生え初めし吾子の歯ガーゼでぬぐうとき真珠育む貝を思えり
(東京都 鶴田伊津)
わが降りしあとに客なき夜のバス雪の回廊曲がり行きたり
(秋田市 冨樫享)
法律にかく美しき響きよき言葉あるとは風説の流布
(東京都 吉竹純)
**************************
一首目。朝日歌壇で鶴田伊津さんに出会うとは感激だ。生え始めた子供の小さな歯。歯ブラシで磨くにはやわらかすぎて、まずガーゼでそっとそっとぬぐう。壊れもののような子供が、だんだん歯もしっかり生えて成長する。それはうれしくもあり、さみしくもある。
二首目。秋田市の作者なので、今年はことさら雪が深いだろう。雪の回廊という言葉から雪の多さがわかる。幻想的だが、幻想で済まない厳しさを感じた。
三首目。風説の流布という綺麗な言葉が、法律の言葉だと改めて感じさせられた。「ふうせつのるふ」・・・音としても美しい。
もも色のうすい皮膚した唇で乳首をさがすわれのみどり児
(近藤かすみ)
(東京都 鶴田伊津)
わが降りしあとに客なき夜のバス雪の回廊曲がり行きたり
(秋田市 冨樫享)
法律にかく美しき響きよき言葉あるとは風説の流布
(東京都 吉竹純)
**************************
一首目。朝日歌壇で鶴田伊津さんに出会うとは感激だ。生え始めた子供の小さな歯。歯ブラシで磨くにはやわらかすぎて、まずガーゼでそっとそっとぬぐう。壊れもののような子供が、だんだん歯もしっかり生えて成長する。それはうれしくもあり、さみしくもある。
二首目。秋田市の作者なので、今年はことさら雪が深いだろう。雪の回廊という言葉から雪の多さがわかる。幻想的だが、幻想で済まない厳しさを感じた。
三首目。風説の流布という綺麗な言葉が、法律の言葉だと改めて感じさせられた。「ふうせつのるふ」・・・音としても美しい。
もも色のうすい皮膚した唇で乳首をさがすわれのみどり児
(近藤かすみ)