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雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

かはたれ 散在ガ池の河童猫

2019-02-13 21:00:00 | 

朽木祥著"かはたれ 散在ガ池の河童猫"を
読みました。
児童書です。
「かはたれ」とは漢字で書くと「彼は誰」で
夜明けがたの薄明、夕暮れ時など暗くなって
人を見分けられない状態の時を指すそうです。

小さな池の浅沼に八寸という河童が一人で
住んでいます。
前は八人の家族で住んでいましたが、他の池に
出かけてその池に住む河童たちに迷惑をかけて
いなくなってしまいました。
一番下の八寸だけが留守番していました。
他の池の河童たちからのけ者にされ孤独に暮ら
しています。

ある日長老に呼ばれました。
猫に姿を変えてやるから人間の観察をしてくる様
命令されます。
八寸は人間の世界に出かけていきます。

小学4年生の麻は丘の上の家に父親と住んでいます。
チェスタートンというラブラドールを飼っています。
母を亡くし悲しみから抜けられません。

公園で暮らしていた八寸はキウイを食べて体調を
壊したところを麻に助けられ家に連れてこられました。
八寸は麻の家で暮らすことになります。

体を洗ってやろうと水をかけると八寸は猫から
河童に戻ってしまいました。
八寸は麻にかくまわれました。
八寸と犬のチェスタートンとも近づきます。
月の光を浴びやがて猫の姿に戻りました。

麻は母を亡くしたことで他の人から離れ、やがて
話も出来なくなってしまいます。
心配した保健の先生からの手紙で父親は初めて
麻の心の状態を知りどうにかしなければと
気がつきました。

その後、ある出来事があり八寸はチェスタートンの
助けで故郷へ戻ります。
そこには八寸を待っている者がいました。

八寸と麻がそれほど語り合ったということは
ありません。
それでも二人共忘れたくない時間を共にしました。

静かな物語ですが気分が良くなる話でした。

菜の花食堂のささやかな事件簿 きゅうりには絶好の日

2019-02-12 14:23:24 | 

碧野圭著"菜の花食堂のささやかな事件簿
きゅうりには絶好の日"を読みました。
シリーズ2冊目です。
1冊目はこちらです。
靖子先生は料理教室を開いています。
優希は助手をしています。
1つの野菜を題材に数種類の料理の仕方を
教えてくれます。
靖子先生は不思議な事件に推理力を発揮します。

"きゅうりには絶好の日"
生徒の瀬川さんが赤い自転車の謎を話します。
駅前の自転車置き場に自分のと同じような赤い
自転車が置かれています。
この自転車はいつ通った時にも置いてあります。
でも使われてはいる様子。
昼も夜も置かれていていったいどういうこと
だろうと不思議に思います。

"ズッキーニは思い出す"
新しく生徒となった牧麻美は父子家庭で育ちました。
必要に駆られ子供のころから本を見たりして料理を
してきました。
自己流ですので料理に自信がありません。
運動会などの催し物の時には父方の叔母が豪華な
弁当を作ってくれました。
でも叔母は仕事を持っていて料理が上手くはありません。

"カレーは訴える"
ランチを食べに来た人に野川マルシェへの出店を
勧められます。
神社の境内で行われる催しです。
カレーを売ることになりました。
最初にやってきた女子高校生はライス抜きでカレーだけ
売って欲しいとの注文です。
カレーの販売は好評に終わりました。
カレーだけというお客が多かったです。
いったいどうしてかこの謎を靖子先生は解きます。

"偽りのウド"
生徒のあおいは農家で暗い地下でウドの栽培を
しています。
靖子先生と優樹は地下の室を見学させてもらいました。
次の教室ではウドを使った数種類の料理を作りました。
誰だかわからない人物のブログにこの時に作られた
料理がそのままに自分で作ったと載りました。

"ピクルスの絆"
生徒の香奈がもっと習いたいから弟子にして欲しいと
申し出ます。
弟子が持てるようもう少し収益をあげれたらとの
願いがあります。
好評なピクルスを瓶詰にして売ったらという案が
ありますが許可を取るためには設備投資しなければ
いけません。
異業種交流会をしている若者たちから自分たちだけの
料理教室をやってくれないかと頼まれます。
料理教室が開かれた数日後、参加した小島と田中が
訪ねてきました。
靖子先生の出生にまつわることが明かされます。
その結果、靖子先生の夢は…

いろんな料理が出てきます。
料理好きな人にはそれだけでも楽しいかも。

風のベーコンサンド

2019-02-08 21:00:00 | 

柴田よしき著"風のベーコンサンド"を読みました。
こんな話前に読んだ気がすると感じました。
似たような話があったんだろうと思っていました。
終わりの方で車で来た女性に道を聞かれる場面で
あぁやっぱりこの本読んでいたとわかりました。
過去のブログで探してみたらありました。
こちらを見てみてください。

彼女が喫茶店を始めた理由が過酷なものです。
主人公の奈穂は離婚調停中で、夫の滋は
モラハラで彼女を追い詰め心を壊してしまいます。
自分には非がないと彼女を自由にしようとしません。
怖いですね。
でも雪の中で遭難しかけて、やっと本心をもらし
離れてくれます。
現実の世界では殺してしまうまでつきまとう
人達がいて、そこまで異常な人物でなくよかった
とほっとしました。

寂れてきた高原で新規に生活を始めようと努力
する主人公が気持ちいいです。
ベーコンサンドの発案者の田中さんもいいですね。

読んでもさっぱりと忘れてしまうなんて悲しいです。

幻惑と死と使途

2019-02-07 10:42:33 | 

森博嗣著"幻惑と死と使途"を読みました。
建築学の助教授の犀川と、その大学の4年生の
学生の西之園萌絵が事件の謎を解くシリーズの
1冊です。
発刊順に読んでないようで犀川と萌はいつの間にか
婚約していました。
場所は那古野市のN大学となっていますが、
読んでいればここが名古屋市で大学が名古屋大学
だということはわかります。
作者の森さん自身が名古屋大学の助教授だった
そうです。
なぜ名古屋市ではいけないんでしょうね。

箱からの脱出が得意な有名なマジシャンの有里匠幻が
滝野ヶ池緑地公園の池で縛られ箱に入り、池に
沈められたのち引き上げられ生きて登場するという
ショーを行うことになりました。
犀川と萌絵、それに大学院生が見に行きました。
引き上げられた箱からは胸をナイフで刺された
匠幻が現れました。

匠幻には弟子が3人います。
有里タケル、ナガル、ミカルです。
葬儀で棺を霊柩車に乗せ走り出したところで
車は止まりました。
運転手は変な声が聞こえると言います。
棺を開けてみると匠幻の遺体は消えていました。

静岡でビルを爆破で解体をすることになり、
日本ではほとんどない解体方法を見学に大勢の
人が集まりました。
犀川の研究室の者たちも学会の帰りに見学する
ことになりました。
学会に参加しない萌絵はわざわざ車で見学に
いきました。
爆破の直前に有里ミカルがビルからの脱出を
行うと知らされていました。
ミカルは爆破されるビルの屋上にいて爆破の
直後に隣のビルの屋上に姿を移しました。
人々がそこに行ってみると彼女は殺されていました。

最初のページに匠幻らしい人物の語りがありますし、
つい最近トリックというマジシャンが主人公の
海外ドラマを見たばかりでしたのでほんのちょっぴり
ですがこんなことではないかと感じるものが
ありました。

びっくりする仕掛けです。
萌絵が人々を集めてこうだったのだと解説する
のですが、その後で犀川がもう一つひねった
真相を語ります。
こちらが真実でしょう。
驚きの真相でおもしろかったです。

犀川さん、優れた推理力を発揮するのですが
なかなか動こうとしない人です。
仕事以外に興味なさそうですし、なんか
いらいらしてくる人です。

確率捜査官御子柴岳人 ゲームマスター

2019-01-30 16:16:31 | 



神永学著"確率捜査官御子柴岳人 ゲームマスター"
を読みました。
ミステリーの中で御子柴さんて、とてもよく
出てくるような気がします。
探偵役に向いた苗字というわけかな。
今まで御子柴という苗字の方には会ったことが
ありません。

この本の御子柴は大学で数学を研究している准教授です。
警察の特殊取締対策班のオブザーバーをしています。
毒舌家で気に障ることばかり言う人です。

太田慶一郎という国会議員の屋敷に泥棒が入りました。
犯人は山田という無職の若者で盗んだものはUSB
メモリーだけです。
山田は公園でメモリーを捨てたあと捕まりました。
しかし太田はUSBメモリーなど知らない、
盗まれていないと言います。

誰かにコントロールされて起こった事件です。
御子柴は数学の知識からゲーム理論を使った
事件だと見抜きます。

前半は話しがゆっくりでまだるっこしい感じがします。
最終段階でスピードが早く進みます。
昔の犯罪に端を発した事件です。
一番の悪人は身近な人達に見放されて残念な
人生です。

それにしてもややこしい話です。

ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン

2019-01-27 21:00:00 | 

小路幸也著"ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン"を
読みました。
このシリーズも13巻目になりました。
1年に1冊のお楽しみです。
東京バンドワゴンという古本屋と喫茶店の
大世帯の家族とその友人たちの、冬から始まって
秋までの1年間のできごとが描かれます。

お隣のIT会社社長の藤島さんの、書道家の
お父さんが亡くなりました。
記念館を開く計画や様々な片付けで忙しくしています。
研人のバンド仲間の渡辺君のお父さんはリストラ
されて再就職探しはうまくいっていません。
研人の後輩の中学生は素晴らしい写真を取ります。
隣の小学生の少女の写真は人々を驚かせました。
そしてそのモデルの少女は数年前に東京バンドワゴンの
人々と知りあったのぞみでした。

花陽は医者をなることを目指しています。
医学部への入試の時がきました。
結果はもちろん合格です。
花陽の母の藍子と夫のマードックはロンドンの
マードックの両親をしばらく暮らすために日本を
離れることになります。
家と隣の藤島の藤島ハウスとで家族の部屋替えが
行われました。
小学生の少女ののぞみは家族とかみあいません。
家に居たくなさそうにしています。

買い取った本の中に青の実母の池沢百合枝の
ヌード写真が挟まっていて驚きです。
しかし我南人は冷静に写真の意味することを
見抜きました。
研人のガールフレンドの芽莉依の父親が
転勤になり、両親は単身赴任しようと決めています。
若い二人は別の提案をします。

近所に住む増谷裕太野島真央は結婚することに
しました。
我南人のバンド仲間のボンは病気です。
ボンの息子の鱗太郎は花陽と付き合っています。

あいかわらず賑やかな家族です。
話し手はおばあちゃんのサチの幽霊です。

すべてがFになる

2019-01-26 10:14:07 | 

森博嗣著"すべてがFになる"を読みました。
面白かったです。
でも設定がこんなこと犯罪でしょうって
思ってしまって。
まあ小説って現実ではないんですけどね。
真賀田四季は天才的な頭脳の持ち主で博士です。
14歳の時に両親を殺したとしてその後の15年間
三河湾にある妃真加島の研究所に幽閉されています。
ほんの数人しかこの間、直に彼女に会ったことが
ありません。
彼女はコンピュータのシステム開発をしています。
研究所の人たちとはテレビ電話で交流します。
島には研究所しかありません。
50人ほどいる所員はそれぞれの部屋で仕事も
生活もするという形態です。

大学生の西之園萌絵は同じ大学の助教授の儀同創平と
子供のころからの古い知り合いです。
夏休みに創平の教え子たちと妃真加島でキャンプを
するという許可を得ました。
西之園と創平は二人で研究所を訪れました。

そこで二人は四季博士が殺され手足を切り取られ
ロボットに括りつけられドアから出てくるのを
見ました。
システムは壊され警察へ連絡もできません。
ヘリコプターで外出から戻ってきて屋上へ
着陸した所長が刺されて殺されます。

四季は両親を殺したのは自分ではなく人形だと
言っていました。
所長は父の弟で叔父です。

部屋の入り口には常時二人が監視しています。
ビデオにも出入りする人は写っていません。

この状態でどうやって犯人は殺人を犯したのでしょう。
もう一人副所長が部屋で殺されて見つかります。

題名の"すべてがFになる"ってFってなんだろうと
思いました。
最後の方でその答えがあっと頭に浮かびました。
なんだ、どうしてわからなかったのだろうと
くやしかったです。
コンピュータの世界でFといえば…
すべてがFになった状態が頭に浮かびました。

1996年が第一刷発行だそうです。
コンピュータの話がなんか古臭いなと思う部分と
入室管理などの仕組みなど近未来の話かと
思う部分とがあって変な気分になります。

子供を面倒をみる人もなくたった一人で暮らさせる
なんてもし本人がそれがいいと言ったとしても
虐待ではないかと思ってしまいます。
この研究所の仕事の仕方、人との交流がほとんど
なくそれぞれが部屋で過ごすなんて辛くはない
のかと思います。
せっかく同じ仕事をするのなら、わいわいと
言いながら過ごせばいいのに。

ずいぶんひどい犯罪です。
すべてがFになるまで待つまでもなく、人を
殺すまでもなく他の方法があるでしょうと
言いたくなりますが、それでは小説が出来上がり
ませんね。

ようこそ夢屋へ 南蛮おたね 夢料理"

2019-01-11 21:00:00 | 

倉阪鬼一郎著"ようこそ夢屋へ 南蛮おたね
夢料理"を読みました。
おたねと誠一郎は安政の大地震で三つの娘の
おゆめを失いました。
炊き出しを行っていた時に知り合ったおりきと
夢屋という店を始めることになりました。
誠一郎は西洋の学問を学んでいます。
店で南蛮料理を出したいと思っています。
手に入り難い材料を探し出し店で使ってもらって
います。
おりきの息子の太助は別の店で修行中です。

薬種問屋の長生堂の跡取り息子の忠吉が思い
病になりました。
おたねの両親は医者です。
父親の玄斎が請われて往診に行きました。
もう手の施しようがない状態です。
夢屋の者たちが少しでも忠吉に食べてもらおうと
南蛮料理めいたものを考えだしては運びました。
忠吉は西洋の学問を学びたいと思っています。
病の床で西洋の医学書の翻訳に取り組んでいます。

いろんな料理が試されます。
卵を使ったものが多いように思います。
キャベツだとかトマトが試験的に栽培され始めた
次期です。
まだまだいいものが育ちませんし、食べ方も
手探り状態の時代です。
時代が変わろうとしている時です。

凜の弦音

2019-01-10 21:00:00 | 

我孫子武丸著"凜の弦音"を読みました。
弓道部の女子高校生を描いたものです。
若干ちょっとした謎解きがあります。
著者の奥様が弓道を十年やっていて5段で
ご本人も初段までやっていたそうです。
なるほど弓道について詳しく書かれています。

凜は中高一貫校で中学から弓道部で頑張って
います。
凜は棚橋千佐子という先生の指導を受けて
いました。
先生は高齢で病気のため引退しました。
先生の家には道場があります。
凜は土曜日に練習に通っていました。
道場で人が死んでいました。
凜は弓道家としての観点から警察にアドバイス
します。

弓道部の部長の綾乃には最初厳しく意見される
ことがありましたがしだいに打ち解けて弓道に
ついて語り合う中になりました。
1年上級の新聞放送部の男子の中田は凜を
追っかけて写真や動画を取っています。
凜はうるさいと思いつつ色々頼みごとをしたり
話しを聞いてもらったりするようになります。
弓道をやっている仲間には凜や綾乃のように
何かを極めようと真剣な者と、学生時代を
弓道で楽しく過ごしたいと思っている者が
います。

中田がネット上に上げた動画で凜は多くの人に
知られるようになりました。

うんと若い芳村先生が指導者になりました。
棚橋先生とはちょっと違う指導方法ですが
弓道に対するにもいろいろあるのだと
理解してきます。

竹製の弓が無くなったという出来事があり
犯人は部員の内にいるのではと疑われました。
この話しはちょっと理解できません。
こんなこと絶対やっちゃいけないことだと
思うのですけど。
私だったらこの人たちとは二度と信頼関係は
結べないと思います。

それはともかく何かに集中している学生たちの
生活はすがすがしいです。

妃は船を沈める

2019-01-09 11:22:23 | 

有栖川有栖著"妃は船を沈める"を読みました。
"第一部猿の左手"と"第二部残酷な揺り籠"から
なってますが二部は二年後に一部の後日談を
思いついて書かれたものだそうです。

"猿の左手"
盆野和憲は夜の埠頭で車に乗ったまま海へ
突っ込み亡くなりました。
自殺のように見えますが殺人ではと疑います。
彼には一億円の保険金が掛けられていました。
借金は五千万ほどあります。
彼の妻の古都美は睡眠ダイエットで成功して
います。

古都美の友人に美松妃沙子がいます。
保険セールスから投資家となり成功しています。
和憲に3900万ほど貸しています。

妃沙子は若者たちを見直に集めてわいわいやる
ことに喜びを見出しています。
その一人の潤一を養子にしています。
数年前に取り巻きの一人が潤一を殺そうとして
間違って別の男を殺し自殺する事件が起きて
います。

妻か妃沙子か潤一が殺したのか調べられました。

"残酷な揺り籠"
前の登場人物の妃沙子が引き続き登場します。
大阪で地震が起きた時間に設楽家の離れで加藤廉が
銃で殺されました。
知り合いの日下部が連絡のないことを心配して
家に行き見つけました。
事件の起きた時、設楽夫妻は送られたワインに
入れられていた睡眠薬で眠らされていました。
設楽夫人は妃沙子でした。
彼女は車椅子生活をするようになっていましたが
幸せな生活を送っていました。
廉は以前は離れで暮らしていましたが、現在は
出ています。

妃沙子は前半と後半とでは生き方が変わっています。
若者を侍らせて楽しんでいた彼女ですが夫との
生活に幸せを感じています。
事件はこのことを契機にして起きました。

月琴亭の殺人 ダブル・ミステリー

2019-01-05 21:00:00 | 

芦辺拓著"月琴亭の殺人 ダブル・ミステリー"を
読みました。
二つの話が最後に繋がります。
本の前から"月琴亭の殺人"、後ろから"ダブル・
ミステリー"が描かれ真中に解決編がはさまれて
います。
後ろからって、左から右に読むの?それつらい
よねって思っていたら横書きになっていました。

"月琴亭の殺人"
森江は幻の映画の上映会を、島に建つ月琴亭という
ホテルで開くという招待状をもらって出かけました。
島は潮が引いた時だけ通れる道で行くことが
できます。
堂ヶ芝は珍盤のレコードがあると、青塚は絶滅した
海蘭の群生地があると、門脇は婚活パーティの
サクラとして呼び集められました。
しかし全部嘘でした。
もう一人連れてこられていたのは首吊り判事と
言われている千々岩という判事です。
4人の人たちは皆千々岩に対して激しい恨みを
もっています。

月琴亭は潮が満ち帰れられなくなり、5人だけが
残されました。
その中で千々岩が殺されました。

"ダブル・ミステリー"
ある女性の手記の形式です。
磯島健太が事故で死にました。
お腹の子の父親です。
さまざまな映像をあつかうファンタスコープという
会社で働いていました。
女性クリエーターの美崎が電車の中で男に
絡まれた直後に亡くなりました。
その男のせいではなかったのですが男も
追い詰められ自殺したように見えます。

二つの事件は繋がりがあり解決編へと続きます。

判事という仕事がここに書かれているようなもの
だったとしたらなんと虚しい仕事なんでしょう。
人として生きている価値がないでしょうと
思ってしまいます。
現実の判事さんがそうだとは言いません。

絡繰り心中 部屋住み遠山金四郎

2018-12-29 21:00:00 | 

永井紗耶子著"絡繰り心中 部屋住み遠山金四郎"を
読みました。
十九歳の金四郎は家を出て歌舞伎の森田座の笛方の
見習いをしています。
狂歌師であり戯作者である大田南畝について吉原に
行った金四郎は朝早く帰る途中で雛菊という
花魁が死んでいるのを見つけました。

金四郎は雛菊の死を調べることになります。
雛菊は武士の娘で父親が死に周りの者に吉原に
売られました。
幼いころから許婚だった男は去っていきました。
彼女は客の誰かれなく心中をしてくれと言いました。
糸物問屋の万屋吉三郎という男が雛菊の客だった
ことがわかります。
吉三郎は生きる気力を失くしています。
雛菊の心中の誘いを受け入れました。
ところが約束の場所にあらわれませんでした。
万屋で火事があり行けなかったのです。
雛菊は裏切られるかもしれないと思っていました。
その場合は吉三郎を殺すよう依頼していきました。
同心の息子の瀬川兵蔵はうつうつとした日々を
過ごしています。
金で人殺しを請け負うようになります。

登場する人々のほとんどが人生に絶望しています。
どうしようもないやりきれなさが発散しています。

金四郎も生きづらさを感じていますが、別の
場所で生きてみるという行動を起こしています。

江戸時代というのはがんじがらめの時代だった
のでしょうか。
彼らは別の場所で生きることはできなかったの
でしょうか。

穢れ舌

2018-12-28 21:00:00 | 
著者 : 原宏一
KADOKAWA
発売日 : 2018-03-02

原宏一著"穢れ舌"を読みました。
"星をつける女"の続編です。
牧村沙英は真山幸太郎、門倉七海、五十嵐智也
とレストランの星を付ける仕事をしています。
飲食ビジネスに携わっている人たちが依頼人です。

"ユウコの厨房"
ユウコはテレビ出演したり本を出したりとファンが
大勢います。
外国で修行をしたとか、管理栄養士の資格があるとか
公表しています。
しかし店に行ったり、講演会を見たりして彼女に
料理ができるのかと疑問を抱きます。
カリスマ料理研究家と言われている彼女ですが
彼女自身が苦しみを抱えています。

"酒蔵烏鵠"
長野に酒蔵がある酒蔵烏鵠は酒の販売だけでなく
直営料理店の経営もしています。
酒蔵烏鵠の前経営者の娘と結婚している早川が
現在は経営しています。
インターネットでのプレミアム価格がついています。
長野の直売店で買ったものとネットで買ったものと
飲み比べをしてみます。
この酒造には何かからくりがあると感じます。

"すし梅将"
すし梅将は高級すし店でありながらかなり安い店です。
沙瑛は知り合いの寿司職人の久志を誘って店に
食べに行きます。
寿司は申し分のない食材を使っています。
しかし塩味が強いです。
職人は客に勧められると酒を飲んでいます。
沙瑛たちについた職人は別にして、職人たちは客に
酒を飲むことを意識して勧めています。
塩味のきつさは酒を飲ませるためです。
久志は食材の魚の中に時期的に獲れないものが
あることに気がつきます。
裏に大きな犯罪があるのではと考え始めます。

店に星をつける仕事ですが、店の不正を見つけてしまう
彼らです。

ツバキ文具店

2018-12-27 21:00:00 | 

小川糸著"ツバキ文具店"を読みました。
雨宮鳩子は祖母の残したツバキ文具店を
継ぎました。
祖母の時代から代書屋をしています。
鳩子は祖母に育てられました。
祖母との間には確執があり高校2年の時から
祖母との間は冷たいものとなりました。
小学一年生の時から厳しく書を教えられました。
厳しく友達と遊ぶことも許されませんでした。

代筆は表には出していませんが口づてで依頼人が
やってきます。

訃報を聞いてお悔やみの手紙を書きます。

隣の家のバーバラ婦人と呼ばれている一人暮らしの
婦人と仲良くなりました。
食事やお茶を楽しむ仲になりました。

学生の時に結婚を約束していた女性に手紙を
書いて欲しいと依頼がありました。
自分別の人と結婚しています。
すでに20年が経過しています。
彼女に普通の手紙を書いて欲しいという依頼です。

雨の日に店に飛び込んできた女性がいます。
店の近くのポストに手紙を投函してしまったが
取り返したいが、時間がない。
集配の人がやってきたら取り返して欲しいと
頼まれます。

彼女はバーバラ婦人と知り合いの教師でパンティと
呼ばれています。
帆子という名前であること、パンを焼くことが好きな
ティーチャということでついたニックネームです。

男爵と呼ばれている近所の男性から、借金の無心を
きっちりと諦めさせる手紙を書いて欲しいと
頼まれます。

綺麗な女性に姑に出す手紙を頼まれます。
どのように努力してもきれいな字を書くことができません。
鳩子は字というものはその人を現すものではないと
いうことを知ります。

死を間近にした老婦人が亡くなった夫からの手紙を
待っています。
夫からの手紙を書いて欲しいと息子から頼まれます。

祖母は鳩子に優しい言葉をかけることはありませんでした。
祖母がイタリア人に嫁しイタリアに住んでいた女性と
長年本心を打ち明ける文通を続けてきたことを
知ります。
祖母が鳩子にどんな気持ちでいたのか初めて知りました。

長年つきあってきた友達と絶縁する手紙を頼まれます。

近所の幼い女の子と文通するようになりました。

あまり友達がいなかった鳩子ですが次第に知り合いが
増えていきます。

鳩子のおばあさんは、鳩子に何を求めていたのでしょうね。
書道家をめざしていたわけではなさそうです。
代書屋というマイナーな職業につくことを願っていた
のでしょうか。
代書屋って、人の心の深くを読み取り、思う方向に誘導
するような能力がないとできないですね。

手紙を書いて依頼人に見せないまま発送しています。
それってあるんでしょうか。
相手が感想を言ってきてもうまく話しを合わせられ
ないのではと思ってしまいます。

鎌倉を舞台にした穏やかな話です。
こんな静かな生き方もいいかなと感じました。

カーテンコール!

2018-12-26 12:49:09 | 

加納朋子著"カーテンコール!"を読みました。
萌木女学園は閉校が決まっていて来年はありません。
今年卒業出来なければ留年はできません。
卒業が難しい学生には補習、追試など手を尽くし
ましたが、それにもこぼれた学生がいます。
角田理事長は買取先と交渉してサークルが合宿に
使っていた建物を半年借りて、卒業できなかった
学生を合宿させて補習をすることにしました。
外出、ネット、面会すべて禁止の合宿です。

集まった学生はいろんな問題を抱えていました。
ただ怠けていたとは言えません。
性同一性障害を抱えている綾部桃花。

ナルコレプシーを患っていてちょっとのストレスで
突然倒れてしまう有村夕美。
朝どうしても起きられない梨木朝子。
彼女は起立調節障害ではないかと思われます。
夕美と朝子は睡眠という似たような問題で同室で
助け合うことになります。

夜中に物語を書くことに熱中している金剛真由美。
眠らないために飲んでいたエナジードリンクの
過剰摂取でカフェインの中毒状態になっています。

細井茉莉子は摂食障害です。
同室の小山千帆は反対に肥満ですが、自分では
気づいてはいません。
どちらも家庭に原因があります。

今行きたいところ、観たいもののために他大学へ
編入覚悟で休学したのはフリーライター希望の
矢島夏鈴です。
問題児ばかりの中で唯一どうしてここにいる
のだろうと思わせるのは北川奈々子です。
彼女だけ時々外出が許されています。

清水玲奈はほっておいたら確実に死ぬと思わせる
人です。
24時間監視の目が光っています。
宿舎も理事長夫妻と共です。

理事長は昔の辛かった出来事を皆に語ります。
半年の間に皆少しだけ生きてゆく力を身につけます。
理事長は言います。
もう駄目だ、耐えられないというときに逃げられる
力をつけなさい。
「助けて」と言える人を探してくださいと。
あぁ、これは生きていく上で大切なことだなと
思います。
でも「助けて」と言える人というのは、ほんとうに
辛い時にはいないんだよなというのが私の生きて
きた上での感想です。