備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

【告知】 Allegro con brio ~次代へ~

2017-10-23 11:55:20 | 展覧会・ご案内


忘れないうちに告知です。

紅葉の名所、岡山・近水園すぐ横の『常光庵』にてグループ展をします。
不定期開催されるアートイベント『nanacafe』での登場です。
_________________________

◆タイトル : Allegro con brio ~次代へ~

◆会 期 : 2017.11.3(金・祝)~6(月) 
         10:00~17:00(最終日16:00)

◆会 場 : 常光庵 (岡山市北区足守795)
_________________________





今回は、備前細工物の系譜から発展するものとして、伝統的な型起こしではなく一点製作のオブジェ、彫刻、器などを展覧します。
用途の有無を問わないモノに、見る方がそこに『何か』を見出していただければ幸いです。
ニンマリして頂けると更に幸い。 (^。^ゞ
期間中、お茶会、ワークショップなどもあります。


さてさて、タイトルの『Allegro con brio ~次代へ~ 』とは……。

・Allegro con brioは、音楽用語で「生き生きとして、快適な速度で」という意味です。
・副題の『次代へ』までを含めると、『次世代へ、楽しくワチャワチャやって行こうぜ!』という感じです。

個人的には、ご機嫌な時の座右の銘である『悠々として急げ!』(開高健)あたりがイメージですが。


ご高覧の程、よろしくお願い致します。 m(_ _)m


告知は以上です。 m(_ _)m


_________________________

【以下、読みとばしOK】
 
一昨年あたりから、個人的に細工物推し企画や出品を連発しております。これは「備前細工物を見直そう」という趣旨からです。
個展、グループ展、公募展、新幹線コンコースでの展示などで露出を高めておりますが、なかなか難しい。

今、ひとことに『備前細工物』と称するものには、2系統あると考えています。

一つは、『伝統的な型起こしによる製作』です。
備前の伝統的細工物は、桃山~江戸期に多く秀作があります。これは原型師とデコ師(型起こし職人)の共同によって作られます。型抜きだけで生計を立てる人も居ました。
かつて昭和に興った全国的な工芸運動で『桃山に帰れ』というものがあり、それ以来『器』の需要が高まりロクロ師が重宝されるようになりました。
手の掛かる細工物を手掛ける人は少なくなり、安価なお土産品が作られたりし、今やその高い技術や道具を目の当たりにした方々も高齢に達しています。
しかし、家に型が伝わっていて、古典的技法やモチーフに則って製作する作家さんもいらっしゃいます。

今一つは、『西洋の彫刻的観点による一品製作』です。
明治以降、東京や京都の学校で学んだ彫刻技法を取り入れて一品製作の細工物を作っていた方々がいらっしゃいます。
これらは伝統的技法と融合し対立するものではありませんが、「解剖学的に骨格に筋肉を乗せて獅子を作る」考え方などはその例でしょう。
現在は、美大出身者も増えて、素材としての備前という見方や様々なテクニックも見受けられます。

今は、この2系統を更に細分化する概念の違いもあり、それらの多彩さを見せられる時期に差し掛かっていると思います。
小生の如く新規参入組はその辺りも押さえつつ、「新しい何かを提示するのが努めではないか?」と思い至った訳です。

・伝統的モチーフや型を使う『古典派』
・超絶技巧の『リアリズム派』
・微笑ましい『カワイイ派』
・器にプラスする『ちょい乗せ派』
・社会的メッセージを付加した『社会派』
・オブジェとしての『アート派』
などなど。

これらの色々とある「切り口の違いを如何に見せるか?」という事が企画の要点となります。
という事で、まぁ、毎度企画する訳ですが、その度に試行錯誤が多く忸怩たる思いもあるのが現実です。

今回は、「用の有無は問わず」展示する事から、製作者の『切り口』が見えたなら幸いです。

よろしくお願い致します。 m(_ _)m