「自然な質感・・・」
「人の声や楽器の音がよりリアルに感じられる・・・」
「何かを付加したり、特定の帯域を強調することによる『演出』ではなく、マスキングされていた情報が浮かび上がってくることによる全体的な質感の向上が感じられる・・・」
「音色や音調が大きく変わることはないが、見えてくる風景が違っている・・・遠くまで見渡せるような感覚があるな・・・水平線が見えるようだ・・・」
ZandenのModel120は、PSDの最新型のフローティングボードに設置されたことにより、今まで何らかの形で感じていたストレスから解放されたかのようであった。
その変化に対する感じ方は、3人ともほぼ共通していた。それぞれの口から発せられた感想は、概ね同じ内容であった。
フォノイコライザーに与える影響を検証した後に、気絶していたDAコンバータでも検証することとなった。
電源ケーブルなどのケーブル類が全て外されて一定以上の時間が経過したので、意識を取り戻したかどうかケーブル類を接続して試してみた。
背面にある主電源スイッチをONにしてから、フロントパネルにある副電源スイッチをONの位置まで回した。
小さな液晶表示部には、「S/PDIF 1」と表示されてから続いて「PCM 44.1」と表示が切り替わった。
「直りました・・・」ほっと胸を撫で下ろした。
NAGRA CLASSIC DACが意識を取り戻したので、素の状態で曲をかけた。その後、フローティングボードのセッティングに取り掛かった。
ベース部をまずラックにセットし、デジタル水準器とスマホの専用アプリを使って完全水平を確保する。ベース部には四つのアジャスターがある。それをドライバーで回して水平を確保する。
専用アプリが入ったスマホの画面の色がグリーンになりチャイムが鳴ると完全水平状態である。
そして、ベース部にマグネットをセットする。さらに上層部をベース部にかぶせるようにする。その状態でDAコンバーターをフローティングボードに乗せて、ケーブル類も全て接続した。
DAコンバーターの天板の真ん中にデジタル水準器を乗せて、機器を左右・前後に移動させることによって、完全水平状態に持っていく。
NAGRA CLASSIC DACもととてもコンパクトな機器であるので、こちらもフローティングボードの方が存在感がある。
DAコンバータでも、フォノイコライザー同様の変化があるのか、「きっと同じような変化があるはず・・・」とは予想していが、少しドキドキしながら、先ほどかけた女性ボーカルのCDをORACLE CD2000にセットした。