備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

【新聞掲載】 グループ展『千の酒呑』 開催中

2016-09-23 16:58:01 | 展覧会・ご案内


本日付けの読売新聞さんに、開催中のグループ展について掲載して頂きました。
有難う御座居ます。


(クリックで拡大)

秋の夜長の一献。お気に入りの酒盃をお供に。
是非、ご高覧下さい。


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◆◇◆ けらもす7.0 千の酒呑 ◆◇◆

会期 : ~ 25日 17:00迄
会場 : 加計美術館(倉敷美観地区)

●入場無料
●25日最終日は在廊しております
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さて、まだ会期中ですがウラ話を。

今回は会期、会場が正式に決まったのが遅く、準備期間は1ヶ月半ほどでした。
「怒涛のスケジュールはノリで乗り切るべし!」ということで、今回のテーマは、比較的ノリで決まりました。
これまでの『フランス・プロジェクト』『檜杉100%焼成プロジェクト』での緻密な準備とは大違い……。それもまた良し。

テーマが決まった経緯……。
「テーマとして『100』って数字での100碗、100壷の展覧会は他所でもあったよねぇ」
「1000は無いよね」
「1000点あると面白いね」
「1000やろう!」

「何が出来る?」
「1ヶ月半の準備なら、ぐい呑とか杯とか小さいモノなら可能かな?」
「となると『千の酒呑』やね」
「決定~~~」


この「小さなモノなら出来るだろう」という発想が、そもそも落とし穴でして……。
あの時はお気楽に過ぎた。


●【第一の落とし穴】
展覧会となると、自分が納得するクオリティーが必要である。それが一人200点近く必要。これが落とし穴。
皆、展覧会に出せる酒盃200点の在庫はない。
結局、短期間で登り窯を焚いた人、銀彩上絵など窯焚き回数を重ねた人、小窯を焚いた人など見事に全員がギリギリ、キワキワな対応となりました。
小生はチビ窯で青備前を。窯焚き53時間中睡眠が1時間半という強行スケジュールでした。


●【第二の落とし穴】
ステキな展示アイデアが追加された。これが落とし穴。

「バーみたいにしたら格好良いやん」
「エエねぇ」
「耳付きの無垢の一枚板とかは?」
「エエねぇ」
「アイアンの足あるよ」
「エエねぇ」
「個人が好きな木でカウンターを作ろう!」
「エエねぇ」

「材木屋さんに行こう!」
「おぉ~~ (*^o^*)/」

皆でゾロゾロと材木屋さんに押しかけて、倉庫中を引っくり返す大騒ぎに。


●【第三の落とし穴】
『一器陶千』という一騎当千の駄洒落を思いついて、オープニングパーティーをする事にした。これが落とし穴。

「1000分の1の確率で選んだ酒呑に酒を注ごう!」
「各自が自作の器に合わせて、オススメのお酒とオツマミを用意しよう」
「それなっ!!」


この3つの落とし穴に、会期直前まで悩まされ続けました。
これに加えて、申請書書き、会計組み、テキスト書き、撮影、フライヤー製作、キャプション製作、広報……などの事務作業もメンバーがヒョイヒョイ適宜担当。
まぁ、我々メンバー全員の『落とし穴の中での自縄自縛のドMっぷり』には頭が下がるよ。

個人的には、その間、リヤカー茶席の出張もあったし、窯焚きお手伝いもあったし。つくづく変態やなぁ。


かくして、何の事はない……、展覧会初日の開場直前にモノが並んだのでした。


並べてから気付いたけれど、展示するモノが小さいということは、窯の中の何処にでも入るという事である。今回のようにそれらを多数展示すると各自の窯全体を俯瞰する『ピースの集合体』となる。
これは、作り手の考え方、嗜好、趣向、想いが如実に顕れてしまう結果となる。
そういう意味では、数点の力作が並ぶ展覧会よりも、個人性が露骨なまでに発露される展覧会になっている。小さなモノが多数並んだからこそ判る事でした。

メンバーはお互いに、グループ全体ではなく個人性やキャラクターの違いを楽しんでいる次第です。


……てな事を、ご高覧頂けると幸いです。( ← なんのこっちゃ)

皆様も是非! 25日まで。