雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

悪魔の手毬歌

2014-01-13 21:40:12 | 

横溝正史著"悪魔の手毬歌"を読みました。
前にも書きましたが横溝さんの話は何回も映画やドラマで
見てますがどういうわけか内容を覚えていないんですよね。
この話もそうです。
でも読み終わってみると緻密に構成されてすごいなと
感じます。
また忘れてしまうかもしれませんけど。

金田一耕介は長期間静養をしようと岡山の磯川警部を
訪ねます。
磯川警部に鬼首村を紹介されます。
二十三、四年前にこの村で殺人事件が起って犯人は
その後消息がわかりません。
恩田幾三という男が村人にモール生産を進めました。
最初はうまくいっていましたが状況が変わって失敗しました。
多々羅放庵という元村の有力者の離れに住んでいました。
詐欺師だと対決しに行った青池源次郎を殺して逐電しました。

金田一は源次郎の妻のリカが経営する亀の湯に逗留する
ことになります。
放庵は8人の妻を持ちましたが今は一人です。
5番目の妻だったおりんから復縁を求める手紙が届きます。
喜んで迎える返事を出します。
金田一はおりんと出会います。
「おりんでござります。お庄屋さんのところへ、もどって
まいりました。…」
事件を開始を告げる有名な場面です。
放庵は毒殺された跡を残しながらも死体は見つかりません。

有名な歌手・女優となった千恵子、芸名大空まゆみが
村に帰ってきます。
彼女は母春江と恩田の間に生まれた娘です。

村には由良と仁礼という二軒の有力者がいます。
由良の娘の泰子が殺されます。
小さな滝の下で枡から流れる水を漏斗で受ける姿で
見つかります。
由良の屋号は枡屋です。

翌日には仁礼の娘の文子が殺されます。
秤とマユ玉が置かれています。
彼女の家の屋号は秤屋です。

古い歌でもう知る人も少ない手毬歌の歌詞に合わせて
殺人が行われているのではないかと由良のお婆さんが
金田一に告げます。

泰子は亀の湯の歌名雄との縁談がありました。
文子の家からも縁談が持ち込まれていました。
歌名雄の妹の里子は美しいのですが顔や体に
痣があり人前に出るのを嫌っています。

里子が殺されます。
本来なら次に殺害されるのは千恵子のはずでした。
泰子、文子、千恵子、里子はみんな同い年です。

金田一は神戸まで行って青池源次郎という人を調べて
きます。
真実を突きとめたときに犯人は村人に追われて泥沼に
身を投げます。
二十数年前の事件の真相も明らかにされます。

こんな事件が起きる種を蒔いた人が一番の罪深いです。
殺した女性たちが美しいというのが耐えられないと
いうのはわかる気がしますが殺していい理由ではないです。
理由を話して結婚を阻止することができないことが
引き金をひいたのでしょう。

磯川警部にも秘めた思いがあったようです。
横溝作品は残酷な話が多いのですが何度見たり読んだり
しても飽きないなぁ。