ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[3月29日(金)~31日(日)]

2013-04-02 23:51:53 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 3月30日銀座シネパトス閉館。1つまた1つと、長く親しんできた映画館が消えてゆくのは寂しいものです。最初に行ったのはいつだったか憶えていませんが、「牛の鈴音」(2009年11月)や「クロッシング」(2010年5月)は公開直後この映画館で観ました。
 昔からの映画ファンなら、今はない思い出の映画館がそれぞれにあるのではないでしょうか? <昭和32年(1957年)の映画館>というリストを見ると、かつては横浜市内だけでも75館もあったとか・・・。私ヌルボの郷里徳島にもずいぶんたくさん。

 この20年、ヌルボの記憶に強く残っている映画館は次の3館。
①ACTミニシアター・・・高田馬場から早稲田に向かう途中のビルの2階。履物を脱いで、床に座るorごろっと横になって観る。(座椅子にも枕にもなる出っ張りがあった。) 1度今は亡き加藤周一大先生(だろうな?)がぬっと入ってきたことがあった。映画館の人が客に「今度の特集は溝口・成瀬・小津のうちどれにしますか?」などと訊いたりしてたなー。
②川崎国際劇場・・・競馬だか競輪だかの帰りと思しきオッサンをよく目にした。コンクリートの床で転がってた人も見た。完全に暗くしないのは治安上の配慮? タバコの煙も漂っていたような・・・。それなりに共通点のある大阪のトビタ東映、1度行ったのはいい経験でした。今も「あいかわらず」かな?(→参考ブログ記事。)
③並木座・・・1990年以降しか知りませんが、よく行ったものです。

 今日行った新橋文化も「風情がある」映画館です。20年間で3度目かな? 昨年見逃した「裏切りの戦場 葬られた誓い」をやっててくれてよかった! 
 ニューカレドニアのことを、フランスは「植民地」ではなく「海外領土」と言ってるのか? 1980年代のカナックたちの独立運動や、フランス軍の鎮圧等のことは全然知らなかったなー。2014年以降に行われる国民投票によってフランスにとどまるか独立国になるかを決定することになっているそうですが・・・。先週観た「最初の人間」ではやはりフランスの植民地アルジェリアのことが描かれていましたが、現在も植民地時代がいろんな形で尾を引いているんですね。

          ★★★ Daumの人気順位(4月2日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①パパロッティ(韓国)  9.3(1348)
②チスル – 終わらない歳月 2  9.3(318)
③カルテット!人生のオペラハウス  9.3(20)
④楚漢志:英雄の復活  9.3(180)
⑤シュガーマン 奇跡に愛された男  9.2(126)
⑥かぞくのくに(日本)  9.1(67)
⑦Love Letter(日本)  9.1(582)
⑧偽りなき者  9.1(160)
⑨ブラック  9.0(1073)
⑩7番房の贈り物  9.0(3633)

 新登場は③④⑨の3作品。
 ③「カルテット!人生のオペラハウス」は、現役を引退した音楽家たちが、自分たちが暮らす老人ホームの存続のためにコンサートに挑む姿を描いたドラマ。ダスティン・ホフマンの初めての監督作品。え、彼ももう75歳になるのかー・・・。「卒業」の公開が1967年だから、46年経つんですねー。韓国題は「콰르텟」。日本では4月19日公開。
 ④「楚漢志:英雄の復活」は中国の歴史大作で、原題は「王的盛宴」なのですが、韓国題「초한지 : 영웅의 부활」をそのまま訳して仮題としました。もちろん項羽と劉邦の対決の物語。高校時代の漢文の授業でやった「鴻門之会」とか思い出します。ハングルだと項羽(항우)はいいとして劉邦(유방.ユバン)の綴りは乳房と同じなんだけど、韓国の高校生諸君笑わないかな? しかしこの映画、<人民網日本語版>の記事によると、「大衆日報」選定の「2012年、最もひどかった中国映画10作品」中堂々の1位になっちゃってます。
 ⑨「ブラック」はインド映画の感動作。といっても、歌や踊りはありません。ミシェールという女の子は生まれつき耳も聞こえず目も見えない障碍児でした。獣のような振る舞いをする彼女に、両親はアル中の老家庭教師デーブラージをつけます。その後いろんな問題はありながらも、情熱的な指導はついに実を結びます。噴水の水を浴びたミシェールが「water」と叫ぶ時、彼女はすべての物には名前があることを知ります。その後彼女は障碍を乗り越えて大学に進学します。その間も通訳としてつきそっていたデーブラージは、ミシェールの大学卒業を楽しみにしていたのですが、彼の体はその時病に侵されつつあったのです・・・。ヘレン・ケラーのインド版ですね。観た人のブログ記事を読むと、ぜひオススメの感動作とのことですが、日本公開は未定のようです。映画の舞台のインド北部、ヒマラヤ山麓のシムラーの美しい街並みも映されているとか。また「ブラック」とは目の見えない暗黒の世界だけでなく、大学の卒業ローブの黒い色をも示しているそうです。韓国題は「블랙」。

【専門家による順位】

①チスル – 終わらない歳月 2  9.0(5)
②愛、アムール  8.7(7)
③おおかみこどもの雨と雪(日本)  8.1(6)
④雪男(韓国)  8.0(1)
⑤ジャンゴ 繋がれざる者 7.8(7)
⑥リンカーン  7.7(8)
⑦シュガーマン 奇跡に愛された男  7.7(4)
⑧ストーカー  7.6(6)
⑨偽らざる者  7.6(3)
⑩ゼロ・ダーク・サーティ  7.5(4)

 今回の新登場はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[3月29日(金)~31日(日)] ★★★

         ブルース・ウィリスとビョン様共演の「G.I.ジョー」の続編が1位。

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・G.I.ジョー バック2リベンジ・・・・3/28・・・・・・・・・・・・・・708,254・・・・・・・・・・・・829,996 ・・・・・・・・6,686・・・・・・・761
2(1)・・恋愛の温度(韓国)・・・・・・・・・・・・3/21・・・・・・・・・・・・・・361,052・・・・・・・・・・1,285,723 ・・・・・・・・9,541・・・・・・・493
3(2)・・パパロッティ(韓国)・・・・・・・・・・・・3/14・・・・・・・・・・・・・・236,094・・・・・・・・・・1,344,094 ・・・・・・・・9,329・・・・・・・369
4(3)・・ウォーム・ボディーズ ・・・・・・・・・・3/14・・・・・・・・・・・・・・262,124・・・・・・・・・・1,106,140 ・・・・・・・・7,913・・・・・・・287
5(4)・・新世界(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・2/21・・・・・・・・・・・・・・104,099・・・・・・・・・・4,512,799 ・・・・・・・33,637・・・・・・・310
6(6)・・7番房の贈り物(韓国)・・・・・・・・・・1/23・・・・・・・・・・・・・・・44,877・・・・・・・・・12,735,247 ・・・・・・・90,946・・・・・・・168
7(5)・・ジャンゴ 繋がれざる者・・・・・・・・・3/21・・・・・・・・・・・・・・・34,685 ・・・・・・・・・・・228,612 ・・・・・・・・1,658・・・・・・・206
8(新)・・笑う男・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/28・・・・・・・・・・・・・・・29,853・・・・・・・・・・・・・37,357・・・・・・・・・・264・・・・・・・168
9(8)・・ONE PIECE FILM Z(日本)・・・・・・・3/21・・・・・・・・・・・・・・・22,229・・・・・・・・・・・・・79,873・・・・・・・・・・537・・・・・・・177
10(1)・・チスル - 終わらない歳月 2(韓国)・・3/21 ・・・・・・・・・・・13,905・・・・・・・・・・・・・58,590・・・・・・・・・・413・・・・・・・・62
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・8位の2作品だけです。
 1位「G.I.ジョー バック2リベンジ」では、再び跳梁しはじめたテロ組織“コブラ”を制圧すべくブルース・ウィリスが投入される。イ・ビョンホンは前作に続いて冷酷な殺し屋ストームシャドーとして存在感を発揮。日本では6月8日公開。韓国題は「지.아이.조 2」。
 8位「笑う男」はあの「レ・ミゼラブル」と同じくV.ユーゴー原作の映画化です。猥雑な17世紀イギリス社会が舞台。サーカスの興行師のウルサスはある冬の嵐の日、2人の孤児を助ける。少年グウィンプレイは以前人さらい組織に拉致された時、口を裂かれていつも笑っているような顔にされてしまっていた。もう1人の少女デアは目が不自由だった。グウィンプレイはその顔で人気を獲得するが、やがて名声と金に溺れ、デアとウルサスから去って行く・・・。昨年のヴェネチア国際映画祭、釜山国際映画祭で上映されました。韓国題は「웃는 남자」。日本公開は未定です。

           
   【「G.I.ジョー」でビョン様が演じるストームシャドーのフィギュア。どう見ても日本の忍者っぽいですね。】

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(3)・・チスル - 終わらない歳月 2(韓国)・・3/21 ・・・・・・・・・・・13,905・・・・・・・・・・・・・・・58,590・・・・・・・・・413・・・・・・・・・・62
2(新)・・シャドー・ダンサー ・・・・・・・・・・・・・3/28・・・・・・・・・・・・・・・・264 ・・・・・・・・・・・・・・・2,449 ・・・・・・・・・・16・・・・・・・・・・17
3(2)・・誰の娘でもないヘウォン(韓国) ・・・2/28 ・・・・・・・・・・・・・・・805・・・・・・・・・・・・・・・33,469・・・・・・・・・257・・・・・・・・・・11
4(3)・・愛、アムール ・・・・・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・・・・・・・552 ・・・・・・・・・・・・・・76,778 ・・・・・・・・・588 ・・・・・・・・・・2
5(5)・・かぞくのくに(日本) ・・・・・・・・・・・・・・3/07 ・・・・・・・・・・・・・・・264 ・・・・・・・・・・・・・・・4,988 ・・・・・・・・・・36・・・・・・・・・・・6

 今回の新登場は2位「シャドー・ダンサー」だけ。日本では3月16日に公開されています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

脱北者の大学生リ・ハナさん(仮名)がブログ記事をまとめた本を出す

2013-04-01 20:20:46 | 北朝鮮のもろもろ
 脱北者の女子学生リ・ハナさん(仮名)がアジアプレスのサイトに掲載していたブログ記事は、私ヌルボも愛読してきましたが、最近本にまとめられて刊行されました。

 「日本に生きる北朝鮮人 リ・ハナの一歩一歩」(アジアプレス出版部)がその本です。

        

 見出しで「大学生」と書きましたが、彼女は、ついこの前(3月18日)関西学院大学を卒業しました。(袴姿で、です。)

 彼女が生まれたのは1983年頃。場所は北朝鮮の最北西部の都市・新義州。鴨緑江を挟んで対岸は中国の丹東です。

 父親は1950年代長崎県生まれの在日2世。済州島出身の祖父母は1940年代(戦後まもなく?)に長崎の五島に渡って漁業を営んでいました。
 一家が北朝鮮に渡ったのは1970年代。当時はもう北朝鮮帰国事業で北に帰国する在日は少なくなっていたし、帰国者のその後の厳しい生活についての噂なども流されていたにもかかわらず、またそれなりの財産がありながら、なぜか祖父が帰国を決定し、それにしたがったのだそうです。
 大学まで通い、恋人が日本にいたという父親は、本当は北朝鮮帰国を望んでいなかったにもかかわらず、見送りに行った新潟で北朝鮮行きの船に乗せられてしまいました。(父親はその後医科大学を出て医者として誠実に務めますが、体を壊してしまい、希望を失って、たばこを吸いお酒を浴びるように飲んで、結局不遇のうちに亡くなります。

 一家が商業都市新義州に住居を割り当てられたのは、相当の寄付・上納の類によるものでしょう。
 しかし、その後の生活は、大略これまでの脱北帰国者の手記・証言等と同じ。
 果てはやはり在日日本人だった母親から「親類の1人がしでかした不始末で農村に戸籍を移されることになった」と聞かされ、その母の発案で命懸けで鴨緑江を越えて中国に逃れます。それが18歳の時。(前近代的な連座制はいつまで続くのか?)
 中国では親切な朝鮮族の人たちの助けも得て働きながら5年間暮らし続けますが、中国の官憲の目を避けて転々とするうちに家族とも別々になり、お金をだまし取られたり・・・。
 そんな窮迫した状況の中で、詳しくは描かれていませんが、日本人が関わっている脱北者支援組織と接触し、日本に来ることになったということです。

 2005年11月に関西国際空港に降り立った、というから、その時すでに23歳くらい。北朝鮮での高卒の資格など認められるわけもなく、信頼をおく日本人女性から日本語を教わりながら夜間中学に通い、「高認」試験にパスして2009年に関西学院大学入学。(来日して3年5ヵ月とは、速い!)

 この本の刊行はメディアでも注目されているようで、MBSラジオ3月1日(金)放送の<報道するラジオ>で、「脱北女性が語る北朝鮮」と題してリ・ハナさんを招いていろんな話を聞きだしています。
 1時間近い番組ですが、まるごとYouTubeにupされていましたので、ぜひ聴いてみてください。

   

 新聞では、「産経新聞」3月2日「北朝鮮から来た女子大生リ・ハナさんの日常「私って何者?」」等各紙で紹介されました。

 本書中、私ヌルボが興味深く読んだ点をいくつかあげてみます。

・彼女は、北朝鮮で「二十四の瞳」を読んだことがあるが、その時の感想は、「国のために自己を犠牲にして戦っている人たちがいる」という、軍国主義日本に対する共感(!)だったとのこと。日本にきて再読して、反戦小説であることに気づいた。
・1998年、人工衛星光明星1号打ち上げのニュースを聞いて、「充分に食べることもできない中で耐えてきた甲斐があった」とナットクし喜ぶ。町中に活気が戻ったようにも思えた、という。
・「私は地図が読めない」と彼女は書いています。実例もいくつか。その理由の1つは、旅行等、移動の自由が制限されている北朝鮮では、日常生活で地図は必要がないから・・・。

 ところで、この本の刊行後~現在のことで、私ヌルボがウンザリしていることがあります。
 アジアプレスの石丸次郎氏はツイッターで次のようなことを書いていました。

Ishimaru Jiro ‏@ishimarujiro
3月6日 日本軍慰安婦、朝鮮学校、脱北者などのコリア関連の記事をヤフーニュースに配信すると、差別排外コメントがすぐさま投稿される。程度の低さ・幼稚さ・無邪気さはさておき、その裾野の広がり方は要検証だ。リ・ハナ記事への悪罵の山を一度見てほしい。→http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130228-00000001-asiap-soci

 ・・・で、リンク先を見ると、たしかにこれがもうすごい「悪罵の山」。
 1例だけあげると、
 「苦労したのは分かった。でも南朝鮮に帰りなさい。日本に朝鮮は不要なんだよ。」 
 これには「私もそう思う7,015点 私はそう思わない148点」

 無国籍であることの意味とか、国籍を得ることがどんなに大変なことかとか、彼女自身「北朝鮮、日本、韓国、自分はどこの国の人間なんだろう?」と自問し、悩んでいること等々すべて捨象して「出て行け」と言い切れる日本人がこんなにも多いとは。日本を自ら美しくない国にしている日本人がナサケナイです。

 他にも、北朝鮮政府と同一視して北の住民(あるいはハナさん)に拉致被害者の件等で厳しい言葉を投げつけたり・・・。拉致被害者や、帰国できない多くの日本人妻と同じように、北の住民も独裁国家に人権を否定されている人たちなのに・・・。

 またamazonの読者レビューを見ると、ここには「疑わしい」という表題で次のようなことが書かれているものがありました。
 「この本の目的が事実の伝達でなく、読者に同情を与える事に置かれているのではないかと思いました。そうすることで日本の人たちの北朝鮮に対する心象をよくしようとする工作の意図が感じ取れます。・・・著者が住んでいるのは大阪ですが、大阪は中国韓国朝鮮人の生活保護斡旋ビジネスが盛んな都市です。悲劇を隠れ蓑にして、こういう言葉は悪いですが、糞のようなビジネスの温床を作ろうとしているという見方も出来ます。」
 ・・・いろんな読み方をする人がいるものだなあ、と感心(?)してしまいます。

 「北朝鮮をよく見せようとしている」という人もいれば、その逆もあります。北朝鮮の立場を代弁している(?)あるブログでは「リ・ハナにしゃべらせる原稿を書いてるのはどこの馬鹿だ!」と題した記事で、これは「アジアプレス内の誰か」が用意した原稿のままに「バーチャルアイドル」みたいなリ・ハナが棒読みしたものだと「分析」しています。
 このブログ主さんはなかなか知識は豊富で、「北朝鮮では、恋愛をテーマにした歌は禁じられていたが、リさんが替え歌や海外の歌をギターで歌い、次第に路上に人が集まったこともあった」という「毎日新聞」の記事を具体例をあげて批判しています。南でもよく知られた「口笛(휘파람)」という恋愛をテーマにした歌があるではないか、というわけです。
 しかし、これは「毎日新聞」の見出しの批判にはなっていても、リ・ハナさんに対してはまったくの見当違いです。本書の文中にも、「口笛」について書かれているのです。彼女のいた「学校では」禁止されたと・・・。
 このブログ主さん、「一番の馬脚は「北朝鮮では、恋愛をテーマにした歌は禁じられていた」という部分でしょう」と書いていますが、逆にこの一文でちゃんと本書を読んでいないことが明らかになってしまいました。

 冒頭にリ・ハナ(仮名)としたように、彼女の名前は仮名です。日本に300人(?)いるという脱北者たちが仮名で暮らさざるをえない理由の第一は、北朝鮮側に知られると北朝鮮に残っている家族に危険が及ぶからです。何らかの「工作」の対象とされる可能性もあります。本書その他に載っている写真でも、顔がわからないように撮られているのも同じ理由からです。
 ところが、それだけでもないようです。せっかく日本に来ても自分の過去を「カミングアウト」することは大変な勇気を要することなのですね。上述のように、日本人の間には北朝鮮についてさまざまな見方があるから・・・。つまり、北朝鮮から以外にも懸念されることがいろいろあるわけです。

 生まれた時代や所(国・家庭等)によって人の幸不幸は大きく左右されます。彼女の場合も、これまで経てきた厳しい人生で、自身が責を追わなければならないことがどれだけあるでしょうか?
 脱北までの生活や中国での5年間の苦労に加えて、日本でさらに重荷を背負わせてしまうことのないことを希うばかりです。

※リ・ハナさんのtwitterは→コチラ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする