備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

人工土地 @坂出市 (その3)

2016-06-01 20:37:53 | 路上観察


細い階段を上がる。

天空のラピリンズは市営住宅だった。現在も住民がいらっしゃるので見学には配慮が必要ですな。


図によると区画は合理性よりも緩やかな繋がりを意識した配置を感じる。単純な整列ではなく、あえて曲がったり遮られたりしながら次々と風景が変わる仕掛けである。適度に視線を遮りつつ人と出会う街。いいなぁ。

コンクリートの重量感とソリッド感が堪らん。今のビル建築なら表面にタイルを化粧貼りするのだろうが、コンクリートにペンキである。実に潔い。

入り組んだ直線の構成は大好物である。

間のとり方や庇もクール。


そして、いきなり現れる家庭菜園。

上層で土を見ることを想定していなかったので軽い違和感ながら安堵感も得る。ここは生活の場と再認識。

敷地の端に、ステキなテラスハウスが見えてきた。全戸南向きの優良物件だなぁ。空に伸びていく階段。

場所的に、市民ホールの上になる。


おぉぅ、勾配がまさにホールの天井なのだろう。
コンクリート打ちっ放しに映えるお社と自動販売機の赤。なんだかクールなCMが撮れる気がするな。まったく予定は無いけど。( ←誰の、何の?)

頂上まで一気に続く直線の階段が街の印象をすっきりさせている。

バルコニーとかどうなってるのだろうか? 
階段を上ればすぐに判るけれど、雨が強くなってきたので、その見学は次回の楽しみにしておこう。

植栽のある広場側から見るとホール側面がよく判る。

補色関係が嫌味にならないカラーリングも好ましい。ややファンシー趣味だけど。

南西に向かうと、急に広場が現れた。

ちょっとしたイベントには充分なスペース。かつてはここで夕涼みや盆踊りぐらいは出来たかもしれない。雨の為、讃岐富士が見えるのかは不明。
しかし、このコンクリートに降る夏の夕立を想像すると……。立ち上がる熱気と匂いが……昭和だわ。

集会所も。

ココハ、ニホンデスカ? 「ヨーロッパの街角」と言われても違和感がない。そうか、電線がないからだ!

住人の人数に事足りる自転車置き場が好ましい。

ん? ここは最上階だぞ? なんと玄関先まで自転車で来れるのかっ! オシャレ。

アーケードの上は一直線な通路になっていた。


しかし、見る向きを変えるとパティオがあり、植栽に生活感を感じる。

大事にしているであろうバラなどが香気を漂わせている。

ドアなどがカスタマイズされた物件も見かけた。

2階にもテナントがあったのかな。


しかし、空き部屋もそれなりに目立つ。

蔓の伸び具合から、随分と放置されているのかも知れない。

おまけに、老朽化も否めない。


しかし、錆止めすらデザインに見えるのは『場の力』だな。


空き部屋事情を調べてみると、1戸あたりの床面積の狭さと風呂がない事にあるらしい。戦後は銭湯で間に合ったのだろうが。
近年は2戸をぶち抜いて床面積を広げ、キッチン・風呂・トイレなどを備えているらしい。
また、エレベーターがないので高齢者は大変。特にあの一直線な階段は想像に容易い。

現代の住居としてはマイナス面もあるけれど、仕事やクリエイトの場としてはかなり可能性を感じる。
「仮に、ここを再開発するなら……」と思って見ると魅力が一杯だ。

アートや工芸などのアトリエとギャラリー。
ビジネスのSOHO基地。
ブランドのテナント発信の集合場所。
グルメ街も良いか。
茶室もありだなぁ。
上層ならライブも可。
コンサートならすぐ下にホールもあるし。
パンクールの大会も出来そう。

エレベーターがなくても一応のバリアフリーは達成しているので、搬入もまぁまぁ大丈夫そう。
インキュベーションする場としては、適度なクローズ感と人との交流が生まれて楽しそうだ。

これが、人口の多い都会であったら簡単にデベロッパーが付くだろう。
しかし、このローカルだからこそ活かせる使い道はある筈。坂出市役所のセンスと力量が試されるでしょうねぇ。このまま廃墟化して壊すのは勿体無い。


う~~む、自分の仕事が場に縛られないものだったら……。
いやいや、今はオノボリサン目線なので、実際に住んでみないと判らない事も多いのだろう。


さて、次回は~~~~。物件のコマゴマした部分を見ていきましょう。

ではでは。(*^o^*)/