市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

薔薇玉(ろざりお)の紡ぎ穏(おだ)しく憩ふこと過ぎし時間のすべてが光

2010-02-17 18:28:01 | Weblog

 まひる、ふと思いついたまま。




 この仕事をしていると、さまざまな「ターミナル」に遭遇する。




 ありのままにひとは生まれ、あるがままにみまかる。



 

 亡くなる間際、走馬灯のように、人生のできごとが脳裏を駆けてゆくそうだ。




 たぶん、光の速さで。あるいは光よりももっと速く。




 なぜって、思惟は宇宙の彼方、さらに果てまでも想うことができる。


 何億光年もかかって旅してくる光たちよりも、想いは瞬時に星座のはるかに飛べる。



 だから、追憶の速度もそんなふうなのかもしれない。わたしの主観だけれど。





 ロザリオの感触は、指にこころよい。



 静かにつまぐると、想いのさまざまが光帯びてきらめくような……。




 ケアのはざま、そんな物思いすこし。






 画像は「空想」  シメオン・ソロモン






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胸埋むぬくもりもとめ寄り添ふて離れゆくまた雨散りかかる

2010-02-16 08:15:17 | Weblog


 雨に。




 冬から春へうつろひ。


 きさらぎの雨はことにつめたく感じる。辛夷のつぼみは、まだかたいけれど、内側からほのぼのと明るい白さを保って一日ごとにふくらみ初める。


 潤んだようなほのくれなゐの沈丁花。



 ささやかな心づかい、暖かな思い、さりげない仕草にほのみえる情愛……ちいさな日常を、しみとおるようにうれしく感じる季節。






 
 夜明け、このいちにち、丁寧におつとめできますように。自分に言い聞かせてことを始めた。

















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舌のうへにショコラひろがれつぶらかに片恋ひ告げて美(うま)し薔薇の帆

2010-02-14 20:27:46 | Weblog


 バレンタインデー。



 今日は、いったいどれだけのチョコレートが行き交ったのだろう。




 
 告白を托して……そんな初々しいひとたちもいたんだろうな…。





 早春の、きれいな思い出になるといいね。




 乙女らは如月の薔薇、いまだ春そことは知らず……リルケだったかな。




 少女時代は遠くなってしまったけれど、贈りものには、こまやかな想いを添えたい。いつでも。









 








 



 

 
 
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南瓜煮るうたかた憂ひ透きとほる甘さ含んで沫雪(あはゆき)去りぬ

2010-02-13 18:33:57 | Weblog


 今夜のおかず、南瓜の含め煮。




 根菜類は、面取りして、煮崩さず、ふっくらと。


 上手に火加減水加減、そうすると仕上がりには、半透明な飴色に見える。


 ことこと、とお鍋が煮え立つものおと。



 なにか、囁きかけるような気もする。



 お惣菜たち、それぞれのひとりごと。



 朝方から昼にかけて、ほのかにちらついた雪は雨になり、今はもう水音も消えた。













 
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雪はなべてやさしく触れるぎこちなく重なりあったころの体温

2010-02-13 09:05:11 | Weblog


 朝の雪に。





 視界を覆って、しらしらと舞い降りていた。





 積もるだろうか?



 







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狭霧ふるまなざしはるかほの青き妣(はは)の原型大陸のごと

2010-02-12 20:00:21 | Weblog


 微かに海の匂いのする霧めく夕べに。




 うたいなおして。






 




 


 

























 
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ひと想ふ貌なめらかに飼ひならす水面に今宵雨だれしきり

2010-02-11 18:19:42 | Weblog


 水滴に。




















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雪催(もよ)ひ翼伏せたるたましひは語らず背より鳥の抜け出る

2010-02-10 18:34:20 | Weblog

 昨日とは、うってかわって、沈んだつめたさ。



 明日は雨、もしかしたら雪。あるいはみぞれ。





 日々こまごまと過ぎてゆく。



 低気圧の覆う街の色は蒼く、物のけはひが、くぐもって感じられる。




 













 近所のちいさな側溝……小川というほどナチュラルではない……ときおり白鷺が降りる。

 
 今日もみかけた。



 どこに塒があるんだろう。雨や雪の日には、どうしているんだろう?



 
 わたしの今日の務めはだいたい終わった。無事に終えられたことに感謝。




 鳥を見ると、いつも不思議な気がする。




 古代人……世界のどこでも…魂を、鳥のすがたに描いたことを憶いだして。



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風と耳うねりあひ寄る想ふこと春一番のあららかにして

2010-02-09 17:24:17 | Weblog


 夜明け前、風の音におどろく。



 ベランダで吹き荒れるすさまじさ。どこぞでごぉっ、とうなるよう。



 ばたばた、と何かがはためく。翼さながら。洗い物は昨夜にしまったはず……


 なかばは眠りながら、耳だけがあざやかに風を聴いた。


 まだ明烏にも早い。


 
 ふわっとまた深い眠りに落ちて、今度は目覚まし時計で起きた。



 春一番かな?



 曇り雨のお天気のはずだけれど、快晴。濃い青空に、輪郭のやわらかな雲の景色。


 ああ、春、と想う。





 自転車であちらとこちら。


 南風に真向かって、なかなか進まない。季節風。




 あたたかなまひる。

 
 ひとの体も自然には敏く、わたしの手、昨日おとといより、しっとりと潤っている。


 ハンドクリームを塗っても、冬から春へ、季節を吸い込んだ皮膚の感触は違う。





 自然のうつろいに、揺られ運ばれて生きていること……。









 雲のかげり、湿度を含んでくらがる。明日は雨かもしれない。



 




 
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すべらかに夕光(かげ)浴びぬ白湯のごと疲れ静かな森となすべく

2010-02-08 18:46:47 | Weblog



 夕べに。






 今日も、無事につとめおえた。






 一日ごとに、春めいて潤む、光、大気。




 今日見聞きしたことの、とりとめない記憶、散漫に散ってゆく。



 歌おうとして言葉に結ばれないもどかしさも。





 日常の、なだらかなめだたない起伏のなかで、ゆっくりと急がずに……歩いたことなど。












 
 
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