気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

お結び

2006-02-04 19:44:21 | おいしい歌
お結びは山の手育ちほそくつてしろいおよびの上品なこと

おにぎりは下町育ちあたたかい指の魔術のおばちやんの味

弁当のおかずといへば定位置に厚焼きたまごが並びてゐたり

(吉岡生夫 食悦三六五日 短歌人2月号)

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吉岡さんの食べ物の歌、いつも楽しみに読んでいる。「および」が指のことだと、今回辞書をひいて初めて知った。

おにぎりをよそで買って食べるなんて、十年前には考えられないことだった。家で作れるものをヨソで買うのは、もったいないと思い込んでいた。しかし、歌会に行くのに昼ごはんを食べそこね、あわてて買ってこそこそ(最近はけっこう堂々と)食べるようになった。明日は、関西短歌人の月例歌会。実は旅行で休む予定だったのに、旅行がとりやめになったので、また歌会へ行く。こうして亭主は浦島太郎のような容貌に、女房は勝手に変貌してゆく。

米粒のふつふつ滾る釜の蓋開けてはならぬ闇こそ快楽
(近藤かすみ)