雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

秘密 上下

2018-07-22 17:39:50 | 

ケイト・モートン著"秘密 上下"を読みました。
モートンの"湖畔荘"を読んで別のものも読んで
みたくなりました。

やはり時代が入れ替わったり、視点が変わったりします。
ローレルは60半ばの有名な女優です。
母親のドロシーは死の床についています。
ローレルは1961年の16歳の時に母が訪ねてきた
男性を殺したのをツリーハウスから見ました。
強盗犯を正当防衛で殺したとされました。
しかしローレルは男が母に「久しぶりだね。ドロシー」
と言ったのを聞きました。

ローレルは結婚前の母がどんな人だったのか知りたいと
いう思いに駆られ調べ始めました。
父と母は幸せな結婚生活を続け、子供たちも幸せに
過ごしました。
子供たちに想像力豊かな話を聞かせ、善良ないい
妻であり母でした。

ドロシーとヴィヴィアンという女性が写っている
写真を手がかりに調査を開始します。

話はローレルの視点で描かれたり、ドロシーの視点、
ヴィヴィアンの視点、あるいはドロシーの恋人で
後にヴィヴィアンとも付き合いがあるビリーの
視点で描かれています。
ですから読者は知っているけどローレルは知らないと
いうことがあります。

1941年当時にボーンマスでヴィヴィアンは
ヘンリー・ジェンキンスと結婚していました。
ヘンリーは作家で年齢の離れた夫婦でした。
1961年に母が殺したのはこのヘンリーです。
ヴィヴィアンは41年に空襲で亡くなっています。

ドロシーの生い立ち、ヴィヴィアンの生い立ちが
描かれています。
ヴィヴィアンは8歳の時に家族全員を交通事故で
亡くし、オーストラリアからイギリスの叔父の元に
送られました。
ドロシーは専制的な父親の元で育ちました。
戦争で家族全員を亡くしています。

ドロシーのことを調べていくと想像力がある人物ですが
悪いこともする人物です。
ビリーは悲惨な戦争を写真に撮る仕事をしています。
常識ある人ですがドロシーに引きずられています。
ビリーはドロシーの計略でヴィヴィアンに近づきます。
ドロシーが非難するようなヴィヴィアンではないことに
ビリーは気づきます。

ローレルには3人の妹と1人の弟がいます。
弟のジェラルドは事件の時2歳でした。
母の側におりおぼろげに何かが起こったことを
覚えています。
妹たちには事件のことは何も知らされてはいません。
ローレルはジェラルドに61年に起こったことを話し、
調査の手助けを頼みます。

調べるにつれドロシーの悪い面を見ることになります。
自己愛が強く空想世界に落ち込む人物だという人もいます。
結婚前と後とではドロシーがまるで違う人物になって
います。

人ってこんなにも変わるものなのかなという疑問を
いだきながら読み進みました。

最後に真実がわかってああこういうことだったのかと
思います。
悲惨な若い時代を生きてきました。
でも結婚後は幸せな人生でした。
ヘンリーさえ現れなければもっといい人生だった
でしょうに。