雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

水ゆらぐ森は深緋に蠢いてみな子の蟲が蕊にのぼるよ

2010-08-25 17:54:43 | Weblog

 『花と虫の記憶』読了。





 大庭みな子、という女流を読んだのは、初めて。終わりまでいっきに読み通せた。


 時代性というのか、倉橋由美子さんや、すこしずれるけれど、森茉莉さんに通う絢爛とした魅惑。


 日本がまだとても豊かだった、70年代後半の作品だから、ぜんたいにデカダンスなエロティシズム漂う。理非も善悪もなく、ヒロインは寓話か、神話の主人公めいて、さまざまな遍歴を重ねる。


 極彩色の森。



 昨日書き留めた「It……」との相違は当然で、脳みそが違った意味で覚醒する。


 大庭さんは、読者と自分との間に、きらびやかな言語空間を配して、わたしたちを遠くから眺めている、という印象だった。

 


 デイブ・ペルザー氏は、わたしたちの心に切実な熱い訴求をする。こちらがわにぴったり寄り添ってくる。


 
 わたしの感じ方が的を射ているかどうかわからないけれど、作家それぞれの資質によって、その世界の感触は、ほんとに違う。



 しばらく、目にとまった本をランダムに漁ってみようと思う。





 



 

 
コメント
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