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チャールス・ミンガスの直立猿人

2014-01-19 | JAZZ
チャールス・ミンガス(Charles Mingus)1922年4月22日 - 1979年1月5日 
アリゾナ州ガルス生まれ

ベーシスト、ピアニスト、優れた作曲家、バンドリーダー、
チャーリー・パーカーや、デューク・エリントンから大きな影響を受け、自身のオリジナル曲の中にも政治思想や哲学思想を取り入れた、強烈な個性を持ったミュージシャンでした。
1950年代に入ってニューヨークに進出し、マックス・ローチ(ds)と共にデビュー・レーベルを立ち上げ、意欲的な作品を残した後、アトランティックと契約しての第1作がこの「直立猿人」です。
この録音が行われた当時のジャズの勢力は、白人中心の西海岸から東海岸へと移り、とりわけニューヨークの黒人中心のジャズが勢いを取り戻した時期に当たります。
このような背景の中で、ミンガスはジャズ・ミュージシャンとして先のマックス・ローチ等と共に、黒人の人種差別反対運動や、公民権獲得へ向けた活動の先頭に立った内の一人であり、それがこのアルバムにも反映されています。
楽曲的には従来のハード・バップから一歩進んで、演奏者同志が互いに刺激し合いながら曲を作り上げていくことで、過去の誰もが演ったことがない集団即興演奏を目指していて、それを実現したのがこのタイトル曲でもあります。
(ジャケット裏面のサブ・タイトルは「ジャズ・ワークショップ」となっています)

「PITHECANTHROPUS ERECTUS」 ATLANTIC 1237
   
1. PITHECANTHROPUS ERECTUS (直立猿人)
2. A FOGGY DAY (霧深き日)
3. PROFILE OF JACKIE
4. LOVE CHANT
CHALIE MINGUS(b) ACKIE McLEAN(as) J.R.MONTEROSE(ts) 
MAL WALDRON(p) WILLIE JONES(ds) 録音 1956年1月30日

1曲目の直立猿人において、2人のサックス奏者は従来のアドリブではなく、アヴァンギャルド的な音を散りばめた奏法を行っており、その後のフリー・ジャズの片鱗を見せています。
2曲目の霧深き日のイントロ部分では、交通マヒや警笛を模倣した音で、同じくフリーな表現を試みています。
3曲目のジャッキー(の肖像)とは、マクリーンのことで、自らがソロを取る短いバラードです。
4曲目のラブ・チャントは一転、最少の和声で自由に発展していく15分にも及ぶ長い演奏です。

なお、これまでこのコーナーに登場したことのある秋吉敏子は、一時的にミンガス・バンドに在籍していたことがあり、渡辺貞夫はボストンのバークリー音楽院に留学する途中、
ニューヨークに立ち寄った際、空港に迎えに来てくれた秋吉さんに連れられてジャズ・クラブに直行し、いきなりミンガスの演奏しているステージに上げられたそうです。
貞夫さん曰く、ステージではミンガスのオリジナル曲ばかりだったので、ミンガスが背後からコードを教えてくれたのですが、ミンガスが「A7」と言った時、曲は既にその先に進んでいて、役に立たず困ったそうです。
また、大西順子のオリジナルにも、ミンガスにちなんだ曲がありました。

余談ですが、ミンガスは自らを「チャーリーと呼ぶな、チャールスと呼べ」と言ったそうで、各々のアルバムでは、そのいずれかが記載されています。
そしてミンガスは、葉巻とチェスの愛好家であり、「生肉」を好んで食べたそうです。(これ本当の話)

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