雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

かりそめの雫にかへて風鈴をぬけゆく葉月に過去問を解く

2010-08-01 09:00:10 | Weblog

 ふろく。




 今日から八月。



 
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朝霧に葉ずれさやげりドラセナの音に触れ目覚む耳の細胞

2010-08-01 08:31:52 | Weblog


 いつしか、夜明けは、むかいの山を覆う森からたちのぼるひぐらしの声と、ひとつふたつの烏の声ではじまるようになった。

 置きぬけのころ、周囲はまだ夜の名残の紺青深く、それでもぽつんぽつんといくつかの家の窓明かりもみえる。


 自分のことはさておいて、こんな早暁から起き出すひともいるのかと思う。それともこれからねむるのかしら。


 ときには西の空に明けの月がのこるくらさも、目に見えるはやさでうすらいでゆき、水色、浅葱、薄萌黄からしののめにと変幻してゆく。


 やがてひぐらしも消えて、ジー…という地を這うような虫の声にかわる。あれも蝉なのかな?


 今朝、窓をあけて風を迎え、いつもの朝の本をひらいたら、はらはら、というのか、ふつふつ、ぽたぽた……というのか、形容のむつかしい音が聞こえ、小雨でも振り出したのかと思った。


 雨音みたいだったから。外は不透明な湿度こもる灰色にあかるんでいた。


 でも、それは雨音ではなくって、ドラセナの葉っぱが、触れ合う気配だった。


 すこし乾いた葉ずれの響き。風が吹いても、こんな音はあんまり聴かないなあ、と思って近寄ると、向かいの山辺にほの白く朝霧がたちこめていた。


 ああ、このせいか……。


 こまかな水の粒子が大気のそよぎにまぎれて、この音粒になったのかも。


 ねむかった耳が、ほんのかすかな、普段と違う音の違和で眼が覚めた、という印象。



 音のしずくが鼓膜にしたたって。


 葉っぱも大気を呼吸しているのね……。



 霧の音。たぶん、海霧が這い上がってきたんだろう。






 今日も、できるだけのことをしましょう。



 淡々とすぎてゆく休日。












 
 






 
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