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チェット・ベイカーの未発表音源

2023-05-07 | JAZZ
5月の連休を使って、チェット・ベイカーの未発表音源を聴きました。

「BLUE ROOM」 KKJ 10014
 
1. BEAUTIFUL BLACK EYES
2. OH, YOU CRAZY MOON
3. THE BEST THING FOR YOU
4. BLUE ROOM
5. DOWN
6. BLUE GILLES
7. NARDIS
CHET BAKER (tp, vo) PHIL MARKOWITZ (p) 
JEAN-LOUIS RASSINFOSSE (b) CHARLES RICE (ds)
録音 1979年4月10日
1. CANDY
2. LUSCIOUS LOU
3. MY IDEAL
4. OLD DEVIL MOON
CHET BAKER (tp, vo) FRANS ELSEN (p)
VICTOR KAIHATU (b) ERIC INEKE (ds)
録音 1979年11月9日

1952年頃から1988年までに100種類を超えるアルバムを輩出してきたチェット・ベイカーですが、これは1979年にオランダのVARA スタジオで、ラジオ番組用に収録された未発表録音盤です。
彼の演奏は、体調の関係から70年代中期までが聴けるものと思っていましたが、この2枚組のトランペットを中心とした演奏を聴いて、今までの考えを改め直しているところです。
それぐらいこのアルバムに納められた演奏は素晴らしく、3曲で披露している歌はオン・マイク収録されていて、放送用のステレオで収録された高録音と相まってリアルで円熟味が増したヴォーカルとスキャットが堪能出来ました。

軽快なボサ・ノバのリズムに乗ってスタートする「BEAUTIFUL BLACK EYES」は、チェットのソフトなトランペット音に旨くマッチングし、1曲目から癒やされる演奏となっていますが、これがウエイン・ショーターの曲(ルー・マコーネルという説もありますが)であることを初めて知りました。
続いて演奏される「OH, YOU CRAZY MOON」は、ピアノによるイントロを経てチェットが登場しますが、しっかりした音程で円熟味溢れる歌を披露しており、トランペットによる中間部からピアノ・ソロを挟んで、最後はスキャットから再び歌に戻るという流れの中で、ビブラートを掛けた声もまた素敵です。
アービング・バーリンの「THE BEST THING FOR YOU」は、アップ・テンポの演奏ですが、チェットはミストーン無く、また、バックの3人にもそれぞれソロ・スペースが与えられ、全員が素晴らしい演奏を展開しています。

アルバムのタイトルにもなっている「BLUE ROOM」は、16分を超える長い演奏ですが、ここでのチェットは淡々とプレイしており、その流れを受けてフィル・マーコウィッツ、ジャン・ルイ・ラシンフォッセによるピアノとベースのソロがあり、再びチェットに戻りそのままエンディングとなります。
続くマイルスの「DOWN」は速いテンポの曲で、前曲と同様に全員にソロ・スペースが与えられていますが、主役はやはりチェットです。
「BLUE GILLES」は、チェットのノン・リズムによるカデンツァでスタートしますが、フリューゲル・ホーンのようなふくよかな音でこのR.ロジャース & L.ハートの名曲が演奏され、最後もまた同じようにソロで締めくくられています。
このアルバムで2曲目となるマイルスの「NARDIS」も、当然ながらここでの主役はチェットのトランペットであり、ミディアム・テンポで非常にリラックスした演奏に聞こえます。


レコードの最終面に収録されている11月の4曲の演奏は、インストとヴォーカル入りが各2曲となっています。
ヴォーカルの「CANDY」は、ピアノ・トリオをバックに抑揚を押さえながらもバウンスするような歌唱に、ドラマーのブラシのアクセントが効果的です。
もう一つの「 MY IDEAL」は、ゆったりしたテンポで感情込めて1コーラスを歌い、その後のトランペット・プレイとそれに続くピアノも雰囲気を保ったまま再び歌に戻していますが、これもパシフィック・レーベルの「SINGS」の中の歌唱と同様に、素晴らしいトラックだと思います。
また、インストの「LUSCIOUS LOU」におけるチェットは、ハイトーンを交えながらのプレイが好調さを物語っているし、アップ・テンポで演奏される「OLD DEVIL MOON」は、流れるようなアドリブで快調にプレイしていて、最後はフェイドアウトされてすべてが終了となっています。

アルバム全体を通しての感想は、4月収録のリラックスした演奏に変わって、11月の4曲はバックを務めるリズム陣の緊張感が強い感じがします。

なお、アルバムの中には、豪華な英文のライナーノートが付いており、和文の翻訳版も入っていました。

 

5月13日はチェット・ベイカーの命日であり、そのことも思い浮かべながらこのアルバムの全曲を繰り返し聴きました。

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