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私の愛聴盤 (第58回)

2015-02-25 | 私の愛聴盤
第58回は武田和命の「ジェントル・ノヴェンバー」です。

武田和命 (たけだかずのり 1939年11月14日 - 89年8月18日)東京都蒲田生まれ

70年代には「伝説にして幻のテナーマン」であった武田のジャズ人生は、金井英人(b)、福原彰(tp)のグループを経て、64年に富樫雅彦(ds)カルテットに加入したところから始まっています。

今回のアルバムに関連して・・・
66年11月に、三大ドラマーによるドラム合戦のメンバーとして、アート・ブレイキー、トニー・ウイリアムスと共に来日したエルヴィン・ジョーンズが、訳あって日本に留まることになり、その間の生活を支えるため新宿ピット・インのオーナーである佐藤氏が、自らのライブ・ハウスでエルヴィンを演奏させることとし、山下洋輔、武田和命を誘って共演が行なわれました。
その後武田は、「ジャズでは飯が食えない」との理由で、ジャズ界を離れたところで活動を続けていたのですが、業界関係者の中でその姿を見た人はほとんどいなかったようです。
78年になって、東京のライブハウスのR&Bバンドで演奏していることろをある人が見つけ、そのことが山下洋輔の耳に入ったことから、山下がジャズシーンへの復帰を説得し、彼のグループに参加することになりました。
そしてその翌年、山下洋輔グループをバックに吹き込んだのがこのアルバムです。

メタル・マウスピースによるエッジの立ったサックスで、40歳にして初リーダー作でありながら、且つベスト・アルバム(と思います)。
このタイトル、武田の誕生月に合わせて、山下洋輔が命名したのだそうです。
ここで聴かれる演奏は、これまでの武田のハードな演奏からは想像もつかないしっとりとした内容です。
最初の4曲がミュージシャンのオリジナルとスタンダード、後半4曲が自身のオリジナルですが、このオリジナルがいずれも良い曲で、コルトレーンのバラード・アルバムに匹敵するような素晴らしい演奏となっています。
バックを担当する3人も、サックスを優しく包み込むようなサポートに徹しています。
それから、前後して山下グループに所属していた石垣島出身の国仲の、骨太ベースもたっぷり聴けるアルバムでもあります。
なお、このアルバムが録音された「坂戸市民会館」は、音響に優れたホールとして当時は多くの音楽関連の録音がされていました。

「GENTLE NOVEMBER」 FRASCO FS-7030
    
1. SOUL TRANE
2. THEME FOR ERNIE
3. AISHA
4. IT'S EASY TO REMEMBER
5. ONCE I TALKED
6. OUR DAYS
7. LITTLE DREAM
8. GENTLE NOVEMBER
武田和命(ts) 山下洋輔(p) 国仲勝男(b) 森山威男(ds)
録音 1979年9月20、21日録音、埼玉県坂戸市民会館


今となっては武田の新録を望むことはできませんが、以下の2枚を紹介します。
1988年3月、九州7ヶ所のツアー最終日、柳川のジャズ喫茶「ファンクール」のマスターが密かに録画していたドキュメント映像です。
狭い店内での据え置きの1台のカメラによるもので、モノクロ映像に少しだけ色を付けただけのものですが、演奏は良い出来です。
限定画面の中で、4人の表情も捉えられており、価値あるものです。
「武田和命カルテット 1988」 RINSEN INC. carco-2007
 

彼の遺作となったアルバムで、89年1月26日、西荻窪「アケタの店」でのライブです。
ピアノレス・トリオなので武田の出番は多く、バラードから速い曲まで演奏していますが、そう思って聴くと、武田の演奏が痛々しいです。
「INFINITY」 AKETA’S DISK AD-25CD
  

コメント
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