雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと 果てない舞台

2018-07-11 16:39:32 | 

三上延著"ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと
果てない舞台"を読みました。
シリーズ7冊目でこの本が最終だそうです。
古書店が舞台ですから古い本の話が中心です。
今回は太宰治の"晩年"を巡る話も出てきますが、
シェークスピアのファースト・フォリオを巡る話が
中心です。
ファースト・フォリオとはシェイクスピアの戯曲を
まとめて出版した最初の作品集だそうです。
1600年代に出版されたもので現在残っているのは
二百数十冊にすぎません。
1冊の値段が億単位のものになります。

栞子の母方の祖母の水城英子が登場します。
彼女は久我山尚大との間に栞子の母の篠川智恵子を
産みました。
尚大とは疎遠でしたが、尚大は死期が近くなった時に
智恵子に古書店を継がせたく思いファースト・フォリオで
彼女を試すような真似をしました。
しかし彼女はその企てを一蹴しました。
一生懸命お膳立てした計画を台無しにされた尚大は
怒り狂い、古書を大事にする者には信じられないような
ことを実行しました。
このことが栞子の母の智恵子が夫や娘二人を置いて家を
出て行った原因となりました。

今回は吉原喜一という尚大の弟子だったという男が登場
して栞子と母智恵子を翻弄します。
吉原は二人を完璧に操ったと喜びの絶頂にありましたが、
さて結果はどうなったでしょう。

智恵子の生き方はどうも受け入れられないものがあります。
でも考えてみるともしこれが男性であったならまわりの
ものは却ってがんばっているなとほめるかもしれません。
女性はこういうことはしてはいけないんだという常識に
私もとらわれているのでしょうね。

本というのは中身のデータに価値があるのであって本という
物質には意味がないという気持ちでいました。
古書というものは中身もさることながら物質としての
本というものにも大きな価値があるのですね。
でも私には古書として価値あるものを持ちたいという
気持ちはまったく起きないです。