雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

メグル

2011-07-01 20:56:26 | 
乾 ルカ
東京創元社
発売日:2010-02-24


乾ルカ著"メグル"を読みました。
大学の学生部でアルバイトの斡旋をしています。
女性職員の悠木さんに断らないでねと押しつけられた
5人の学生のアルバイトの話です。

"ヒカレル"
健二のアルバイトは死者と二人きりの場所で死者の手を
ずっと握っていることです。
生きている人をひっぱっていてしまう死者がいるので
それをさせないために死者の手を一晩中握っているのです。
この話は幻想的な現実離れの話です。
死んだお婆さんが起き上がってきて会話までします。
最後は健二の手に出来ていた重病のメラノーマを持って
行ってくれました。

"モドル"
飯沼はお父さんが倒れて半身不随になりわがままに
なりました。おかあさんは疲れきっています。
家の中はぎすぎずして居心地が悪くなりました。
お父さんが入院していた病院の売店でアルバイト
することになります。

"アタエル"
このアルバイトは悠木が取り下げようとしたところ
条件がいいからと学生がむりやり引き受けたものです。
高木は犬に餌を与える仕事をすることになります。
その家の家族は旅行に出かけます。
なにやらあやしい雰囲気の家です。
与えている肉は何の肉?
家に残っているはずのお婆さんはどこ?

"タベル"
食べるだけのアルバイトを橋爪は引き受けます。
佐藤の家へ行き佐藤が作った料理を食べるだけです。
佐藤自身は見ているだけで食べません。
橋爪は食べることに抵抗があります。
中学の時クラスメートの前で吐いてしまってそれから
人と食べるのが嫌です。
次から友達の小泉を連れていきます。
小泉は食べることを楽しめる人物です。
佐藤は病気で食事がとれないのです。
食をめぐる話です。

"メグル"
これも幻想の世界の話です。
学生から職員になった大橋は学生のころから毎年
庭の手入れのアルバイトを引き受けています。
その庭は自分自身の家の庭です。
以前にその家に住んでいて亡くなった人が依頼主です。
幽霊に指示されて自分の庭の手入れをするわけです。

楽しいかといわれたらあんまり楽しくはないです。
設定が変っていてそれが目新しいとはいえます。
幻想的な話が2点、なんとも気持ち悪い犬の話など
があります。
タベルが一番有り得る話でいい雰囲気で終わっていて
5点の中では明るい話です。