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私の愛聴盤 (第139回)

2020-02-23 | 私の愛聴盤
第139回はハロルド・ランドの「ザ・フォックス」で、短期間に活動を停止してしまった西海岸のマイナー・レーベルからのものです。
「THE FOX」 HI-FI JAZZ SJ 612
  
1. THE FOX
2. MIRROR-MIND ROSE
3. ONE SECOND, PLEASE
4. SIMS A-PLENTY
5. LITTLE CHRIS
6. ONE DOWN
HAROLD LAND(ts) DUPREE BOLTON(tp) ELMO HOPE(p) 
HERBIE LEWIS(b) FRANK BUTLER(ds) 録音 1959年8月 LA 

これは、多くのレーベルに足跡を残しているハロルド・ランドのリーダー・アルバムからの1枚で、LAを中心に演奏活動を行っていた奏者による典型的なハード・バップ・スタイルによる演奏集です。
LAを中心に活動したハロルド・ランドは、ロリンズやコルトレーンからの影響も見え隠れしますが、サウンドは鋭く繊細で魅力のあるテナー・マンでした。

バンド構成は、クリフォード・ブラウンとマックス・ローチのエマーシー盤と同じく2管+ピアノ・トリオですが、デュプリー・ボルトンのトランペットを聴くことが出来るのも貴重です。
なお、ハロルド・ランドがクリフォード・ブラウンとのコンビによりエマーシーに名演を残しているのは1954年から55年までの2年間ですが、このアルバムはそれから凡そ4年後のもので、ここではより進化したプレイを聴くことが出来ます。

ここでの全6曲において、ランドが2曲(1, 5)、エルモ・ホープが4曲(2, 3, 4, 6)を提供していて、いずれも似通った曲想となっています。
その中で、2曲目の「MIRROR-MIND ROSE」のみがスローテンポな曲となっていて、テーマの後は、ランド、ボルトン、ホープの順でソロが受け渡され、それぞれの演奏をじっくりと味わうことができます。
また、最終曲の「ONE DOWN」は、フランク・バトラーの長いドラム・ソロもあり、まるでブラウン・ローチ・クインテットを彷彿させるような1曲となっています。
なおトランぺッターは、このアルバムの次に来るジャズランド盤の「WEST COST BLUES」でジョー・ゴードンに、また、アトランティック盤の「HEAR YE!」ではカーメル・ジョーンズに代わっていますが、ハロルド・ランドの力演が聴けるのはこの辺までです。
そして、この時期のハロルド・ランドの音色は数々のレーベルでの微妙な音色の違いを、そして、相方のトランぺッターのそれぞれを楽しむことが出来ます。

このハイファイ盤の録音は、各々の楽器がクリアで、西海岸の乾いた音がするし、フランク・バトラーの切れの鋭いスネアの音もしっかり捉えられています

なお、クリフォード・ブラウンとのセッションでも活躍したハロルド・ランドは、1926年12月18日、テキサス州ヒューストンの生まれで、サンディエゴのハイ・スクール時代からセミ・プロとして活動しています。
54年8月、マックス・ローチの誘いを受け、テディ・エドワーズの後釜として「ブラウン・ローチ・クインテット」に参加し多くの名盤を残しています。
しかし彼は、ツアーを好まなかったため55年11月に退団、そのままLAに留まり翌年カウンスのグループに参加するのですが、それらの成果の一部が次の2枚です。
録音日は「Clifford Brown And Max Rorch」が1954年8月、「Landslide / Curtis Counce」が1956年10月であり、3枚の中では冒頭のリーダー・アルバムが一番後となっています。
 

ここに掲げた3枚はいずれも同じ2管編成であり、今回の主役を中心に聴き比べてみました。
メリハリが効いてシャープなエマーシー盤、中間が今回のアルバム、西海岸の音らしく柔らかで少し太めのコンポラとなりました。
録音エンジニアや、レコード会社の違いによる音色の違いも楽しめるのですが、
さて、ハロルド・ランドの本当の音色は?、と思ってしまいます。

コメント
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