備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

晩酌に

2009-04-14 11:42:11 | 料理・食材
先日の醍醐桜見物の折。
桜の近所のお宅。大きなお釜を庭先に据えて、なにやらグラグラと煮ている。

タライに入った糊のようなものを手で丸くして湯に放り込んでいる。
茹でる前は白っぽい。茹で上がるにつれて桜色に色付く。

「何ですか?」
「こんにゃく」

隣りの小さめのお釜では、ザックリ切った芋を煮ている。
で、一連の作業工程を問わず語りに伺う。

コンニャク芋は、中が青と赤の二種類あるとか。
茹でてから皮を剥くとか。
桜色なのは着色料ではなく、赤い芋だからとか。
新しく放り込んだのを沈めないと扁平になってしまうとか。

醍醐桜周辺で売っていたコンニャクはこれ。勿論、購入済み。
製造過程を見られたのは良かった。
こういう事は美味しさアップにも繋がる情報。おっちゃんサンクス。


我が町内にもコンニャク製造所がある。
刺身コンニャクは直接工場で買うのが拙宅の決まり。それにパッケージ代分差し引いて分けてくれる誠実さ。
コンニャクは時間が経つにつれ独特な臭みがでる。出荷されて店頭で買うものとは経過時間が違う。フリーズドライの粉から作られているものの、刺身コンニャクは出来立てが美味しい。


その伝で行けば、これはもっと美味しいかも。
なにせ生芋。で、作りたて。

早速、その日の晩酌は刺身コンニャクで。

切ると空気が入っていた大小の穴がある。弾力はさほど無く、素材感を感じる舌触り。口に含んでも臭みは感じない。酢味噌を優しく巻き込むようなフンワリ感。
コンニャクでフンワリとはこれ如何に。

あっという間に子供達が平らげる。
「えっ?」と思う間もあらばこそ。


玉コンニャクは拳より少し大きいぐらい。おひとつ100円。安っ。
商売っ気があるなら『手作り 桜玉こんにゃく(無着色)』と銘打てば、道の駅とかでも人気が出そうな気配。事実、桜色のコンニャクってないし。

でも、おっちゃんにはその気は無さそうだった。


口にする機会がこれから先もしばらく無いと思えば、しばし記憶の中で反芻するのみ。