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雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ホームズ連盟の冒険

2018-11-22 21:00:00 | 

北原尚彦著"ホームズ連盟の冒険"を読みました。
シャーロック・ホームズのパスティーシュです。
ホームズの身近にいた人々がそれぞれの話の
語り手になって活躍します。

モリアーティ教授が大学教授を辞めて大犯罪
組織のボスになった顛末の話。

ワトスン夫人のメアリが夫が出かけた間に
関わった双子の少女の話。

少年給仕ビリーがホームズが外出中に訪ねて
きたアメリカから来た男を怪しんで後を
追っていく話。

ホームズの兄のマイクロフトが行きつけの
ディオゲネス・クラブの危機を回避しようと
いろいろ手を尽くす話。

モリアーティ教授の腹心の部下のモラン大佐が
モリアーティに命令された暗殺を遂行しようと
します。
その時武器製造を依頼して出会ったのが
フランチェスカです。

医学助手スタンフォードは病院の死体置き場で
ホームズに出会いました。
彼はそこで死体を使って実験をしていました。
スタンフォードは無理やりホームズの探偵の
手伝いをさせられることとなりました。
部屋を探していたホームズは広い部屋を
シェアしないかと申し込まれました。
嫌だった彼はワトスンを紹介しました。
ワトスンがホームズの事件の記録を書くきっかけを
作りました。

事件自体はそれほど難しいものはありません。
ホームズのまわりの人々の話を楽しく
読みました。

花冷えて 闇医者おゑん秘録帖

2018-11-21 11:34:56 | 

あさのあつこ著"花冷えて 闇医者おゑん秘録帖"を
読みました。
シリーズ物を途中から読んでしまったようです。
わからない部分もありますが特に問題ありません。
おゑんは今でいう産婦人科医です。
彼女の祖父は外国からやってきた医師でした。
献身的に人々に接したのに、その人々に無残に
家族を殺された過去を持ちます。
札差高麗屋の好意で竹に囲まれた家を借りて
仕事をしています。
いっしょに暮らしているのは末音と弟子の
お春です。

材木問屋の梅木屋の女主人のお江代が女中の
お竹の堕胎を頼んできました。
婿である主人が手を出して妊娠しました。
おゑんは高ぴしゃに申し出を要求するお江代の
話を聞き出します。
お竹は初めはびくびくして自分の想いを
語るということさえ考えられません。
おゑんはお竹を預かります。
お竹には十助という幼馴染がいます。
十助がお竹の子は自分の子だとやってきます。
お竹自身にもどちらの子かわかりません。

お竹はおゑんの元で過ごすうちに変わってゆきます。
強い人になりました。
子供と共に生きていくという自分の意志を持つ
ようになります。

お江代はずいぶん風変りな人物として描かれて
います。
でもこの人の気持ちなんかわかります。
今の時代なら胸の内のもやもやする思いを爆発
させて生きていく場所はいくらでもあるでしょう。
頭の中で行き場のない思いを増大させてしまった
様に思います。

娘コロリという病気が流行っていると耳にしました。
娘が突然倒れてそのまま死んでしまうという
ものです。
中には回復する人もいます。
おゑんは外出したおり倒れたお静という娘に
出会い介抱しました。
いっしょにいたお千野という娘と言葉を交わし
ました。
彼女は結婚間近でした。
お静について話を聞きました。
しばらくしてお千野が娘コロリで死んだと聞きました。

おゑんは娘コロリというものが病気ではなく
殺人ではと疑いました。
おゑんには何が起こったか想像がつきました。
しかし追い詰めた結果は悲惨なものとなりました。

スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 思いを伝えるシチュー

2018-11-08 21:00:00 | 

友井羊著"スープ屋しずくの謎解き朝ごはん
思いを伝えるシチュー"を読みました。
スープ屋しずくの朝の営業はひっそりと行われます。
知っている人だけが訪れてスープを楽しみます。
店主の麻野には相談事がよく持ち込まれます。

義兄が浮気をしているのではないかと心配して
いる女性の話を聞きます。

ホームパーティーで作ったジャガイモが変色
した謎。

調理道具好きな恋人を持っている女性が、結婚を
延期したいと言われました。
ゴボウの料理が原因の一つらしいです。

お客さんだった大坪さんが亡くなったと娘さんが
訪ねてきました。
奥さんを亡くしてそれまでの生活を捨て家族とも
疎遠となってしずくのある町で暮らしていました。
娘さんは別の女性がいたからではと疑っています。

忠司は麻野の妻だった静句と関りがありました。
過去に飲ませてもらったスープを再現してみようと
しましたがうまくいきません。

おいしそうなスープがいくつも登場します。
スープや料理好きな人には楽しい本でしょうね。

ここは神楽坂西洋館

2018-11-07 21:00:00 | 

三品みり著"ここは神楽坂西洋館"を読みました。
小野泉は結婚式間近に婚約者に裏切られました。
すでに仕事も辞めていました。
神楽坂西洋館という月3万円の下宿を紹介され
引っ越しました。
管理人は藤江陽介、料理人は三島です。
5部屋あります。
なかなか他の住人と顔を合わせることは
なかったのですが徐々に知ることになります。
みんななんらかの問題を抱えた人たちです。
藤江は植物の知識が豊富で庭仕事を請け負って
います。
ぶっきら棒な藤江ですが住人たちを助けています。

102号室に住むのはミロシュです。
セルビアからフランスへ移民した人でフランス語の
講師をしています。
苔に興味を持っています。
隣の家の悦子さんの家出に関係します。

103号室はアロマオイル店を経営する佳織です。
いまでこそ堂々としていますが過去には辛い
日々がありました。
藤江の小学校の時の担任で学級運営が上手く
いきませんでした。

藤江を悩ます優奈が現れます。

藤江は神楽坂西洋館の元の持ち主のサクラ
おばあちゃんの本当の孫ではありません。
サクラに神楽坂西洋館を存続するよう頼まれ
養子縁組しました。
優奈は本当の孫で神楽坂西洋館から藤井を
追い出そうと目論んでいます。

泉は佳織の店で働くようになりました。
海斗という男の子がいじめられているのを
見かけました。
彼は104号室の翔子の息子です。
一言もしゃべろうとしません。

藤井も子供のころに神楽坂西洋館に父親と
共に住んでいました。
父は藤井を置いて姿を消しました。
サクラおばあちゃんに保護されて育ちました。
そのころ優奈はよく遊びに来ていました。
サクラおばあちゃんと優奈の母とは
行き来がありませんでした。

優奈の出現で下宿人たちは住むところを
なくすのではないのかと心配です。
105号室の姿を現さない人物も藤井の
力になろうとします。
この危機は回避されるでしょうか。

楽しいだけの話ではありませんでした。
辛いものを抱えた人たちの安心して
いられる場所が神楽坂西洋館です。

ウォリス家の殺人

2018-11-06 11:57:02 | 

D・M・ディヴァイン著"ウォリス家の殺人"を
読みました。
歴史学者のモーリスはジュリアにガーストン館に
招かれました。
ジュリアは作家ジョフリーの妻です。
ジョフリーは孤児になって、モーリスの両親に引き
取られ二人は一緒に育ちました。
引き取られはしましたが養子とはならず、二人は
仲が良かったとはいえません。
モーリスの息子のクリスとジュリアの娘のアンが
結婚しようとしています。
ジュリアは結婚に反対でモーリスにも諦めさせる
よう求めます。
ジョフリーには実兄ノライオネルがいますが孤児に
なった時に彼は親戚に引き取られています。
その兄が訪ねてきて近所に住みつきました。
ジュリアにはアーサーという浮気相手がいて
この人も近所に住んでいます。

ジョフリーが兄の家で殺されました。
犯人は側で倒れていたライオネルだと見られ
逮捕されます。
しかし、しだいに警察は彼ではないと思い始めます。
怪しい人が周りに沢山います。

モーリスはジョフリーの伝記を書くようジュリアに
頼まれます。
ジョフリーは子供のころからずっと日記をつけて
います。
日記を熟読し伝記の構想を練ります。
ジョフリーの日記には2年間の謎のブランクが
あります。
モーリスはこの間の出来事を追います。

いったいジョフリーにはどんな秘密があるのだろうと
ひかれました。
兄のライオネルに関するものと、もうひとつ
別の秘密がありました。

まったくこんな人が有名人として普通に結婚し
子供を持って生活を続けられた方が不思議な
気がします。
犯人の心もおぞましく恐ろしいものです。

嵯峨野花譜

2018-10-31 11:24:39 | 
著者 : 葉室麟
文藝春秋
発売日 : 2017-07-13

葉室麟著"嵯峨野花譜"を読みました。
少年の胤舜は大覚寺で花務職をしている不濁斎の
弟子として花を活けています。
三人の兄弟子たちも胤舜の花を生ける能力に一目
おいています。
胤舜は2年前母に去られ大覚寺の僧となりました。
母は老中となった水野忠邦の側室となり
胤舜をもうけました。
しかし忠邦は二人を捨てました。
老中となった忠邦は母の萩尾だけを身近に
呼び寄せました。
彼は胤舜を息子として扱おうとはしません。

胤舜は様々な人に頼まれ花を活けます。
昔のことを忘れる花を活けて欲しいと願った
女性は胸を病んでいました。

仲の良かった姉弟の弟は亡くなりました。
亡くなった弟を見つける花を活けて欲しいと
姉から依頼がありました。

公家の21歳と17歳の姉妹から花くらべを
するよう頼まれます。
花を活け和歌を添えなけれいけません。
胤舜が忠邦の息子であることを利用しようと
している者が現れるかもしれないと忠邦は
危惧しています。

さらわれた胤舜は暗闇で花を活けるよう
強要されました。

まもなく亡くなられる人を慰める花を活ける
よう頼まれました。
房野という八十を超える老女は彼の活ける花を
何度も切ってしまいます。

西行法師の桜を活けよと師匠に命じられました。
胤舜が花材を求めて野山へ行くときいつも寺男の
源助が供についてきてくれます。
胤舜と源助との間には古い因縁があることが
わかります。

忠邦が胤舜の前に姿を現します。
忠邦は病気となり姿を消した母の萩野を探して
います。

公家の押山路雅秀と出会います。
彼の父は謀反の疑いで忠邦に死罪にされました。
実際は雅秀が禁断の本を読んでいたことを
庇ってのことです。
雅秀は辛さを胤舜に向けます。

胤舜の母の萩尾が連れ去られました。
京都所司代の資始の仕業です。

助け出された萩尾は大覚寺に引き取られました。
危篤状態の萩尾です。

花を活ける修行をしている胤舜と母と父を
巡って起きる出来事です。
胤舜はこれからの人生を穏やかに生きられる
のでしょうか。

三鬼 三島屋変調百物語 四之続

2018-10-27 21:00:00 | 

宮部みゆき著"三鬼 三島屋変調百物語 四之続"を
読みました。
三島屋の主人の姪のおちかは黒白の間で語り手を
招き不思議な話を聞きます。

"迷いの旅籠"
十二、三の女の子が語り手として来ました。
小作人の娘です。
毎年あかりの森に祭られている田圃の神様の
あかり様を起こすため行灯祭りを盛大に
行っています。
今年はお殿様の子供が病気で亡くなったため
中止にするよう命令されました。
しかし行灯祭りは農業を行う者にとってどうしても
中止できないものです。
あかりの森にある廃屋の障子に絵を描いて、家が
大きな行灯のように見えるようにしようと村に
来ていた灯庵が提案しました。
それが実現された時、恐ろしいことが起きました。

"食客ひだる神"
だるま屋の弁当はとてもおいしいです。
しかしだるま屋は夏は店を閉めています。
だるま屋の主の房五郎が話し手としてきました。
房五郎は煮売屋を女房とやっていました。
母親が病気だとの知らせで故郷へ帰りました。
江戸へ戻る途中でひだる神に取りつかれました。
ひだる神は空腹で行き倒れて死んだ者の霊で
取りつかれるとお腹が空いて歩けなくなります。
ひだる神の文も食事を取れば治ります。
ひだる神に助けられ弁当屋にして成功しました。

"三鬼"
改易となった栗山藩の元江戸家老の村井清左衛門が
話し手としてやってきました。
藩は貧しく、きちんとして政治が行われなかったため
貧しさから抜けられませんでした。
妹の志津がさらわれ辱めを受けました。
清左衛門は犯人の三人を道場で打ちのめしました。
その罪で三年間の山奉行を言いつかりました。
須賀利三郎という者も同じ時に山奉行として山に
送られました。
上村、下村に別れたそれぞれ十世帯ばかりの所です。
厳しい生活を送っていました。
子供、年寄、病人はいません。
村にはあまりの貧しさゆえの秘密がありました。

"おくらさま"
古めかしい振袖を来た女性がやってきました。
若い女性ではなく老女でした。
梅という老女は若かったころの話を始めます。
備仙屋という香具屋の三人姉妹の末娘でした。
蔵には店を守るおくらさまがついていました。
姉妹はおくらさまに毎日お香を焚いていました。
火事が起きた時、周りの家は焼けても備仙屋は
守られました。
おくらさまが交代する時です。
次女のお菊がおくらさまとなりました。
お梅はおくらさまに守られてはいなかった、騙され
祟られていたのだと叫び消えました。
お梅は生霊ではなかったのかと、おちかや従兄の
富次郎、貸本屋の勘一らは備仙堂について
調べまわりました。

不思議な出来事を聞き取るおちかの話の4冊目です。
妖の世界ですがこわさはありません。

琴乃木山荘の不思議事件簿

2018-10-26 13:05:07 | 

大倉崇裕著"琴乃木山荘の不思議事件簿"を読みました。
棚木絵里は龍頭岳山頂近くの山小屋琴乃木荘で
アルバイトで働いています。
山で起こる不思議な出来事を描いた7編です。

"彷徨う幽霊と消えた登山者"
3日間毎日同じ人が山に登ってきているのに
気がつきました。
ザックの大きさが日によって違っています。

"雪の密室と不思議な遭難者"
冬の間は使っていない離れに灯りが見えます。
行ってみると熱を出して倒れている男がいました。
離れには鍵が掛っています。
男は何日も離れにいたようです。

"駐車場の不思議とアリバイ証明"
大樂小屋、第二大樂小屋が竜頭岳登山に利用されて
きました。
第二大樂小屋は廃業になりました。
1年前第二大樂小屋の前に車を止めて登山をし
戻ってみると車が止めた場所と別の所に駐車
していました。

"三つの指導標とプロポーズ"
琴乃木山荘で待ち合わせて彼女にプロポーズを
しようと思っていた男性がぼんやり座っていました。
行き先を標す指導標がいたずらされることが
数年続いています。

"石飛匠と七年前の失踪者"
七年前に嶺雲岳へ登った四人のうちの一人の河内が
忽然と姿を消しました。
河内と山荘で働いている石飛との筆跡や外見が
似ているのに気がついた山荘のオーナーは
残った三人を呼びました。

"竜頭岳と消えた看板"
山岳ガイド兼カメラマンの阿芸が山を止めると
決めました。
いっしょに登っていた弟が亡くなり山に登る
気持ちをなくしました。
琴乃木荘で阿芸を囲んで酒を酌み交わしていました。
翌朝琴乃木山荘に掲げてあった重い看板がなくなって
いました。
竜頭岳の山頂に看板が置いてあることが知らされ
ました。

"棚木絵里と琴之木山荘"
絵里は以前小さな出版社の編集者をしていました。
二年前に編集長の里水が事故で亡くなり会社は
閉じられました。
亡くなる前に里水は絵里に暗号をメールで
送ってきました。
絵里には解けていません。
里水の夫の江島に理恵は編集者としていっしょに
働かないかと打診されています。

山の話は好きです。
事件を解く中心となる石飛がいいですね。
最初の話を読んで、なぜ山荘に頼まないのだろうと
思いました。
嫌だと断られることはないと思うのだけど。
死者がある話もあるけど、すらすらと楽に
読み進められます。

ドクター・デスの遺産

2018-10-16 21:00:00 | 

中山七里著"ドクター・デスの遺産"を読みました。
小学生の馬籠大地から110番へ電話がありました。
お医者さんが来て、お父さんを殺した、という
ものでした。
犬飼刑事が調査にあたることになりました。
父親は末期の病気でした。
経済的にも困窮していました。
大地は知らないお医者さんが来て、その後いつもの
お医者さんが来たと言っています。
麻酔剤のチオペンタールを注射した後に塩化カリウムを
注射して安らかな死を迎えさせたもののようです。
インターネット上に「ドクター・デス」というサイトが
あり死を迎えさせたい人を募集していました。
費用は二十万円という安さで引き受けています。

化学工場の火災で意識不明になった人が死にました。
しかしこの事件は他のものとはちょっと様子が違います。

心筋症の青年が亡くなっています。
ドクター・デスの関与が疑われます。

ドクター・デスは特徴のない人です。
会った人も記憶に残っていません。
医師は看護師を伴って家を訪ねてきていたことが
わかってきました。

治る見込みのない病気で非常に苦しんでいる人に
安楽死を認めてもいいものかどうかがテーマと
なっています。
自分自身は辛い状態になったら安楽死を選べたらと
思います。
しかし法律で認められたら怖い事が起こることが
予想されます。
無理やり死に追いやられる人が出てくることでしょう。
難しい問題ですね。

黄昏の囁き

2018-10-15 21:00:00 | 

綾辻行人著"黄昏の囁き"を読みました。
兄の伸一が死んだとの知らせを受けて翔二は
家に帰りました。
伸一はマンションから落ちました。
両親は事故死といいますが、他殺ではと疑います。
元予備校講師の占部と出会い調べ始めます。
「おじぞうさんがわらった」「これあげるから」
という声が聞こえます。
榎田、一ノ瀬、畑中という幼かったころの伸一の
友人に出会いました。
幼いころ翔二はみんなについて歩いていました。
年齢が下なので仲間に入れてもらえず皆が
遊ぶのを側で見ていました。

次々と伸一の友人が殺されていきます。
幼かったころに何かがあったようです。
そのころの記憶の断片がふっと頭に浮かびます。

面白く読みました。
ただ冷静になってみれば、腑に落ちない話だなと
感じます。
小さな子供たちのとった行動は仕方ないことですし、
非難されることではないと思います。
それをずっと重荷に感じで生きてきたというのは
かわいそうなことです。
犯人の行動こそ理不尽です。
これは精神を病んでいるのでしょうね。

木曜日にはココアを

2018-10-14 14:07:05 | 


青山美智子著"木曜日にはココアを"を読みました。
題名から喫茶店での話なのかなと思いましたが
違いました。
最初は喫茶店の話から始まります。
12話あるのですが、次の話は前の話に登場していた
人の話という風につながっていきます。

マーブル・カフェに木曜日の午後3時に来る女性は
決まってココアを頼みます。
そして外国語で手紙を書いています。
カフェのオーナーのマスターは求人募集の張り紙を
見て応募してきた店員に店を任せてほとんと
姿をみせません。

夫が主夫をしてくれている女性は家事ができません。
でも夫が展覧会に出品して数日家を離れます。
幼稚園の息子のお弁当をつくらなくてはいけなく
なります。

幼稚園のえな先生はネイルを落とすのを忘れて
出勤しました。
園児が褒めてくれました。

三十半ばの高校時代の友人の二人は理沙の結婚を
間近にひかえて会いました。
結婚の予定のない片方は複雑です。

理沙はひろゆきと新婚旅行でシドニーに行きました。
老夫婦といっしょになりました。

結婚したいと思っていた人に振られた時に進一郎に
求婚され結婚しました。
地味な進一郎と50年幸せに暮らしてきました。

緑の絵を描いてきました。
家族に理解されませんでした。
ワーキングホリデーでシドニーに来ました。

ラルフは銀行勤めをやめサンドイッチ屋さんを始めました。
シンディに何色が好きと聞かれオレンジと答えました。
シンディはいなくなってしまいました。
ラルフは店のカラーをオレンジにしました。

魔女だと思っていた先生がいます。
先生に導かれて植物からアロマセラピーへと興味が
広がりました。

子供のころから翻訳家になりたいと思ってきました。
海外の姉妹校の生徒と文通することになりました。
グレイスとの交流は大人になっても続きました。

マコはシドニーのメアリーの家にでホームステイ
しました。
メアリーは心臓に病気を持っています。

カフェで毎週ココアを飲む女性のラブレターです。

こういう感じの日常を描いた話って、中に入り
込めなくて冷めた目で読むことが多いのですが、
この本はさらっとした話で暖かな気分で読めました。

残り者

2018-09-23 15:14:12 | 

朝井まかて著"残り者"を読みました。
江戸幕府の終焉のころの話です。
江戸城の明渡しが命じられ大奥の大勢の女性
たちも退出することになりました。
十四代将軍家茂に朝廷から嫁いだ和宮で夫の
死後静寛院宮や、十三代将軍家定の妻だった
天璋院もそれぞれ城を出ました。
大奥に勤めていた多くの女性たちも大急ぎで
出ていきました。

翌日には官軍が江戸城に入ってくるというのに
大奥に残っていた者がいます。

年嵩で長年御膳所で働いていたお蛸は天璋院が
飼っていた猫のサト姫の姿を見て捕まえようと
後を追っています。

天璋院の着物を縫っていた呉服之間勤めのりつは
仕事場だった呉服之間へ戻ろうとしてお蛸と出会い
猫探しを手伝っていて城を出そこないました。

御三之間勤めのちかは城をでることに抵抗があり
官軍に手向いたいと残っていました。

静寛院宮付きの呉服之間勤めのもみじはりつやお蛸に
会ったばかりの時は京から来た者の方が偉いの
だと、たかぴしゃな態度でした。
でも本心は別の物がありました。

若いのですが御中老の地位にあるふきはどういう理由か
残っています。

一晩を城で過ごし、官軍が乗り込んでくるのを目に
してから城を抜け出します。

2日間ともに過ごした5人がそれぞれ味わいある人物で
この最後の時間がきっと一生忘れられない深い時間
だったことでしょう。
皆を率いる立場のふきがきりりとして魅力的です。
時として町の男のようなくだけた態度となる人です。

大奥は大勢の女性たちに働く場所を提供し、一人で
生きていくことができる所でした。

さらりと読めて読みやすかったです。

最後の晩ごはん 刑事さんとハンバーグ

2018-09-08 21:00:00 | 

椹野道流著"最後の晩ごはん 刑事さんと
ハンバーグ"を読みました。
シリーズになっています。
ばんめし屋は夜だけ営業している一品だけの
定食屋です。
店主は夏神で、元アイドルの五十嵐海里が
手伝っています。
めがねの付喪神のロイドは人間の姿で接客
しています。
この店ではこの世の人でない人が見えたりします。

海里には一憲という兄がいます。
ずっと仲違いしていましたが、最近になって
関係が修復されてきました。
兄が店にやってきた時に刑事の佐々木涼彦が
現れました。
二人は中学時代の親友でサッカー部でいっしょ
でした。
海里とロイドには涼彦が長いマフラーをぐるりと
巻いているのが見えました。
本人には見えません。

一憲と涼彦は仲違いしたままになっていました。
涼彦はストーカー事件に敏感になっています。
過去に何かあったらしいです。
マフラーはその時から彼に寄り添っているようです。

ずっとマフラーが憑いているのですが怖い話
ではありません。
マフラーとなって彼を守っていたのです。
幽霊がらみの話ですから現実的ではないのですが
こんな話もいいです。

八丁堀の天女 大江戸三男事件帖3

2018-09-07 21:00:00 | 

幡大介著"八丁堀の天女 大江戸三男事件帖3"
を読みました。
高橋欣吾は旗本の次男坊です。
伝次郎は火消の見習い、三太郎は大名の
お抱えの力士です。
三人は幼いころからの仲間です。
欣吾は町人が利用する飯屋で不釣り合いな
若侍によく出会いました。
話しかけてみると、八木崎佐太郎というこの
侍は元は呉服問屋の息子で八木崎家へ養子と
して入ったということでした。
邪魔にされ食事もままなりません。
養子には実家からお金が八木崎家へ動いています。
佐太郎は欣吾の弟子となり剣道をならうことに
なります。

益岡は北町奉行所与力です。
老中の用人の娘の雪江が益岡の養女になってます。
益岡は欣吾が気に入り雪江の婿にと思っています。
雪江もそれを望んでいますが、欣吾はまったく
気づいていません。

青沼平十郎は貧乏御家人です。
与力の下嶋祐介に弱みを握られ、人を殺しました。
下嶋は勘助を手下に使い、貧乏な武士の家に
お金が手にできる手法を伝授します。
人を殺して金を手にすることに何の躊躇も
ありません。
青沼は雪江にたまたま出会い雪江との養子縁組を
まとめてやるとの下嶋の甘言で悪の手伝いを
させられることとなります。

益岡は欣吾の手を借り悪事を探ります。
欣吾の幼馴染たちも活躍します。

欣吾たちや益岡や雪江、みんないい人たちです。
下嶋はいずれは自滅したでしょうね。
さらさらと読めます。

長い長い殺人

2018-09-06 21:00:00 | 

宮部みゆき著"長い長い殺人"を読みました。
語り手は人間ではなく、財布です。
それも1つの財布ではなく、複数の持ち主の
財布たちが知ったことを語ります。

森本隆一が轢き逃げで死亡しているのが
見つかりました。
妻の法子には友達といっしょにいたという
アリバイがあります。
早苗は塚田和彦と結婚するつもりです。
甥の雅樹は塚田が早苗に何かするつもり
なのではと恐れていましたが誰も聞いては
くれません。
早苗は探偵に塚田の調査を依頼していました。
早苗に死なれてしまって探偵は責任を
感じています。
法子と塚田は付き合っていました。
犯人はこの二人ではないかと思われています。
塚田の前妻の逸子も事故死しています。
もう一人葛西路子というスナック努めの人が
殺されています。
この4件の殺人が法子と塚田のしたことだと
テレビで騒がれています。

刑事と探偵は知り合いで事件について意見
交換しています。
これらの登場人物の財布たちのほかに
友人やなんらかの関係がある人達の財布が
交代で話ます。

最初のうちに犯人は二人であるらしいと
わかっています。
それなのに何に手間取ることがあるんだろうと
思いつつ読んでいました。
中ほどからもしかして別の犯人だという
ことになるんだろうかという雰囲気になります。

語り手が財布であるということと、次々と
別の人の財布へと語り手が変わっていくと
いう変わった形式の本でした。

すらすらと読み進めます。