柏井壽著"鴨川食堂 いつもの"を読みました。
鴨川食堂は鴨川流と娘のこいしが営業している
店です。
ここでは思い出の食べ物を探し出して再現する
探偵の仕事もしています。
依頼者の話を聞くのはこいしで実際に捜し出し
再現するのは流です。
"かけ蕎麦"
ダンスを仕事に選んだ男性の依頼です。
父は能楽師で後を継ぐよう説得されていた時期に
連れていかれた料亭で出されたかけ蕎麦を探しています。
"カレーライス"
娘が八年前に作ってくれたカレーライスを探しています。
娘が結婚する時反対しました。
男は作家を目指していて働いていませんでした。
娘は夫と友人の喧嘩を止めようとして友人を死なせてしまい
今は刑務所です。
娘の子と暮らしています。
"焼きそば"
オーストリア在住で元ピアニストで現在はピアノ教師を
している女性からの依頼です。
関西の震災の時に復興のためのコンサートに来ました。
マネージメントをしていた男性が最後の日に作ってくれた
のが焼きそばです。
彼女の初恋の相手です。
"餃子"
ホテルの経営者からの依頼です。
幼馴染みで小さなころから将来結婚するのだとされた
婚約者がいました。
大学時代にそのことを隠し4年間付き合った女性がいます。
彼女の両親が経営する長野の旅館にも数回遊びにいった
ことがあります。
そこでたべさせてもらった餃子の味を探しています。
"オムライス"
人生に何度もつまずいた男性が探しているのはオムライスです。
彼は成績がいい学生でした。
高校生の時、同級生の母親に頼まれて級友の家庭教師を
しました。
毎土曜の勉強の後に食事を出してもらいました。
その時に食べたオムライスです。
大学受験に級友は受かり、絶対受かると思っていた自分は
受かりませんでした。
その後、彼をずっと意識して生きてきまいた。
彼は順調に仕事を拡大しましたが、依頼者は失敗の連続です。
"コロッケ"
恋愛小説家が依頼者です。
子供のころは母子家庭で貧しい家庭でした。
お腹を空かして近所のコロッケ屋さんからコロッケを盗んで
食べていました。
一度だけではなくしょっちゅう盗んでいました。
店のおばあさんにも親にも知られていないと思っていました。
その後万引きを繰り返し少年院にも入ったことがあります。
母とは音信不通です。
探す様依頼される食べ物は庶民的なものです。
店に来た人はおまかせの食事を提供されます。
こちらは豪華な食事です。
豪華な食事の後の普通の食べ物という対照的な描き方です。
前半部分は豪華なものを食べることが大好きという人には
楽しいでしょう。
興味ない人間には字を追っているだけになってしまいます。
探偵料は相手の気持ちで払ってくださいということです。
あまり気持ちいい方法ではないですね。