今年は菜種梅雨から卯の花腐し(うのはなたくし)と切れ目なく雨が続いている。
番犬福助も「今日も卯の花腐しかな」と連日倦み果てたご様子である。
本日はようやくの晴れ間。夕刻、男同士並んで散歩とする。久々に足を伸ばして裏山へ上がる。目的は池の周りの山桜を見る事。
道に覆いかぶさる新緑が、斜光で淡く明るいグラデーションを作っている。雨に洗われた新緑の散歩道。悪くないね。
画家ならばこういう瞬間を題材にするのだろうが、こちとらやきもん屋である。興味は食材に向く。否、それにしか向いていないと言うべきか。
採る時期がいささか遅いが、ワラビはまだ大丈夫だ。イノシシのお陰でタケノコが口に入らないので、せめてものワラビで春を味わうとする。
片手に福助、片手にワラビという形で帰宅する。
いそいそと灰汁抜きの準備。窯場から『天然松灰100%』を調達する。
釉薬のヤキモノ屋さんからお叱りを受けそうな純度の灰で灰汁抜きをする。
洗ったワラビを灰でコーティングして、熱湯を注いで一晩放置。これでオシマイ。
これまで色々と灰汁抜きを試したけれど、この方法が歯応えを損なわず綺麗な色に仕上がる気がするなぁ。
さて、これで明日の晩酌メニューは『ワラビのおひたし』あたりか……。
万一、タケノコがご来宅された場合は『タケノコとワラビのたいたん』というのも吝かではない。
到来物を極薄く期待しておこう。
あっ、明日、晩御飯いらんのやった……(´・_・`)