ヒマラヤの向こう(インドから見て)にある標高5000mを超える山々を氷河が削り取って、ぽっかり
巨大な穴があいたとして、その穴の底に雪解け水が溜まったら湖ができる。水面標高4250mの、
パンゴン湖だ。
そこへ行くには当然、5000m以上ある山をいちど越えて下らなければ辿りつけない。冬の間は雪と
氷に閉ざされるから、夏にそこまで行こうとしても道が壊れていたりする。標高3500mのレーという
町からパンゴン湖まで、四輪駆動のクルマで片道6時間から8時間……往復に丸1日。
夜明け前に出発して山道を上っていく。ガードレールがなくて危ないのだが、高山病で頭がボーッと
してるので怖さをあまり感じない。うとうとしたら心配なんか消えてしまう。
定年退職して旅してるおじさんが、峠を越える前にスプレーで酸素を吸引している。あまり効かないね
と笑っているけど、本当は笑いごとじゃなさそう。
崖の下をのぞき込むと、クルマの通り道が九十九折になってるのがミニチュアのよう。あれなら道が
崩れたり流されたりしても、ぜんぜん不思議じゃない。
九十九折を軍のトラックが連なって、アリの行列みたいに何かを運んでる。小さいと見えにくいから
ズームしてるけど、これが実際はZの字になって山を上る。空気が薄いせいか、ゆっくりと。
軍のトラックだけじゃなくて、民間のクルマもこのように連なって峠をめざす。峠でみんな休憩する
せいか、手前でちょっと渋滞してる。
標高5360mの峠についた。すっかり気温が下がって冷え込んでる。レーの町から2000m近く
上ってるから、10度くらい下がってる計算。
ダウン着てる人いるもんなー。売店で熱いマサラチャイ飲んだら甘くておいしかった。印象深くて
覚えてる値段は30ルピー。だいたい50円~60円。
ここに書いてある通り、現在クルマで越えられる世界第2位の高さの峠。どうして軍のトラックが
連なって峠を越えているかというと、パンゴン湖はインドのものだったのに1962年に中国軍が
攻めてきて半分以上うばったから、それ以来こっちへ軍が振り向けられてるわけ。
3台ぐらい崖から転落したまま放置されてる。落っこちるのは軍だけじゃなくて、民間のクルマも
けっこう落ちてる。くれぐれもああはなりたくない。
冬になったら氷河が押し流して来年はどこにあるかわからないか、少なくとも場所が変わったり
するんだろうなー。
観光客が来るのは勝手だけど軍の人たちは命令だから大変だ。トラックの荷台で運ばれてるのは
軍人さんだったりするし。
こんな高地にも犬がいる。
峠を下っていくと、だいたい砂漠なんだけど、雪解け水が流れるところだけ緑があって家畜がいる。
牛とか、たぶんヤクとか。
馬なんか日本で見ると大型動物だけど広いところで見たら小さくてかわいい。
だいぶ穴の底に近づいてきた。氷河に削り取られた丸い地形。上の方は乾燥して木も生えないのに、
下の方は雪解け水で緑が少し。
その恵みで暮らす人もいる。電気もないし水道もガスもないけど氷河の恵みはある。幸せなんだろう
けれども、代々この地で生活してるから可能なわけで、よそ者が適応するのは大変そう。
宇宙のオアシスという感じがしてくるのは高山病で頭がボーッとしてるせいかもしれない。
車窓から見ていて不思議なのは、クルマは坂道を下ってるのに水の流れが逆方向へ、まるで
上ってるように見えること。
たぶん錯覚で、どちらも下ってるけど傾斜が違うせいでクルマだけ下って水が上ってるように
感じられるにちがいない。
モルモットが穴から出て日向ぼっこしてた。
さらに穴の底のほうへ下がり……
狭いところを通って……(この道なんか氷河の運ぶ岩が転がり込むと通れなくなりそう)
じゃんじゃん雪解け水が道に注ぐところを通っていくと……
7時間以上かかってパンゴン湖が見えてきた。水面標高4250m、インドと中国の境界の青い湖。
魚も貝もいないのにカモメが飛んでくる。カモメは何を食べているのか、さっぱりわからない。
水をなめてみると塩っぱい、けど海ほどじゃない。
水に入ってみたら冷たかった。
水辺で瞑想してる人たち。
水辺で瞑想してる様子をSNS用に撮影する人たち。
瞑想しないでアツアツの様子をSNS用に撮ってるカップル。
男の仲良しグループ。5人に1人はフレディ・マーキュリーに似てる。
インド映画『3idiots』(邦題:きっと、うまくいく)のロケ地なので、映画をみて訪ねてくる国内外の
観光客が多い。20年前は立入禁止だったけど、映画公開(2009年)の前後から、少しずつ人が
くるようになってきた。砂漠の湖なので風が吹くと砂ぼこりがすごい。
夏季のみ、海の家みたいな湖の家が出てる。映画にあやかった看板ばかり。ランチョは主人公。
崖から落ちないで湖にたどり着いたラッキーな人たち。バイクでツーリングする人も多く、中には
海の家の掘っ立て小屋に宿泊する強者も。
Night Stay Rooms……こういうところに泊まるのか。大変だけどいま来た道を今日中に帰ろう!
また7時間以上かかるんだろうなー、崖から落ちませんように。
穴の底から峠を越えてレーの町まで下りる頃には日が暮れてしまいました。
関連記事: ゴンパ
巨大な穴があいたとして、その穴の底に雪解け水が溜まったら湖ができる。水面標高4250mの、
パンゴン湖だ。
そこへ行くには当然、5000m以上ある山をいちど越えて下らなければ辿りつけない。冬の間は雪と
氷に閉ざされるから、夏にそこまで行こうとしても道が壊れていたりする。標高3500mのレーという
町からパンゴン湖まで、四輪駆動のクルマで片道6時間から8時間……往復に丸1日。
夜明け前に出発して山道を上っていく。ガードレールがなくて危ないのだが、高山病で頭がボーッと
してるので怖さをあまり感じない。うとうとしたら心配なんか消えてしまう。
定年退職して旅してるおじさんが、峠を越える前にスプレーで酸素を吸引している。あまり効かないね
と笑っているけど、本当は笑いごとじゃなさそう。
崖の下をのぞき込むと、クルマの通り道が九十九折になってるのがミニチュアのよう。あれなら道が
崩れたり流されたりしても、ぜんぜん不思議じゃない。
九十九折を軍のトラックが連なって、アリの行列みたいに何かを運んでる。小さいと見えにくいから
ズームしてるけど、これが実際はZの字になって山を上る。空気が薄いせいか、ゆっくりと。
軍のトラックだけじゃなくて、民間のクルマもこのように連なって峠をめざす。峠でみんな休憩する
せいか、手前でちょっと渋滞してる。
標高5360mの峠についた。すっかり気温が下がって冷え込んでる。レーの町から2000m近く
上ってるから、10度くらい下がってる計算。
ダウン着てる人いるもんなー。売店で熱いマサラチャイ飲んだら甘くておいしかった。印象深くて
覚えてる値段は30ルピー。だいたい50円~60円。
ここに書いてある通り、現在クルマで越えられる世界第2位の高さの峠。どうして軍のトラックが
連なって峠を越えているかというと、パンゴン湖はインドのものだったのに1962年に中国軍が
攻めてきて半分以上うばったから、それ以来こっちへ軍が振り向けられてるわけ。
3台ぐらい崖から転落したまま放置されてる。落っこちるのは軍だけじゃなくて、民間のクルマも
けっこう落ちてる。くれぐれもああはなりたくない。
冬になったら氷河が押し流して来年はどこにあるかわからないか、少なくとも場所が変わったり
するんだろうなー。
観光客が来るのは勝手だけど軍の人たちは命令だから大変だ。トラックの荷台で運ばれてるのは
軍人さんだったりするし。
こんな高地にも犬がいる。
峠を下っていくと、だいたい砂漠なんだけど、雪解け水が流れるところだけ緑があって家畜がいる。
牛とか、たぶんヤクとか。
馬なんか日本で見ると大型動物だけど広いところで見たら小さくてかわいい。
だいぶ穴の底に近づいてきた。氷河に削り取られた丸い地形。上の方は乾燥して木も生えないのに、
下の方は雪解け水で緑が少し。
その恵みで暮らす人もいる。電気もないし水道もガスもないけど氷河の恵みはある。幸せなんだろう
けれども、代々この地で生活してるから可能なわけで、よそ者が適応するのは大変そう。
宇宙のオアシスという感じがしてくるのは高山病で頭がボーッとしてるせいかもしれない。
車窓から見ていて不思議なのは、クルマは坂道を下ってるのに水の流れが逆方向へ、まるで
上ってるように見えること。
たぶん錯覚で、どちらも下ってるけど傾斜が違うせいでクルマだけ下って水が上ってるように
感じられるにちがいない。
モルモットが穴から出て日向ぼっこしてた。
さらに穴の底のほうへ下がり……
狭いところを通って……(この道なんか氷河の運ぶ岩が転がり込むと通れなくなりそう)
じゃんじゃん雪解け水が道に注ぐところを通っていくと……
7時間以上かかってパンゴン湖が見えてきた。水面標高4250m、インドと中国の境界の青い湖。
魚も貝もいないのにカモメが飛んでくる。カモメは何を食べているのか、さっぱりわからない。
水をなめてみると塩っぱい、けど海ほどじゃない。
水に入ってみたら冷たかった。
水辺で瞑想してる人たち。
水辺で瞑想してる様子をSNS用に撮影する人たち。
瞑想しないでアツアツの様子をSNS用に撮ってるカップル。
男の仲良しグループ。5人に1人はフレディ・マーキュリーに似てる。
インド映画『3idiots』(邦題:きっと、うまくいく)のロケ地なので、映画をみて訪ねてくる国内外の
観光客が多い。20年前は立入禁止だったけど、映画公開(2009年)の前後から、少しずつ人が
くるようになってきた。砂漠の湖なので風が吹くと砂ぼこりがすごい。
夏季のみ、海の家みたいな湖の家が出てる。映画にあやかった看板ばかり。ランチョは主人公。
崖から落ちないで湖にたどり着いたラッキーな人たち。バイクでツーリングする人も多く、中には
海の家の掘っ立て小屋に宿泊する強者も。
Night Stay Rooms……こういうところに泊まるのか。大変だけどいま来た道を今日中に帰ろう!
また7時間以上かかるんだろうなー、崖から落ちませんように。
穴の底から峠を越えてレーの町まで下りる頃には日が暮れてしまいました。
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