気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

ひつつみ

2006-02-14 21:14:38 | つれづれ
どの車輛に乗れば出口に近いかといふやうなことが一番苦手

みちのくのひつつみ食べてひいふうと口より二つ雲を生みたり

みかん剥けばみかんの中に十人の老人がゐて軍歌をうたふ

スカートが短すぎると子を叱りゐる間も窓の夕雲すすむ

母であるわれが恐ろしへその緒の小箱二つを持ちて転居す

(小島ゆかり 憂春)

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一首目。短歌に内容で共感してコメントしてはいけないのはわかっているが、やはり共感した歌。大勢の人の前でしっかり話す彼女にそんな面があるとは、意外であり、うれしくなる。私もよく世の中の人は、なんであんなに要領がよくしっかりしているのか不思議で、落ち込むことがある。私などゆかりさんと比べることにも足りないのだが。
これにつづく歌の「ひつつみ」がわからない。ひつつみに傍点がふってある。口から雲を生む食べ物というのは、あつあつの雲呑(ワンタン)だろうか。
みかんのうた、あるはずもないのにありそうに思わせる歌。みかんの庶民性ゆえか。
四首目。角川短歌賞の小島なおさん。あまりの可愛らしさに、こちらがはらはらしてしまうのだ。有名人の辛さ。
五首目。お母さんになったら、しっかりして当然なんてそんなことウソ。私もいまだに自分がお母さんなのが、不思議でこわい。

眠り草ほんに会いたきひとの顔さがす間に間に夢ははじまる
(近藤かすみ)