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歩くことが唯一の趣味ですから。

大森貝塚

2012-03-03 | Weblog
あるとき南インドのカレーを食べに大森駅のホームに降り立つと、そこに「日本考古学発祥の地」
と刻んだ碑が立っているのを見た。

明治10年にモース博士が横浜から新橋に向かう列車の窓から、大森貝塚を発見したのを記念して
ホームにわざわざ碑を立てたらしい。手の込んだことを。日を改めて散歩しよう。


そして3月になって大森を再訪……。

大森は坂が多い。こうして歩くと山間の温泉に湯治にきたみたい。江戸時代このあたり八景坂と
いったそうで、江戸湾の海岸線にほど近い風光明媚な土地だったという。


それで坂になってるのか……。

海岸段丘というやつだろうか。土地が隆起したのか海岸が後退したのか、工事で埋め立てたのか
しらないけど、こういう場所だから貝塚が見つかったにちがいない。


この門の先の階段を下りると大森貝塚。

JR東海道本線・京浜東北線の線路スレスレのところまで階段を下りると、ポツンと石碑がある。
レール敷いてあるところも、昔はきっと海だったんだろう。


これが大森貝塚か……!

モース博士が見つけたときは、べつに貝殻が露出していたわけじゃなくて、たんなる丘を眺めてて
「あれ貝塚じゃね?」って、ひらめいたんじゃないかな。


これ土器じゃね? 石器じゃね? 人骨じゃね?

それにしても、学校で習うわりにポツンと石碑ひとつだけ……大田区の3大がっかりスポットに
認定しようかと思いながら八景坂のほうへ上ると、そこには!


「品川区にもあります」?

大森貝塚は品川区にもあります(300m先)って、まるで「目黒のさんま祭りは品川区にもあります」
みたいな言いっぷり。元祖と本家で争わないでね? 一澤帆布と一澤信三郎帆布のように。


バーン! 品川区の大森貝塚のほうが立派。


こっちにモース博士がいた!


子供たちが群がっている!

地層をモチーフにした品川区立大森貝塚遺跡庭園で、小さな子たちが右往左往して遊んでいる。
大人なのに右往左往して遊んでいるのは、このわたしぐらいなものさ。


掘ったらこんなだから、「やっぱ貝塚じゃね?」と。

ただ漫然と掘ったのでは、これが貝塚だなんて思いもしないにちがいない。「ここに貝塚がある」
と思って掘るから、貝塚が見つかるのだ。


本家も石碑つくった。

最初このあたりに住んだ人たちにとって、大田区も品川区もなかったろうから、2区にまたがって
貝塚があるのも当然といえば当然なこと。


むしろ貝塚だらけ!

この界隈だけじゃなくて、目黒駅の近くにも貝塚があるらしい。ということは、目黒のあたりも
昔は海辺だったわけで、「目黒のさんま」もあながち見当違いじゃないのか。



駅をはさんで線路の反対側に下りていくと、いかにも埋立地らしい平べったい地面が広がっている。
ある人がツイッターで大森の「丸一」(写真)のとんかつがおいしいよって教えてくれたので、お昼に
とんかつ食べて「日本考古学発祥の地」を後にするのだった。
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