気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

春吾秋蝉 大野道夫歌集

2006-02-10 22:32:13 | つれづれ
中期休暇ごとのふるさと銀のなき鵠沼銀座に灯る中生(ちゅうなま)

持ち込みし紙コップ酒歪ませて氷は降りぬまんが喫茶(マンキツ)の夜

誰もおらぬ前夜祭(イブ)は木(ツリー)を照らしおり冬は桜であることを忘れ

(大野道夫 春吾秋蝉 雁書館)

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心の花の大野道夫の第三歌集。『短歌の社会学』の著書もある社会学者。

めずらしいルビの歌を見つけたので引用する。
中生(ちゅうなま)というのは、中ジョッキ生ビールのことだろうか。関西では、生中(なまちゅう)というのだけど、言葉の地域差かと思う。
まんが喫茶をマンキツと呼ぶのは、最近吉浦玲子さんの歌で知った。三首目は、このルビのふり方で、クリスマスであることがわかる。
音数を合わせるために、意味に多様性を持たせるために、ルビは有効。いろいろ試してみたい。これも今後の課題。

それにしても、生まれてから思いっきりお酒を飲むという経験がない。だいたい飲むと眠れなくなって、次の朝は頭痛に悩まされる。結果が予想できるので自重してしまう。つまらない人生なのか、これでいいのか。

黄金の麦酒のあわのつぶつぶの花なるアキノキリンサウ咲く
(近藤かすみ)