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雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

風立ちぬ 風の市兵衛

2017-07-03 21:00:00 | 

辻堂魁著"風立ちぬ 風の市兵衛"を読みました。
上下巻に別れています。

市兵衛は音羽町の茶屋の大清楼に一月の約束で
雇われました。
仕事は九才の息子の藤蔵の算勘の私塾入門の合格の
ための家庭教師です。
藤蔵は能力のある子供です。
姉の歌は大清楼でだけで芸者をしています。
旗本の桜井に妾になれと無理強いされています。
桜井は古着屋の美濃屋の手代の惣十郎の言うがままに
大清楼の打ち壊しの手助けをしました。
実は惣十郎は盗賊菊の助一味の者でした。
盗賊は数件の火付と佐賀屋への押し込みをし大勢を殺害し
大金を奪って逃げました。
お歌は打ち壊しのどさくさの時に行方不明になりました。

盗賊を捕まえるため奉行所は必至です。
定町廻りの渋井も事件を追っています。
渋井や市兵衛の行きつけの居酒屋の気楽亭の倅の勘平が
殺されています。
盗賊の仲間と見られています。
勘平から盗賊一味を追っています。

市兵衛と藤蔵はお歌の行方を捜しています。
吉原に連れ去られたかと思われましたが吉原にもいません。

渋井らは一味の隠れ家を探し出します。
市兵衛と弥陀ノ介も合流します。

一味に連れ去られたかと思われた歌は見つかりません。

市兵衛は意外な連れ去り犯に思い至ります。

市兵衛の奈良時代の兄弟子の真達が市兵衛の前に現れます。
剣の勝負を挑みます。
そのためだけに真達は長い年月を生きてきました。

今回は渋井が大活躍です。
歌の誘拐、昔の映画のコレクターを思い出しました。

ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや

2017-07-02 21:00:00 | 

坂井希久子著"ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや"を
読みました。

"笹鳴き"
貧乏旗本の次男の只次郎は鶯の鳴きつけを仕事に
していました。
預かっていた鶯がちょっと目を離したすきに
いなくなってしまいました。
がっくりしていた只次郎を鶯の糞買いの又三がお妙の
居酒屋へ連れていきました。
お妙が料理をし義姉のお勝が給仕をしている店です。
又三はお妙自身とその料理にひかれます。
菱屋の御隠居にも店を紹介します。

"六花"
只次郎と菱屋の御隠居は三日に上げずにぜんやに
通ってくるようになりました。
只次郎が酒屋の升川屋の主人の喜兵衛を連れてきました。
喜兵衛は上方から嫁のお志乃をもらったばかりです。
お志乃は江戸の料理に馴染めずどんどん痩せていきます。
喜兵衛はお妙にお志乃が食べられるものを作って欲しい
と頼みます。
そのお志乃が店に押しかけてきました。

"冬の蝶"
お妙の亭主でお勝の弟の善助はは一年前に川で溺れて
亡くなっています。
只次郎の家の使用人が只次郎の跡をつけています。
只次郎が鶯の飼育で家の収入を担っている現状です。
それなのに兄は弟にぶっきらぼうにあたります。
ぜんやで鰤大根の鰤抜きの大根を家族のために買って
帰りました。

"梅見"
お妙は湯島天神へ梅見に行きました。
大混雑の中でお妙は十歳ぐらいの子供に出会い連れて
帰りました。
子熊と名乗る子供を行き先が決まるまで店で預かることに
なりました。

"なずなの花"
只次郎に縁談が持ち込まれました。
又三が小さなころから苦労した過去を只次郎に語ります。

居酒屋お夏と同じような設定の本を続けて読みました。
お夏とは性格がぜんぜん違っておもしろいです。
お妙の作る料理がとてもおいしそうです。

居酒屋お夏三 つまみ食い

2017-07-01 10:02:15 | 

岡本さとる著"居酒屋お夏三 つまみ食い"を読みました。

"つまみ食い"
お夏の居酒屋にお浪という女が現れるようになりました。
男の気を引くことを楽しんでいます。
大工の幸太はいっしょうけんめい修行をしています。
弟弟子たちの面倒もよく見るいい男です。
内緒にしていますが許婚が実家の近所にいます。
お浪が幸太に目をつけ、幸太は悩んでいます。

"いだてん豆腐"
平兵衛はいい腕をした鋳物師です。
女房は出て行かせ、十五歳になる娘のお照は残って
父親の面倒をみています。
品が出来上がっても平兵衛は納得出来ずに売ることが
出来ません。
仏具屋のお春の注文の香炉も出来上がったものを
手渡そうとした所へ来て取り返していってしまいました。

"干し飯"
お夏の父は裏で弱い者たちを助けていました。
お夏が24歳の時に飲み代を払わず立ち去ろうとした
武士たちを叩きのめしました。
仲間たちが現れて窮地に陥ったお夏を堀から引き入れて
助けてくれた人がいました。

居酒屋に音吉という隠居が来るようになりました。
干し飯をうれしそうにもらっていきました。
音吉は梅之助という人形師に肩入れしています。
梅之助の実家は大きな人形問屋でしたが大名から
預かった人形を盗まれたことから没落しました。
音吉はその原因となった人物に痛い目にあわせて
やろうとしています。

"玉子焼き"
お夏の母のお豊は子供の粗相を咎めだてして謝る母親と
共に斬りそうにしていた身分のありそうな武士たちを
注意しました。
母子を逃がしたお豊は斬られて亡くなりました。
中心人物は勘定奉行の菅山の息子の大治郎です。
大治郎はお夏の父が成敗しました。
殺害に加担した剣術指南の小菅市兵衛と中間の才次は
姿を消しました。
お夏たちは忘れてはいません。
髪結の鶴吉が舟宿の亭主の歳二郎となった才次を見つけました。
正体のわからない千住の市蔵という江戸を牛耳ろうとして
いる香具師の手先となっています。
お夏、清次、鶴吉、それに船頭の八兵衛は才次に
挑みます。

くそ婆ぁと言われている表の顔と、さっそうとした美女の
裏の面を見せるお夏がいいですね。

銀杏アパート

2017-06-30 21:39:17 | 

片島麦子"銀杏アパート"を読みました。
大きな銀杏の木がアパートのすぐ前に立っている
10年間ぐらいの間のその時々に銀杏アパートに
住んでいた人を描いた話です。
この話のこの人と別の話のあの人がどこかで繋がって
いたりします。
独立している話もあります。

最初の話と最後の話は長い年月が経って繋がっています。
二階に引越してきた学生と、その上の階に住んでいる
母娘、特に10歳の女の子と交流があります、
女の子のチサの父親は本妻のある人です。
父にもらった靴とサイズまで同じものを履かされています。
母親は成長する娘にはサイズが合わないことに
気づきません。
足の指が変形してしまっています。
学生は母親に現実を見るよう抗議します。
彼女とチサとの関係は最後にわかります。

スズコは仕事先で知り合った男のハルトが部屋に来る
ようになりました。
ハルトはDV男で理由もなく暴力を振るいます。
スズコは吹っ切れてアパートを出ていきます。

チサは中学になって体の不調に苦しみます。
養護教諭の水海先生は彼女の不調の原因に気づきます。
脊柱側弯症で体の歪みが不調を引き起こしています。
その元々の原因は足の歪みです。

犬や猫の思っていることがわかる女性がアパートに
住んでいます。
ペットを飼っている人たちの集まりにさそわれました。

猫を数匹飼っているアパートに住むお婆さんが倒れました。
猫が騒ぎました。
隣の女性が気づきました。
看護学生になっていたチサとペットの考えがわかる女性が
駆けつけてきてくれました。

最後の話は父親のお墓の前で父の本妻と出会う話です。
チサちゃんが成長してしっかり生きていてほっとします。

居酒屋お夏二 春呼ぶどんぶり

2017-06-28 21:00:00 | 

岡本さとる著"居酒屋お夏二 春呼ぶどんぶり"を
読みました。

"春呼ぶどんぶり"
亀井礼三郎と春之助親子がお夏の店に食事にやって
きます。
礼三郎は不器用な浪人です。
春之助は10歳、いい子に育っています。
妻のおせいは夫と子を置いて出ていきました。
実は春之助は礼三郎の子ではなく鷲尾一馬という男の
子供です。
おせいが何年かぶりで戻ってきて一馬といっしょになる
から春之助を返して欲しいと言ってきます。

"ふてえうどん"
半襟を売る中嶋屋の隠居のお勝がお夏の店にうどんを
食べに訪れるようになりました。
勝気なお勝は嫁の悪口をさんざんに喋ります。
お勝が見染て息子に勧めた嫁ですが息子と仲睦まじいのが
気に入りません。
とうとう父親の病を理由に嫁を実家に帰してしまいました。

"飴餅"
小粋な婆さんと呼ぶ老女が時々食事にやってきます。
時々話のつじつまが合わないことをいうようになりました。
彼女がお沢という名でお江という娘がいることを知ります。
お夏を妹と間違え店で出す飴餅を妹が作ったとものだと
言います。
妹のお滝は苦労して若く亡くなっています。
お沢はお滝に負い目があります。

"あら塩"
この話はお夏がどんな過去を持っているのかを現しています。
父親の長右衛門は相模屋という酒屋を営んでいました。
やくざ者やぐれかけた若者を連れてきてしっかり仕事を
させました。
彼らの結束はとても強いものでした。
長右衛門が亡くなった後店を畳んでちりぢりとなりました。
板前の清治とはその時からの付き合いです。
あら塩の佐兵衛も昔の仲間です。
川に落ちて亡くなっています。
お夏らは彼の死を殺されたのではないかと疑います。
それには当時の仲間が関わっているらしとわかってきます。

お夏の過去がわかりました。
時々で50過ぎにも30ぐらいにも見えがさつにも上品にも
みえる不思議な人です。
隠密のような仕事をしているのかと思っていましたが
違うようです。

祠の怪 溝猫長屋

2017-06-27 21:00:00 | 

輪渡颯介著"祠の怪 溝猫長屋"を読みました。
"古道具屋 皆塵堂"のシリーズが終わったしまって
寂しいですが、新しいシリーズが始まったようです。

溝猫長屋と呼ばれる長屋の年長の年の男の子は大家さんと
毎朝祠にお参りすることが義務づけられています。
今年は12歳の留吉、銀太、忠次、新七の四人です。
これまでは3月から初めて一年経たない内に皆
長屋を出ていきたがり、寺子屋での勉強を頑張り
奉公に出て行ってしまいます。
祠参りには何か隠されたものがあるらしいのですが
誰も教えてくれません。

昔長屋にいたお多恵ちゃんという同じ年頃の女の子が
祠のある場所で亡くなりました。
その霊を慰めるために母親が作りました。

新七が変な臭いを嗅ぎ、留吉が子供の声を聞きました。
その元となっている空家へ入って忠次は床板を踏み外し、
幽霊を見ました。
祠に参ると起きる現象は幽霊を目にするようになることでした。
臭い、音、幽霊を見ると三人で分けて感じます。

空家では前に栄三郎という子が殺されています。

お墓で忠次が臭い、新七が音、いっしょにいなかった留吉は
夢の中で幽霊を見ました。

隣町の娘のお紺が自分の家の隠居所に幽霊が出るから見に
行って欲しいと頼みにきました。
家へ行って見るとおんなの声が聞こえました。
お紺のおじいさんの茂左衛門は質屋でお蔦という女が質草を
持ってきていたということです。
お蔦は亡くなっています。
お蔦の亭主は働かない男でした。

子供たちはお蔦の亭主を訪ねました。
今までは嗅ぐ、聞く、見るは別々の子が感じましたが今回は
それまで何も感じなかった新七が全部をいっぺんにこの家で
感じました。
子供たちは危険にさらされました。

子供たちがあちこちで幽霊を見たりいろんなことを探り出した
ことで真実が明るみに出ました。
彼らは怖い目にあったにもかかわらず長屋を出ていこうとは
思っていません。

お多恵ちゃんが幽霊を見えるようにさせているらしいのですが
その辺の説明はまだありません。

長屋にはたくさんの猫が住み着いています。
犬も一匹います。
輪渡さんは猫好きなんでしょうね。

風雲大阪城 鍋奉行犯科帳

2017-06-26 21:00:00 | 

田中啓文著"風雲大阪城 鍋奉行犯科帳"を読みました。
シリーズ8作目です。

"風雲大阪城"
将軍家斉が百六十年ぶりに江戸から大阪に上洛すると
連絡がありました。
大阪ではこれまで食べたことのないものが食べたいと
いうのが上様の望みです。
西町奉行の大邉久右衛門に饗応の任が命じられますが
東町奉行の水野が自分に命じて欲しいと申し出ます。
二人で料理対決をすることになります。

久左衛門の部下の同心の勇太朗は剣の師の岩崎三之助の
娘の小糸が好きです。
岩崎が刺客に襲われました。

奉行は鯛や鯉を使って様々な料理を拵えさせ全ての料理
を食べつくして味見をしています。
水野が何を出してくるのか気になります。

勇太朗は小糸の危機を救うため必死です。

"偽鍋奉行登場"
屋台や小さな店に入り酒や料理を食べつくしお金はないから
明日奉行所に取りにくるよう言って去っていく奉行の偽物が
現れました。
毎日正体がないほど酔って帰ってくる久右衛門はおかしいと
思いつつそんなことをしたのかとつけを払っていました。
街には坊主や尼の姿をした押し込み強盗が出没し続けています。
いろんな宗派の経を読む本物の僧と思われます。
奉行所は捉えるようせっつかれています。
勇太朗は頭を反り付け焼刃の修行をして悪者たちの仲間として
潜入します。

勇太朗は小糸との結婚を望み母や小糸に打ち明けます。
一人娘の小糸と跡取りの勇太朗の結婚はすんなりとは
まとまりません。
勇太郎からの連絡がなく、小糸は心配して自分も髪を剃り
侵入します。

このシリーズ好きです。
大喰らいで大酒のみの久右衛門ですが、やる時はしっかりと
やる人物です。
でもあまり名古屋では人気がないようです。
何でわかるかというと名古屋中の市立図書館の蔵書冊数が
1冊のみなんですよね。
おもしろと思うんだけどね。

ハルカの空 南アルプス山岳救助隊K-9

2017-06-25 17:04:05 | 

樋口明雄著"ハルカの空 南アルプス山岳救助隊K-9"
を読みました。
短編集です。

"沈黙の山"
大学の女子学生三人のパーティで北岳に登りました。
一人が体調が悪く遅れ気味になりました。
一人になった日向子の後ろから男性が迫ってきて
追い抜こうとしていました。
道は狭く片側は崖で余裕がありません。
男性は足を滑らせました。
一旦は手をつかみましたがその手を放しました。
夏美は救助犬メイを連れて行方不明となった三上の
救助に向かいました。

"ランナーズハイ"
山を走るトレイルランをするものが増えてきました。
歩いて登人たちとの間でトラブルが起きています。
奥寺は大会での好成績を目指しています。
猛スピードでの下山の最中に浮石を踏んで滑落しました。
仲間が先に降りた奥寺が下山していないことを心配しました。
静奈がバロンと共に救助に向かいました。

"サードマン"
信也と剛は冬山に登っています。
テントを張ってガソリンストーブを点けようとしますが
調子が悪いです。
ガソリンが気化している所へ火を点けたためテントが火災で
燃えました。
それを見ていた他のグループから報告があり救助隊が出発
しました。
テントや荷物を失っているうえに道を失い崖を下りようとして
滑落しました。
火災を連絡してきたグループが雪崩に巻き込まれました。
サードマンとは気配や幻のような姿が危険が迫った遭難者を
安全な場所に導いてくれる現象をいうのだそうです。

"ハルカの空"
遙香は学生で夏の間山小屋でアルバイトをしています。
いろんな人がきます。
中に非常識な人たちがいます。
トイレットぺーパーを持って行ってしまう人、お替り自由を
勘違いしておにぎりを作って持っていく人。
酔ってトイレを汚し使い物に出来なくして去っていく人などです。
救助隊が出払ってしまった時に小屋の近くで倒れた人がいると
連絡がきました。
意識はしっかりしているということで小屋のものが駆けつけました。
男性は再度倒れ意識がありませんでした。
蘇生措置を施しても助かりませんでした。
ヘリコプターが麓への運搬にやってきました。
小屋のまわりにいた人々は写真を撮ることに夢中で作業の邪魔を
します。

"NO WAY OUT"
中込は夫婦で冬山に登り遭難して妻が亡くなりました。
1年後の冬に夫は同じ場所に登り亡くなりました。
夏美と冬にコンビを組んでいる堂島は息子を遭難死させています。
堂島は中込に触発されて山に入りました。
夏美はメイと共に堂島を追って山に入りました。

山という逃げ場のない所にいるというのに常識はずれというか
とんでもない人々が多く登場します。
山を甘く見ています。
最初の話、なぜすぐに連絡しないのかどうにもその心理が理解
できません。
遭難者を担いで降りているのを邪魔だと声を荒げる人など
現実にこんな状態なのか、小説の中だけの話なのかと考えて
しまいます。
こんなすさんだ心で山に入ってだいじょうぶなんでしょうか。

天空の鷹 風の市兵衛

2017-06-23 21:00:00 | 

辻堂魁著"天空の鷹 風の市兵衛"を読みました。
口入屋の宰領屋で市兵衛は中江という老人が人を
雇いたいと訪ねてきたのに出会います。
田舎からでてきた尾羽打ち枯らした感じの侍で
市兵衛は気になりました。
市兵衛は一月二分で中江半十郎という老人雇われる
ことにします。
息子の作之助は江戸で北相馬藩の勘定人とし働いて
いました。
息子が病気で死んだと知らせを受けました。
その直後に息子の手紙が届きました。
真実を知るため中江は七歳の孫の節を連れて江戸へ
出てきました。
息子は藩の仕込帳を持ち出し父親の手に渡るよう
手配しておきました。

市兵衛は仕込帳を読み解いて藩が手形を乱発して
行き詰まっていることを知りました。
これには藩の重役たちが関わっています。
藩の若君の憲承の鶴姫との婚礼はこの危機を乗り越える
ためのものでした。

やがて二人は作之助が病死でも切腹でもなく殺害された
ことを知ります。

二人を始末してしまいたい藩は二人を屋敷に呼び寄せます。
半十郎は死ぬ覚悟をしています。
市兵衛は雇われた身として彼と行動を共にします。

弥陀ノ介と兄信正は心配でも屋敷の中へ踏み込めません。
表でじっと出てくるのを待っています。

屋敷内での半十郎と市兵衛の戦いの場面はすざましいです。
二人対何十人ですから。
老人の半十郎はすごい剣の腕を持った人です。

一人では息子の残した資料を読み解くことができない老いた
父親が息子のためにと必死で真実を知り、戦った物語でした。

居酒屋お夏

2017-06-22 21:00:00 | 

岡本さとる著"居酒屋お夏"を読みました。
お夏は三年ほど前から居酒屋の女将をしています。
50歳にみられることもある化粧化がなく、言いたい
ことはそのまま口にする毒舌家です。
客には婆ァ呼ばわれしています。
いつの間にか清吉という腕のいい板前が来て料理も出す
ようになりました。
お夏も簡単な料理を作ってだすことがあります。

"けちな飯"
新吉というやくざものが店にくるようになりました。
子供のころにこの界隈に住んでいていろんな店の手伝いを
していましたがどこもうまく勤められませんでした。
大人になってやくざ者として戻ってきました。
飯に目指しに味噌汁というけちな飯を文句を言いながら
食べにくるようになりました。
やくざの親分に敵対する親分を殺せと命じられました。
新吉の前に御高祖頭巾を被ったえもいわれぬ妖しげな
美しさを発散している女が現れて忠告をしました。

"おちゃけ"
信二郎は水茶屋の松乃に寄宿して水墨画を書いています。
お梅は松乃に勤める茶立女です。
松乃は信二郎にお茶を運んでくれています。
お梅が男と会っています。
実はこの男はお梅の異母兄です。
彼女と母親を恨んでいて何度もお金をせびっています。
今回はお梅を売り飛ばそうと目論んでいます。
信二郎の前に美しく妖しい女が現れます。

"朝粥"
お夏のお店では前日に余った飯で翌朝粥を作ることがあります。
それを目当てにお夏が割れ鍋に綴じ蓋と呼んでいた隠居した
おしげ、六兵衛夫婦が通ってきていました。
おしげが急に亡くなって六兵衛は生きる張り合いを失くしました。
六兵衛の前に商家風の気品のある美しい女が現れ六兵衛を
はげましてくれました。

"二人で二合"
夜鷹のおすがは乞胸とよばれる大道芸人の瀬兵衛と店で
会って二合の酒を分け合って飲んでいます。
おすがの知り合いの夜鷹のおせつが殺されました。
おすがと瀬兵衛の様子がおかしくなりました。
ある日二人は怪しい男たちに命を狙われました。
彼らは盗賊の上前をはねる同心と御用聞きでした。

上品で美しい女はお夏らしいのですが本の中では正体は
明かされていません。
居酒屋お夏とはまるで別人です。
お夏とはどんな人なんでしょう。

タスキメシ

2017-06-20 21:00:00 | 

額賀澪著"タスキメシ"を読みました。
駅伝に熱中している若者を描いた話しです。
眞島早馬は有望な駅伝の選手でした。
高二の時右膝を剥離骨折しました。
高三になりましたがそれ以来走っていません。
弟の春馬は一つ下でやはり駅伝をやっています。
早馬は陸上を止めようと思っています。

担任で校庭で野菜栽培をしている稔と呼ばれている
教師に手伝いをさせられました。
収穫したアスパラを料理研究部の井坂都の元へ届ける
よう頼まれます。
都は一人だけの部員です。
早馬はこれがきっかけで料理を習うようになりました。

春馬は極端な偏食です。
ほとんど食べられるものがありません。
母を早く亡くし料理をしてくれた祖母も亡くなりました。
父と兄弟の三人の食事はバラバラで春馬はコンビニで
買った物を毎日食べています。
食事の偏りで怪我をすることを心配した早馬は都に
習った料理を春馬をなだめながら食べさせました。

眞島兄弟と同じように都も家庭の問題を抱えていました。
都を妊娠したことでしかたなく結婚した二人は喧嘩
ばかりです。
都が聞いていることをまったく気にすることもなく娘は
必要でなかったと言い合います。
彼女は料理で心の平穏をはかっています。
助川は都の幼馴染です。
助川も駅伝選手で部長をしています。

こんな陸上部員たちの高校時代、大学時代が描かれます。
回想としてもっと小さいころのことも出てきます。

眞島は推薦ではなく一般入試で駅伝有名校を受けます。
その大学に管理栄養士を目指す科があるからです。
彼らはどのような人生を選ぶのでしょう。
がんばっている若者の話はいいですね。
いろんな料理も出てきます。

ポーカー・レッスン

2017-06-19 10:22:16 | 

ジェフリー・ディーヴァー著"ポーカー・レッスン"を
読みました。
分厚い単行本ですが16編の短編集です。
ディーヴァーさんの短編はあまり好みではないです。
流し読みや飛ばしてしまったものが多いです。
そんな中でもいくつか面白いものがありました。
リンカーン・ライムが登場する話がありました。
"ロカールの原理"です。
ロカールの原理ってテレビドラマの刑事ものや小説で
耳にしたり目にするので知っています。
人と人が出会えば微細物が交換されるということです。
世界的な慈善事業を行っている大富豪が殺されました。
ベランダから室内のベットの被害者を撃ったようです。
一緒にいた妻は破裂した弾の破片で怪我をしました。
結婚したばかりの妻ですが契約で夫が死亡しても遺産は
手にできないことになっていました。
犯人はプロの殺し屋です。
アメリア・サックスによって微細証拠が集めらます。
その中の一つで捕まらないと自信を持っていた犯人は
依頼されていた残りの人を殺そうとしたところで逮捕
されるという話でした。
犯人は意外な人物です。
いくらでも裕福な生活できたでしょうにお金のための
殺人ではなく、殺人そのものが生きる目的みたいです。
なんともおそろしく悲しい人生ですが、きっとそういう
人もいるんでしょう。

"生まれついての悪人"も最後でがらっと様子が違って
おもしろかったです。
親に徹底的に反抗していた娘は家を出ていって数年会って
いません。
突然家に来ると電話が架かってきました。
母親は何だろうと恐れながら待ちます。
洋裁好きな彼女はコートにポケットを作り武器を
忍ばせておきます。
後半を読んでそういうことだったのかとびっくりです。

月夜行 風の市兵衛

2017-06-14 21:00:00 | 

辻堂魁著"月夜行 風の市兵衛"を読みました。
算盤侍として登場したけどだんだん経済的な仕事
ではなく用心棒のような仕事になってきています。
出石藩の御家騒動の話です。
正妻の子供は亡くなっています。
側室の子として生まれた安寿姫が養子を迎えて家を
継ぐことになっています。
正室の徳の方はそれを嫌って自分の身内のものを
養子としたいと願っています。
姫を守る浅野慶一郎、久衛門父子は姫を武蔵国等々力村
の万願寺に男装させた栄心として預けました。
市兵衛は浅野父子に見込まれて姫を守るために雇われて
万願寺に行きました。
万願寺の智栄法師に見守られ、頭のいい小坊主の覚念が
側に仕えていました。
姫は寺にじっとしてなく村の人々の暮らしの悲惨さを
見ました。
村を牛耳る者たちが貧乏な村人に金を貸し返せなければ
娘たちを取上げていました。
姫は番太の団蔵と諍いを起こし正体がばれてしまいます。

姫の危険を察知し駆けつけてきた浅野久衛門と共に
市兵衛は姫を守って江戸の下屋敷まで逃避行を
開始することになります。
徳の方が放った刺客の伊勢御師の集団の数十人と団蔵らの
集団と二人で斬り開いての逃亡です。

いつも市兵衛を気にかけている兄の片岡信正やその部下の
返弥陀ノ介が市兵衛が危ない時には駆けつけてくれるのですが
今回はどこへ仕事に行くのか告げずに出かけています。
それでも弥陀ノ介は事情を察し待っていてくれます。

大勢相手に姫を守っての激しい戦い、迫力あります。
おもしろかったです。

髪結いの亭主 五 子別れ橋

2017-06-13 11:14:20 | 

和久田正明著"髪結いの亭主 五 子別れ橋"を読みました。
風祭千之介は弟に家督を譲って髪結のおちかと
暮らしています。
弟の百太郎は目付をしています。
泥棒のねずみ小僧と風祭の兄弟は友達です。
彼らと知り合いになった為五郎は侠客を気取っていて
ほとんど仕事をしません。
為五郎には清吉という息子がいますがほったらかしです。
巷では子供のかどわかしが続いています。
食事をさせていねいに扱われて数日後には帰されています。
子供を探しているようです。
かどわかされた子供の話から長姫藩の上屋敷の者の
仕業だとわかります。
病気の殿様の跡継ぎを巡ってのお家騒動が起こっています。
正室側と側室側との勢力争いです。
清吉がさらわれてしまいます。
清吉の出生、風祭兄弟と鼠小僧のお家騒動に巻き込まれた
顛末の話です。
清吉はどうするのかと思いきやそういう選択をしたんだ。

I love letter

2017-06-12 21:00:00 | 

あさのあつこ著"I love letter"を読みました。
岳彦は17歳で高校生でしたが半年ほど引きこもりに
なりました。
いじめだとか成績不良だとかという理由はありません。
岳彦には睦美、むっちゃんと読んでいる叔母がいます。
彼女は世界中を飛び回って過ごした時期があり、あらゆる
場所にいろんな知り合いがいます。
社員数人のI love letterという文通をする会社を起こしました。
睦美は岳彦をむりやり仕事に引き込みました。
お客さんの手紙を読み返事を出すというのが仕事です。

"I love letter"
波乱万丈の人生を書き送ってきていた女性からの手紙が
突然こなくなりました。
睦美は様子を見に家を訪れました。

"さよなら、ママ"
八歳の松尾隆祐からの手紙は母親が父親が殺した、自分は
母親を殺すという物騒なものです。

"おさななじみ"
岳彦が子供のころ同じマンションの絵里と友達でした。
絵里から10年ぶりに電話がありました。
その後何回か電話で話ました。
自殺を思わせる電話があった後、絵里はビルから飛び降り
亡くなりました。

"こいぶみ"
かつての女優が息子からもらった Love letter が見つからない
から探して欲しいと依頼がありました。
事業内容が違うといっても聞き入れられず睦美と岳彦は家に
探しに行きました。

"猫が鳴いている"
引きこもりの男性の高森と岳彦は文通することになりました。
夜だけ家を出て歩けるようになった高森は隣の家の夫婦の
トラブルを知りました。
人と言葉でコミュニケーションがとれない高森は岳彦の助けを
求めてきます。

"Love letter"
鈴森という女性と岳彦は文通しました。
彼女の手紙はしだいにエスカレートしてきて岳彦に対して
Love letterを書いてくれるように求めるようになりました。

軽い感じで書かれているのですいすい読めます。
しかし内容は重いものが多いです。
文通が仕事になるのでしょうか。
文通というより誰かと繋がりたい、わかって欲しいというのが
底にあるように思います。

私は手紙やメールを書くことは好きではありません。
過去に嫌なことが何回もありました。
書いたこととまるっきり違った風にとらえられたり、まるで
理解されないことが多くもう書くのは嫌です。
手紙での喧嘩は本当に不毛です。
大事なことは面と向かって、まだしも電話でが私の悟った
ことです。
今ではメールでといわれることが多いですけどね。