくれと一人で言いに行ったことがある。
そのときは、「この犬はおとなしいから」と取り合わない
しつこく食い下がってたら、奥から
ガラの悪そうなオニイサンが出てきた。
「最近、犬が虐待されてるんやあ」と逆に反論。
「それは放してるからやろ。ワシは村の代表として
話に来てるんや、言い分あるんやったら
村のもん集めて話し聞いたるで。まあとにかく
つなぐか外に出んようにしといたらお互いええで」
そんなやり取りのあった後
相変わらず犬は放されてあったが
言い聞かされたのか不思議にほえたりしなくなった
でも、今度は野焼きをはじめたので
いつか言ってやろと思っていた矢先の火事
原因はきっと野焼きの火の不始末じゃろうな。
しばらくは村の年寄り連中は
「えらい煙じゃったのう」
と、この話題で盛り上がるんやろなあ。
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