気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2006-02-12 20:58:42 | 朝日歌壇
生え初めし吾子の歯ガーゼでぬぐうとき真珠育む貝を思えり
(東京都 鶴田伊津)

わが降りしあとに客なき夜のバス雪の回廊曲がり行きたり
(秋田市 冨樫享)

法律にかく美しき響きよき言葉あるとは風説の流布
(東京都 吉竹純)

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一首目。朝日歌壇で鶴田伊津さんに出会うとは感激だ。生え始めた子供の小さな歯。歯ブラシで磨くにはやわらかすぎて、まずガーゼでそっとそっとぬぐう。壊れもののような子供が、だんだん歯もしっかり生えて成長する。それはうれしくもあり、さみしくもある。
二首目。秋田市の作者なので、今年はことさら雪が深いだろう。雪の回廊という言葉から雪の多さがわかる。幻想的だが、幻想で済まない厳しさを感じた。
三首目。風説の流布という綺麗な言葉が、法律の言葉だと改めて感じさせられた。「ふうせつのるふ」・・・音としても美しい。

もも色のうすい皮膚した唇で乳首をさがすわれのみどり児  
(近藤かすみ)


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