市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

かりそめに草笛吹かむ忘れなむ乳頭今宵星のごと照り

2008-03-15 21:53:42 | Weblog


 また春の星座が、めぐってきた。


 












 
 
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ユディトその金髪さわわの笑(ゑま)ひ酷きはクラナッハまた妙子の貌(かほ)知りきや

2008-03-15 18:54:54 | Weblog


 クラナッハ…に。

 塚本邦雄さんの歌に揺さぶられてか、さまざまにヴィジョンが動く。


 クラナッハの視線を「死魚」としたけれど、葛原妙子のほうがいい。

 現代歌人文庫の、一葉。曖昧な、ジョコンダふうの微笑。唇をきちっと結んで。

 視線が、かすかな斜(はす)かい。こちらを揶揄しているようにも、冷たく測っているようにも見える。

 美貌ではないけれど……重量のある貌。


 クラナッハもまた、こんな表情の持ち主だったのかもしれない。


 放心していると……わたしのあたまのなかは、歌と詩ばかり。







 
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皮膚のうら怖(おぞ)とざはめくクラナッハはたえこのまなこをヴィナスにひらく

2008-03-15 17:21:23 | Weblog

 ルーカス・クラナッハから。


 そして、葛原妙子に。


 このひと、わたしを現代短歌へ導きいれた女人。どうしても忘れがたい。



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無疵なる銀貨さながら凝(こほ)りたる微笑浮かべむ魚(うを)いろの恋

2008-03-15 17:12:14 | Weblog

 夕暮れに









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夭折はもはや希(のぞ)まぬ天覆ふ桜大樹がうねりつつ咲く

2008-03-15 14:02:15 | Weblog

 午前中、丘陵地帯へ。

 あかるい春が雑木林の残る住宅地にひらける。

 丘のなだりに、無人の家。そのむこうは断崖(きりぎし)。

 横須賀線が視界はるかを真横に走ってゆく。

 吹き抜ける風が暖かさをすぎて、暑く。


 瓦葺の平屋。
 
 まるで平安物語の葎の家のよう。梅の古木、桜の大樹、木蓮、連翹。

 鬱蒼と繁りあい、からみあう枝がわずらわしいばかりに。


 風のゆくえを追って梅が散る。

 万葉集のなかで、あまり目立たないのかもしれないけれど、もしかしたら一番好きな歌を思い出す。


   風に散る花橘を袖に受けて君が御跡(みあと)と偲びつるかも

 こんな静かな愛のかたちもある。



 『塚本邦雄歌集』が手元に届く。国文社から出版されたもの。

 この方への近寄りは、じつは歌からではなく、きれぎれに読み込んでいた批評からが出発。

 その達意で無駄のない、的確、さらに唯美な文体と、卓越した批評眼に魅かれた。

 自分と価値観の違うひとに対しても、筋の通った明晰な鑑賞をされる。

 そうして、自分自身にも、鋭い省察を怠らない。



 ひとけのないお庭の桜、ひとかかえしても余りある太い幹、樹齢はどのぐらいだろう。

 染井吉野の幹はバロックにゆがみながら空へ這い登る。

 銀色の枝さきに、爛漫と花あふれるときがくる。

 老桜の誘う幻想かぎりない……。





 

 
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桜月みづよりあがるみどりごの殻澄みとほり春を吹きゆく

2008-03-15 08:14:12 | Weblog

 桜月、3月の異名。


 湘南では今日明日の暖かさで、開花が進むかも。


 咲いたら夜明けの桜を、観にいこう。しんとして、誰もいない。

 お花と対話ができるから。






 
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アルファポリス