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雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

鴨川食堂 いつもの

2017-03-18 09:40:56 | 

柏井壽著"鴨川食堂 いつもの"を読みました。
鴨川食堂は鴨川流と娘のこいしが営業している
店です。
ここでは思い出の食べ物を探し出して再現する
探偵の仕事もしています。
依頼者の話を聞くのはこいしで実際に捜し出し
再現するのは流です。

"かけ蕎麦"
ダンスを仕事に選んだ男性の依頼です。
父は能楽師で後を継ぐよう説得されていた時期に
連れていかれた料亭で出されたかけ蕎麦を探しています。

"カレーライス"
娘が八年前に作ってくれたカレーライスを探しています。
娘が結婚する時反対しました。
男は作家を目指していて働いていませんでした。
娘は夫と友人の喧嘩を止めようとして友人を死なせてしまい
今は刑務所です。
娘の子と暮らしています。

"焼きそば"
オーストリア在住で元ピアニストで現在はピアノ教師を
している女性からの依頼です。
関西の震災の時に復興のためのコンサートに来ました。
マネージメントをしていた男性が最後の日に作ってくれた
のが焼きそばです。
彼女の初恋の相手です。

"餃子"
ホテルの経営者からの依頼です。
幼馴染みで小さなころから将来結婚するのだとされた
婚約者がいました。
大学時代にそのことを隠し4年間付き合った女性がいます。
彼女の両親が経営する長野の旅館にも数回遊びにいった
ことがあります。
そこでたべさせてもらった餃子の味を探しています。

"オムライス"
人生に何度もつまずいた男性が探しているのはオムライスです。
彼は成績がいい学生でした。
高校生の時、同級生の母親に頼まれて級友の家庭教師を
しました。
毎土曜の勉強の後に食事を出してもらいました。
その時に食べたオムライスです。
大学受験に級友は受かり、絶対受かると思っていた自分は
受かりませんでした。
その後、彼をずっと意識して生きてきまいた。
彼は順調に仕事を拡大しましたが、依頼者は失敗の連続です。

"コロッケ"
恋愛小説家が依頼者です。
子供のころは母子家庭で貧しい家庭でした。
お腹を空かして近所のコロッケ屋さんからコロッケを盗んで
食べていました。
一度だけではなくしょっちゅう盗んでいました。
店のおばあさんにも親にも知られていないと思っていました。
その後万引きを繰り返し少年院にも入ったことがあります。
母とは音信不通です。

探す様依頼される食べ物は庶民的なものです。
店に来た人はおまかせの食事を提供されます。
こちらは豪華な食事です。
豪華な食事の後の普通の食べ物という対照的な描き方です。
前半部分は豪華なものを食べることが大好きという人には
楽しいでしょう。
興味ない人間には字を追っているだけになってしまいます。
探偵料は相手の気持ちで払ってくださいということです。
あまり気持ちいい方法ではないですね。

ウォッチメーカー

2017-03-17 21:00:00 | 
ジェフリー・ディーヴァー著"ウォッチメーカー"を
読みました。
面白かったです。
でも半分ぐらいまでは今回は大したことない犯人
なんだかなぁと思いながら読んでいました。
後半はぐっと変化があります。

連続殺人が起こります。
最初は波止場で海に向かってぶら下がらせて手首を
切り付け力尽きて海に落とされたらしい殺人です。
そこにはチクタク音がする時計が置かれていました。
次には重いバーに紐をつけ、持ち上げている力が尽きると
首の上に落ちてきて死ぬという仕掛けで殺されました。

車椅子生活のリンカーン・ライムの元に事件は持ち
込まれました。
相棒の刑事のアメリア・サックスは自殺に装われて
殺されたと思われる公認会計士クリーリーの事件にも
携わっています。
調べるに従い118分署の警察官のグループが関わって
いることがわかってきます。

アメリアは捜査している途中で尊敬していた警察官の
父親が悪事に手を染めていたことを知らされます。
彼女は警官でいることに耐えられなくなります。

連続殺人は続きますが3回目、4回目の女性を狙ったものは
失敗に終わります。

ライムたちの動き、犯人のウォッチメーカーと相棒として
選んだイカレタ性犯罪者の共犯者側のヴィンセントの動き
とが交互に描かれています。

ヴィンセントが捕まります。
彼はウォッチメーカーのことを白状してしまいます。
ウォッチメーカーも一旦は捕まりますがすぐに釈放されて
しまいます。
ウォッチメーカーの事件とアメリアが追っていた事件が
繋がりを見せます。

後半の顛末が、そうだったのかと驚く展開です。

計算しつくされた計画です。
ウォッチメーカーの計画性のすごさ、ここまでやるかと
いった感じです。
警察官の犯罪グループの全体は解明されず、ウォッチメーカーの
犯罪は阻止したものの逮捕に至らず、すっきりさせて
欲しい私の要望はかないませんが充分に楽しめる本です。
アメリアの進退はどうなったんでしょうね。読んでください。

あ、そうそうこの本で初めて相手の動作などから嘘を見抜く
キネシクスの達人のキャサリン・ダンスが登場してきます。
ライムたちの手助けになります。

オムライス日和 BAR追分

2017-03-16 09:48:56 | 
オムライス日和 BAR追分
伊吹有喜著"オムライス日和 BAR追分"を
読みました。
"BAR追分"の続編です。

"猫の恩返し"
ねこみち横丁には3匹の地域猫がいます。
黒猫のデビイは最近太ってきました。
どこかで餌をもらっているようです。
デビイが「たすけて」という手紙を付けて帰って
きました。
番地の部分がちぎれていてその場所にいけません。
デビイにポケットを付けそこに小さな携帯電話を
いれて猫に託しました。
デビイはトイレに閉じ込められていた老女の元に
行き、彼女は電話でた助を求めることができました。

"オムライス日和"
大学時代の友人の沙里がねこみち横丁にやってきて
宇藤は再会します。
沙里は宇藤に気があるのですが宇藤は気づきません。

"ようこそ、餃子パーティ"
ねこみち感謝祭が開かれました。
宇藤らはフリーマーケットをすることになりました。
盛会に終わった感謝祭の打ち上げに宇藤はみんなに
餃子を手作りして振舞います。

"森の隠れ家"
森の鍼灸院の頼子は祖父の店を継ぎました。
夜のBAR追分の店員の志藤淳哉は体を傷めています。
彼は演劇をしていました。
これから売り出すという前に怪我をして演劇の世界から
離れました。

やさしい人々が登場する話です。
でもなんか全体の繋がりがなめらかでなく、同じ気分で
読んでいられません。
宇藤という人の性格もよくわかりません。
桃子が一番安定している登場人物になるのかな。

盗賊狩り 日溜り勘兵衛 極意帖

2017-03-14 21:00:00 | 

藤井邦夫著"盗賊狩り 日溜り勘兵衛 極意帖"を
読みました。
藤井さんの作品の同心の"知らぬが半兵衛手控帖"を
読んだばかりだったので勘兵衛も同心か岡っ引き
なのかと思って読み進みました。
連作短編集なのですが2作目あたりで勘兵衛が
盗賊の親分なのだと気づきました。
盗賊側から描いた本はあまりありませんね。
つい盗賊側の目線で見ています。おかしなものですね。

"雪時雨"
勘兵衛の家に吉五郎が訪ねてきました。
吉五郎は知り合った竹蔵に盗人の人集めを頼まれました。
白蛇の宇平の二代目のお頭が最初の盗みをするための
人集めだといいます。
おしながやっているひさごという飲み屋へ勘兵衛は
偵察に行きます。
宇平は手下の佐平次に毒を盛られて死んでいます。
佐平次は薬種問屋霊山堂の店主佐兵衛に収まっています。
霊山堂に押し入ろうとしています。

"盗賊狩り"
火付盗賊改の矢崎采女正は次々に盗賊を捕まえています。
勘兵衛は盗賊の一味の中に采女正に通じている者がいるのでは
と考えます。
知り合いの仏の宗平の一味の中に火盗改に通じるものが
入り込んでいるのを知った勘兵衛は采女正の鼻を明かして
やろうと策を練ります。

"老黒猫"
勘兵衛の家には引っ越してきた当初から黒猫が住み着いて
いました。
猫が鳴くのに連れられて行った雑木林の先の仕舞屋では
女が斬られていました。
おすみの傷は浅く命は助かりました。
以前にその仕舞屋は献残屋の鶴亀屋の彦兵衛とおよしという
女が仲睦まじく住んでいました。
黒猫はその家で飼われていた猫のようです。
おすみは鶴亀屋と関係があり、滝川藩の者に命を狙われて
いるようです。

"花見時"
材木商の木曾屋の蔵から金を盗もうと勘兵衛らは画策して
います。
木曾屋の遊び回っている若旦那の文吉から金蔵の在処を
聞き出したり、蔵を建てた大工からも話を聞き出します。
頑丈に作られた蔵は入る隙がありません。
高い所に作られた風通しのための窓に目を付けます。
木曾屋は使用人や近所の人を集めて庭の桜の下で花見を
します。
勘兵衛らはこの時に蔵に押し入ります。
取ったのは蔵にあった金の一部の250両だけです。
数日後に被害に気づいた木曾屋ですが少額の被害と
鮮やかさに感心しました。

盗賊側から描いた話、おもしろかったです。

鬼の大江戸ふしぎ帖 鬼が見える

2017-03-13 21:00:00 | 

和田はつ子著"鬼の大江戸ふしぎ帖 鬼が見える"を
読みました。
渡辺源時は唐物屋に生まれましたが、祖父が同心株を
買ってくれて南町奉行所定町同心となりました。
源時は鬼を倒した四天王の末裔で、鬼が見えるように
なりました。

妹がさらわれました。
久右衛門が現れて鬼の世界の説明をしてくれます。
薬草園をしている楽田狼太と知り合います。
楽田は狼鬼ですが、鬼の世界から離れ人間の世界で
生きようとしています。
狗石鬼に売られようとしていた娘たちは助けられます。

鬼が見えるようになって手下の岡っ引きの花吉は
蚊蜻蛉鬼だとわかりました。
そのまま手下として働きます。

鳥鬼、狸鬼、鶯鬼、時鳥など鬼がいっぱい出てきます。
時鬼の克次は鶯鬼の主人にいじめられていました。
寄席の席亭に引き取られ希朝という名で噺家として
成功を修めています。

狼鬼の楽田の幼馴染の美優、権太郎が現れます。
彼らは人間の世界で生きようとはせず、本性のままに
行動します。

鬼同市の戦いをみせものにする者に希朝と楽田が捕らわれ
死ぬまで戦わされる状態に追い込まれます。

いろんな鬼が登場してきます。
そんな鬼が人の中に混ざって生活しています。
なんか混沌とした話です。
あらすじを書こうにもうまく書けません。
現実離れした話が好き、って人にはいいかもしてません。

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 謡う指先

2017-03-12 09:53:37 | 

太田紫織著"櫻子さんの足下には死体が埋まっている
謡う指先"を読みました。
なかなか借りられないのでシリーズ物ですが1つ前の
"白から始まる秘密"を飛ばして"謡う指先"を先に
読んでしまいました。
前巻を読んでなくても特に困ることはありません。

"Bloody Valentine's Day"
正太郎は高校で嫌がらせを受けるようになります。
上靴の紐を斬られたり、パンに針が刺されていたり
しました。
正太郎は犯人は友人の今居ではないかと疑う反面
信じたいと思います。
学校で買ったパンの中に剃刀が入れられ指を縫う
ほどの怪我をしてしまいます。
やっと磯崎先生や櫻子さんの耳に入ることになります。

"アサヒ・ブリッジ・イレギュラーズ"
正太郎のクラスメートの鴻上百合子は花火大会に友人
たちと出かけました。
友人とはぐれて由里子はある女性が封筒を川に投げ込む
のを見ました。
封筒は百合子の近くに落ち手にしました。
中には宝石のついた指輪と手紙が入っていました。
百合子は女性が自殺しようとしているのだと思いました。

"凍える嘘"
正太郎は旭川に薔さんにさそわれ、東藤耕治の亡くなった
父の別荘の片づけに出かけました。
櫻子さんもいっしょです。
別荘の近くのホテルに宿泊するはずでしたが、激しい雪で
別荘から出られなくなります。
耕治の父の秘密が薔子さんらの話からわかってきます。

"アサヒ・ブリッジ・イレギュラーズ"、おかしいなぁ。
この話前に読んだ気がします。
以前の本にも同じ話が入っていたのかなぁ。
宿敵花房は今回は登場していませんが、いつも花房の
ことが気にかかっています。
変わった思考をする櫻子さんですが、かと言って
他人の心がわからないわけではありません。
おかしな出来事の真実を見事に解いてみせます。

どこかでベートーヴェン

2017-03-07 11:28:22 | 

中山七里著"どこかでベートーヴェン"を読みました。
ピアニストの岬が高校生の時の話です。
岬が登場する本、好きですがこの本はどうもすっきり
しません。
岐阜の山の中の新設校が舞台です。
建築する場所がないため山を削って山の上に建てられました。
岬は加茂北高校の音楽科の二年に編入してきました。
音楽科の生徒たちは音楽は好きなんでしょうが、音楽家と
して生きていくだけの力があるものはほとんどいません。
のんびりと生きています。
岬が来て彼の弾くベートーヴェンの悲愴を聞いてみんなは
自分の力のなさを見せつけられました。
自分たちとは別次元の演奏です。
それが暴力や無視などにつながっていきます。
一人岬の友人となったのは鷹村です。
岬は他人の思惑に無関心です。

夏休みに音楽科の生徒は練習に登校しています。
激しい雨が続きます。
裏山が崩れ危険な状態になります。
川に架かる橋は落ちています。
岬は危険を顧みず倒れた電柱を伝って窮状を伝えに山を
降りて行きます。

岬の連絡で助けが学校へ向かいました。
学校から里の民家へ行く途中で級友の岩倉が頭を殴られ
倒れているのが見つかります。
岬に殺人の疑いがかかります。

検察官の岬の父の力で岬は警察から解放されます
ますます級友たちの非難の目は強まります。
岬は自分で殺人事件を調べ始めます。

岬の左耳の突発性難聴はこの学生時代に発生しました。

自分たちが学生だった時これほどに考えなしだったとは思えません。
一番深く人生や世界を考える時期だと思います。
級友たちがあまりにも幼稚に見えます。
現代の学生たちはこういう風に反応するものなのでしょうか。
現実の音楽科の生徒たちがこのようなのんびりしたものでは
ないだろうことは想像がつきます。
なんか読んでいてすっきりしません。
岬の父親、鷹村の母親と自分の考えを子供に押し付ける態度は
子供にしてみたら苦しいでしょうね。

事件の真相はあっけないものでした。
そういえばそうですね。
なんでそんなことに気づかなかったのだろうと思います。
でも作中の警察が気づかないなんてことはないような
気がします。

ハートブレイク・レストラン ふたたび

2017-03-05 21:00:00 | 

松尾由美著"ハートブレイク・レストラン ふたたび"を
読みました。
"ハートブレイク・レストラン"の続編です。
フリーライターの真以はよく行きつけのファミリー
レストランで仕事をします。
店の奥の隅の席には頭をまとめて着物をきた80過ぎの
おばあさんが座っています。
ハルお婆ちゃんは幽霊で、ちょっと変わった話を聞いて
謎解きをしてくれます。
ハルお婆ちゃんが見える人と見えない人がいます。
レストランで働く人達は見えています。

合言葉で開くペンケースで起こった不思議
三回同じ言葉を三十秒以内に言うとパスワードとして
設定されます。
そのペンケースに入れてあったペンがなくなりました。
面白い発想の鍵ですがあまり使い安いとは思えませんねぇ。

店長の山田の友人の家に価値がありそうもない重く50センチ
ほどあるヘラクレス像を盗みに行くとの手紙が来ました。
山田は友人に頼まれ家の廻りの見回りをしていて頭を
殴られました。
この計画はなんだったのか。

ホテルでハンカチを拾ってくれた女性が、売店で売り子を
していました。
先ほどのお礼を言ったら人違いだと言われました。

泥棒に入ったといわれている男がレストランで編み物を
していました。
泥棒は家主と争いになり指に怪我をしているといいます。
男は店で編み物をしていました。

女性刑事の小椋は内装が凝った静かなバーに通っています。
内装にお金を掛けそこで尽きたのかグラス類は安物でした。
ところがロックグラスが高級なものに変わっていました。
半額ほどで手に入ったと店主はいいます。
はたしてグラス類がそれほど安く手に入るものなのか
何かわけがあるのではないのかと疑ります。

レストランには佐伯勝という画家がやってくるように
なっていました。
佐伯にはハルお婆ちゃんが見えます。
でもハルが幽霊だとは思っていなくて普通の人として
接していました。
ハルに好意を持ったようです。
佐伯が不思議な出来事を語りました。
生まれて間もない猫が荷物として送られてきました。
荷物には手紙と古い写真が添えられていました。
内容から昔送り主の父親が佐伯の父親に何かをした
らしいと思われます。
謎解きを聞いた後に佐伯はもう来ないと言います。

ハルが幽霊だと気がついたと、そしてハルに母の
面影を重ねていたのだと言います。
この理由わかりますか?
私にはさっぱりです。
何かいけないことなんでしょうか?

日常の中でふと疑問に感じる出来事をハルお婆ちゃんが
あっさりと解いていきます。
おもしろくないわけではないのですが、ちょっと
たいくつでもあります。

あなたのための誘拐

2017-03-03 22:02:11 | 

知念実希人著"あなたのための誘拐"を読みました。
上原慎吾は刑事だった時に誘拐事件に関わりました。
犯人はゲームマスターと名乗り上原を指定した場所まで
指定時間内で走らせ、間に合うと次の場所を指定して
一日中走らせました。
最後に12秒遅かったと、誘拐した中学生を殺しました。

慎吾は警察を辞め抜け殻のようになりました
離婚をして娘とは月1回食事をします。
事件の1年後に犯人を探し出しますが自殺されてしまいます。

4年後に高校生が誘拐されゲームマスターと名乗る犯人から
電話が架かってきます。
もう刑事ではない慎吾をゲームの相手に指名してきます。
模倣犯ではなく前の事件も自分の犯行だと言います。
今回、慎吾は謎々のようなヒントで示された場所へ行く
ことになります。
今回は走るのではなく何を利用して移動してもいいです。
東京をあちらこちらに移動させられます。
しかし前と同じように高校生は殺されてしまいます。

後半、慎吾はゲームマスターを追っていきます。
ゲームマスターから慎吾宛に手紙や電話で自分を
見つけ出せと何度も言ってきます。
慎吾は癌でもう数ヶ月の命です。
激しい痛みを薬で押さえて調査を勧めます。
犯人は死亡で警察は決着をつけます。

しかしこれで終わりではありません。

最初の事件で慎吾は必死に走りました。
彼のせいで被害者は死んだのだと言われました。
警察の内部でも疎まれました。
なんだか違和感が付きまといます。
他の人が走ったって助けることはできなかったでしょう。
ゲームマスターはもともと助ける気などなく楽しんで
いただけです。
なぜこんなに非難されなければいけないのでしょう。

作者がお医者さんだけあって命の付きかけている描写は
迫力があって辛いです。

題名の"あなたのための誘拐"の意味最後まで読むと
そういうことかとわかります。

この犯人、精神が異常です。不気味です。
このまま生き続ければまた同じように簡単に人を殺すでしょう。

雪見酒 & わび状 知らぬが半兵衛手控帖

2017-03-02 21:00:00 | 


藤井邦夫著"知らぬが半兵衛手控帖"のシリーズの
"雪見酒"と"わび状"を読みました。
時代小説の捕物帖ですから雰囲気は読む前から
何となく想像できます。
単純に楽しく読める本です。
連作短編集です。

白縫半兵衛は北町奉行所の臨時廻り同心です。
岡っ引きの半次がついています。
船宿笹舟は岡っ引きの弥平治が妻と営んでいます。
弥平治は半兵衛や半次の手伝いのため
よく手先を貸してくれます。

事件が起きると手下たちは交代で怪しい人物の
跡をつけ、見張りをします。

半次は1つの本の中で二度も肩を斬られ、寒い川の
中へ落ちています。
二度とも軽い怪我で風邪を引いた程度です。
斬られ過ぎって思いました。

知らぬが半兵衛という通り、犯人でも見逃してやる
ことが多いです。

幻想古書店で珈琲を

2017-03-01 08:32:17 | 

蒼月海里著"幻想古書店で珈琲を"を読みました。
名取司は大学を出て就職をしましたがすぐに会社は
潰れて無職になりました。
資格試験の本を買おうと入った本屋の奥から漂う
珈琲の匂いに誘われ「止まり木」という古書店に
入りました。
レトロな木造の店で、本がいっぱいです。
床にも積まれています。
店にいて本を読んでいた男が店主でした。
35歳ぐらい、背が高く英国紳士のように見えます。
亜門と名乗った店主は自分を魔法使いだと言います。
誰でも入ってこられる店ではありません。

司はこの店で働くことになります。
本を失くした女子高校生が男子高校生と店にやってきます。
二人の本を巡るトラブルの解決に手を貸してやります。

ビルに幽霊が出るという噂が流れています。
司は暑い砂を投げて眼を欲しがる不気味な老人に出会います。
彼の悲しみを聞いてやり、亜門は本を読んでやります。

司は亜門の正体を知ります。
亜門はアモン、悪魔の一人です。
亜門はずっと苦しんできました。

司は亜門に司君と呼ばれています。
亜門がそれでいいといったからですが、司は亜門を呼び捨てです。
どうせなら両方呼び捨ての方がいいのに。
司と亜門の間には友情が芽生えます。

不思議な感覚の本ですが、結構この雰囲気いいです。

猫と忍者と太閤さん 鍋奉行犯科帳

2017-02-27 21:00:00 | 

田中啓文著"猫と忍者と太閤さん 鍋奉行犯科帳"
を読みました。
食べること、飲むことが大好きな巨漢の大阪の西奉行所
の奉行の大邉久右衛門が主人公のシリーズ7冊目です。

"忍び飯"
同心の村越勇太郎と千三は侍が斬られ川に放り込まれ
たのを見ました。
勇太郎は数人の武士に襲われました。
奉行はお気に入りの料理人が怪我をして気に入った
料理が食べられなくて機嫌が悪いです。
新しく雇い入れた料理人二人はそれぞれ目的がある
忍者です。
一人は糠漬けの味を盗むため。
もう一人は奉行を殺すため。
殺された侍はある大名家の反乱に関係しています。

"太閤さんと鍋奉行"
奉行は大食いした後で珍しくお腹を壊しました。
医師の傘庵に5日間は粥、梅干しだけしか食べることを
禁止されます。
千三は戯作もしています。
顔が猿に似ている嵐三十郎にいい役を振りましたが、客は
彼が出てくると笑って舞台は中断してしまいました。
奉行は講釈師の吉田天馬と前から諍いがあります。
医師と祈祷師が組んで病人がいる金持ちの商人をだまして
お金を巻き上げています。

"猫をかぶった久右衛門"
勇太郎は公家の奉公人でまだ子供のホトトギスに猫を
探してくれるよう頼まれます。
ホトトギスは裏長屋で主と猫のトラと暮らしています。
主は不正を行っている家臣たちから逃げています。
猫は大事なものを預かっています。
公家が捕まってしまいます。
猫探しと公家の救出に奔走します。
トラは一時奉行所に入り込み奉行は内緒でご飯をやって
いて情が移ってしまいます。

このシリーズ好きです。
胸やけがしてしまいそうな大食の場面はいい加減にしたら
って思ってしまいます。
でもおいしそう。

晦日の月 六尺文治捕物控

2017-02-26 21:00:00 | 

中島要著"晦日の月 六尺文治捕物控"を読みました。
辰三親分が行方不明となりました。
親分が帰ってくるまでと、文治は臨時の親分にして
もらいました。
辰三の妻と娘のお加代は一善飯屋をやっています。
お加代は美人ですがびしびしときつい事を言う娘です。
文治のことを背ばかり高くて頼りない男と思っています。

"役立たず"
油問屋の隠居の嘉右衛門が隠し戸棚にしまっておいた
三百両を盗られたと知らせてきました。
質屋に養子にいった異母弟の喜助が犯人だといいます。
嘉右衛門の浪費で店は傾いています。
喜助の店は栄えています。

"うき世小町"
お加代、お志乃、お八重の三人は子供のころは仲良く
していました。
大人になって疎遠となりました。
お加代とお志乃は錦絵小町くらべのことでもめていました。
お志乃が川で溺死しているのが見つかります。

"神隠し"
茜屋の息子の鶴吉は二十年前の祭りの日にはぐれてそのまま
みつかりませんでした。
その鶴吉が戻ってきました。
父親はすでに養女をもらい、婿も決まっていて息子だという
確証がない鶴吉を信用できません。
母親は息子に違いないと言い張り、二人で寮で暮らしています。
二人が殺されました。

"ねずみと猫"
辰三の上司の同心の塚越は辰三に極秘で名なしの幻蔵の探索に
あたらせていたと言います。
父の行方は皆目わかりません。
お加代はその言葉に疑問を抱き始めます。
問いただした加代は塚越に殺されそうになります。

"晦日の月"
錦絵が大量に川に捨てられていました。
版元の三崎屋に保管されていたものです。
絵の作者は篠田作仙です。
出会い茶屋で三崎屋が殺されました。

"雲隠れ"
お加代と文治と夫婦にならないかという話が母親から出ます。
辰三が名なしの幻蔵を調べていたとが疑わしくなってきました。
辰三も塚越の悪事に関わり、逃げているのではないかと
思いだします。

全体に辰三の不在がのしかかっていて話が重苦しくなっています。
辰三のことは最後まではっきりしません。
最初の二、三話で決着をつけてくれればいいのにと感じました。
辰三のことが決着していれば文治とお加代を中心としたすっきりと
した話になるような気がします。
お加代と文治、恋人の雰囲気はありませんがぽんぽん
言いたいことを言い合える仲です。

睦月童(むつきわらし)

2017-02-25 09:22:12 | 

西條奈加著"睦月童"を読みました。
下酒問屋の国見屋の元旦の挨拶の席に知らない
10歳の女の子がくわわっています。
彼女は睦月の里からきたイオです。
主人が息子の央介の素行を諫めるためにイオに
来てもらいました。
心に疚しいものがある者はイオの目が金色に光って
見え恐怖で震えます。

央介は遊び歩いている友達と三人で悪さをしました。
イオに会い、心を入れ替えました。
睦月の里は女性ばかりで睦月神と繋がっています。
過去を思い出させる力を持つ者、未来をみることが
できる者などがいます。

央介はイオを連れて江戸の街を見せて歩きます。
イナは土地の鯨(いさな)親分ともしたしくなります。

睦月の里からきているルイに出会います。
ルイは数日後には赤ん坊が生まれる状態です。
子供の父親の掛井屋の若旦那の順之介助は留まって欲しいと
懇願しますがルイは子供を産むのは里でないといけないと
帰ってしまいます。

武士の小出彪助とある家の使用人が次々と行方不明になる件で
知り合います。

小出は昔睦月の里の女のナギと付き合っていました。
ナギは子供を身ごもりますが里に帰るのを拒否します。
ナギも子も苦しんで死にました。

小出はナギに頼まれ睦月の里を破壊しに行きました。
イオは央介と共に睦月の里に急ぎます。

央介は不思議な里を見ます。
女たちは睦月紳と繋がっています。
睦月神は女たちを食い物にしています。

最初のうちはイオの目を見て衝撃を受けた人々との出来事を
描いてゆくのかと思っていました。
睦月の里へ行ってから雰囲気ががらりと変わります。
睦月の里、おそろしい所です。
睦月神、これは神様ではないですね。

おもしろい発想の話でした。

錠前破り、銀太

2017-02-24 23:15:10 | 

田牧大和著"錠前破り、銀太"を読みました。
前に読んだ気がします。
例によってほとんど覚えていません。
なぜブログに書いておかなかったのだろう。
こんなに記憶していないのならよかったという本を
何度も読み返していたらいいんですね。

蕎麦屋を営む銀太、秀治の兄弟がいます。
吟味方与力の貫三郎は幼馴染です。
銀太は昔、錠前破りの盗賊でした。
秀司はそのことを知りません。
盗み先で年上の女盗賊のおかるに出会いました。
おかるに盗みに必要な技術を教えられました。
弟を養っていることを知っておかるは足を洗うことを
決め、蕎麦屋となりました。
おかるは亡くなっています。

同心に追われ15、6歳の男が店に逃げ込んできました。
このことから彼らは事件に巻き込まれていきます。
逃げ込んできた男は加助といい、芝居小屋に勤めています。
座元が十両の借金をしましたが、証文が百両と書き換えら
れていて返済を迫られています。
証文を盗み出すため質屋の亀井屋へ忍び込みました。

亀井屋にはからくり錠前がつけられています。
女錠前師の緋名と猫の大福が登場します。
"緋色からくり 女錠前師 謎とき帖(一)"、"数えからくり
女錠前師 緋名
"に登場した緋名です。
彼女が作った緋錠前です。

大きな組織が相手です。
策略でもって相手を陥れる組織です。
貫三郎の実家も偽証文で潰されそうです。

銀太は昔の錠前破りに戻って対戦しようとします。

緋名と大福の久しぶりの登場、なつかしいです。
大福かわいいです。

蕎麦屋なのに、茹ですぎの蕎麦しか出せなぐてお客に文句を
いわれている銀太です。