朽木祥著"かはたれ 散在ガ池の河童猫"を
読みました。
児童書です。
「かはたれ」とは漢字で書くと「彼は誰」で
夜明けがたの薄明、夕暮れ時など暗くなって
人を見分けられない状態の時を指すそうです。
小さな池の浅沼に八寸という河童が一人で
住んでいます。
前は八人の家族で住んでいましたが、他の池に
出かけてその池に住む河童たちに迷惑をかけて
いなくなってしまいました。
一番下の八寸だけが留守番していました。
他の池の河童たちからのけ者にされ孤独に暮ら
しています。
ある日長老に呼ばれました。
猫に姿を変えてやるから人間の観察をしてくる様
命令されます。
八寸は人間の世界に出かけていきます。
小学4年生の麻は丘の上の家に父親と住んでいます。
チェスタートンというラブラドールを飼っています。
母を亡くし悲しみから抜けられません。
公園で暮らしていた八寸はキウイを食べて体調を
壊したところを麻に助けられ家に連れてこられました。
八寸は麻の家で暮らすことになります。
体を洗ってやろうと水をかけると八寸は猫から
河童に戻ってしまいました。
八寸は麻にかくまわれました。
八寸と犬のチェスタートンとも近づきます。
月の光を浴びやがて猫の姿に戻りました。
麻は母を亡くしたことで他の人から離れ、やがて
話も出来なくなってしまいます。
心配した保健の先生からの手紙で父親は初めて
麻の心の状態を知りどうにかしなければと
気がつきました。
その後、ある出来事があり八寸はチェスタートンの
助けで故郷へ戻ります。
そこには八寸を待っている者がいました。
八寸と麻がそれほど語り合ったということは
ありません。
それでも二人共忘れたくない時間を共にしました。
静かな物語ですが気分が良くなる話でした。