備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

『お気に召さない』粘土

2010-11-02 09:06:05 | 陶芸
作っていて、どうにもこうにも『お気に召さない』粘土があった。
砂が多い。┐(-。ー;)┌

小生の使う粘土は、備前で言うところの山土系の原土がベースになっている。
主な粘土の作り方は、原土を水でドロドロに溶かして『湿式』で篩で漉してドベ鉢で水分調整する。この時に使う篩のメッシュサイズがポイント。大体は1mm~3mmを使い、それ以上は手作業で『石より』をする。

この土は2mmで通したもの。これを1mmで通し直して、砂の量とサイズを調整する事に決定。

「新しく原土から作った方が良いかな」とも思ったけれど、硬くなりかけていたし……とか、イロイロと自分の中で言い訳じみた理由をつけて再成する事に。(原土からするとイロイロと大変なのよ)
風通しの良い軒下で、刻んで割って、乾いたら更に細かくして……、大豆ぐらいのサイズにしたところで水の中へ。

もし、1mm通しでも砂が多かった場合は、『水漉(すいひ)』で丁寧に粘土だけを抽出する方法もあるけれど、これは性に会わないので却下。時間も質感も。

ならどうするか……。

粘土・シルト・砂の沈殿速度を利用しつつ『湿式』で。要は、沈殿した砂やシルトまで抽出しなければOK。
唐箕やサイクロンという機械で、粉体(穀物等)を風で飛んだ距離で選別するところを水中での沈下速度で選別するだけの事。


粘土作りの場合、工業的粒度調整なんだけど、最終的には見て判断する個人の感覚に委ねられるので、これが出来たからって、良いもんでも無いし……というのが面白いところ。
結局は感覚ありきで、あとは、その要領。ヤキモノ作りって、こういう地味な工夫や作業が結構多いし、それが楽しい。
「器用やなぁ~」とかって言われる事もあるけれど、「要領をかます」とか「横着する」事の考え方や経験の蓄積に尽きる。

なので、『器用は一日にして成らず』。

と同時に、『ヤキモノ作りも一日にして成らず』か……。


さて、砕くか……。 (フレット兄さん元気かな?)


しかし、粘土再成とは二度手間やな。 (要領悪ぅ~)